2017年3月分全国消費者物価指数について

2017年4月28日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.2%、3カ月連続上昇―
―同・生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比▲0.1%、44カ月ぶり下落―
―全国消費者物価・「頻繁に購入」の前年同月比は+3.0%と29カ月ぶりの高水準―

●3月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として99.9となり、前年同月比は+0.2%と6カ月連続の上昇。前月比(季節調整値)は▲0.1の下落だ。

●生鮮食品の前年同月比は▲0.4%の下落だった。2月分は+1.4%だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.08%と下落要因になった。生鮮野菜などが天候不順で一時上昇していたが落ち着いた。但し、不漁のいかは前年同月比+45.4%と高い上昇率だ。エネルギー全体の前年同月比は+3.9%と2月分の+1.6%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.17%と上昇要因になった。

●エネルギー分野の各項目とも、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は横這いだったプロパンガス、灯油を除きプラスに働いた。ガソリンの前年同月比は、前回2月分では+15.8%だったが、今回3月分では+20.4%と上昇率が高まった。前月比は+2.4%だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.07%と物価押上げ要因になった。灯油の前年同月比は、2月分では+29.8だったが、今回の3月分では+29.9%とほとんど同じになった。前月比は▲0.4%だった。前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。一方、原油市況動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は▲2.0%とまだマイナスだが、2月分の▲4.0%からの下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.07%と物価押上げ要因になった。都市ガス代の前年同月比は▲7.5%と、2月分の▲9.5%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は3月分では前年同月比▲4.6%と2月分の▲4.2%から下落率がやや拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%にとどまった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲1.6%で、2月分の前年同月比+0.6%の上昇から下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。通信は3月分では前年同月比▲7.4%と2月分の▲5.4%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.08%の物価下落要因だった。3月分携帯電話機の前年同月比は▲26.6%と大幅下落だった。

●3月分の宿泊料は前年同月比+1.8%で、2月分の前年同月比0.0%から上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。2月分は前年同月比+4.8%の上昇だった外国パック旅行費は、3月分では同+4.3%の上昇に鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●3月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+0.4%と2月分の+0.4%と同じ伸び率だが、2月分から3月分への寄与度差は、▲0.05%で物価下落要因だった。一方、生鮮食品を除く財は+0.4%と2月分と同じ伸び率だが、2月分から3月分への寄与度差は、+0.03%で物価上昇要因だった。また、サービスは+0.1%の上昇と2月分と同じ伸び率で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と小さかった。

●また、3月分の全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比は+0.3%と2月分の+0.4%より伸び率が鈍化した。なお3月分の持家の帰属家賃は前年同月比▲0.4%で2月分と同じだった。

●3月分の生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は99.8で、前年同月比は+0.2%の上昇となった。前月比(季節調整値)は0.0%と横這いだった。前年同月比は1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、3カ月連続の上昇になった。

●3月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.4で、前年同月比は▲0.1%の下落だった。前月比(季節調整値)は▲0.1%だった。前年同月比は13年10月分以来17年2月分まで41カ月連続で上昇が続いていたが、そこで途絶えた。前年同月比の下落は13年7月分の▲0.1%以来44カ月ぶりだ。

●ESPフォーキャスト調査・4月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、16年7~9月期の▲0.50%を底に持ち直し、17年1~3月期になるととプラスに転じ、その後の見通しは緩やかに上昇する見込みだ。17年4~6月期は+0.57%、17年7~9月期は+0.89%、17年10~12月期は+0.94%、18年10~12月期は+1.06%だ。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で16年10~12月期(第2次速報値段階)は▲0.4%と、16年7~9月期の▲0.5%から若干マイナス幅が縮小した。日銀の需給ギャップは17年1~3月期で+0.17%と15年1~3月期以来のプラスに転じた。今後、需給ギャップの改善が続けば、消費者物価指数・予想物価上昇率の上昇要因になっていくものと思われる。

●物価指数の前年比は、まず、商品指数が底打ちし、その後、国内企業物価指数、企業向けサービス価格指数が動き、最後に消費者物価指数が底打ちするというパターンが多いが、現局面も同様の展開になっている。

●ヤマト運輸が宅配便の基本運賃を27年ぶりに値上げする方針を固めた。人手不足でもサービスの質を落とさない一方で、賃上げも値上げもできずにいた日本のサービス業が転機を迎えていることの表れだ。需要があるのに人手が足りず、サービスの値段を上げざるを得なくなっている。ヤマト運輸の話は人々の物価見通しにプラスに働こう。一方、「デフレ脱却はイリュージョンだ」としてスーパーや、コンビニなどの小売店では値下げの話もあり、どっちの動きが勝つかの分岐点だ。

●4月分内閣府「消費者マインドアンケート調査」で1年後の物価が上がるとみている人の割合(上昇+やや上昇)は75.3%と、16年9月の調査開始以来最大の数字になった。16年9月の58.9%から16.4ポイントも上昇した。17年3月の66.4%からは8.9ポイント上昇した。4月からたばこ、オリーブオイルなどが値上げとなった動きも反映されていよう。全国消費者物価指数の「品目の年間購入頻度階級月指数」の「頻繁に購入」の前年同月比は今回+3.0%と14年10月分の+4.1%以来29カ月ぶりの高水準になった。

●昨日発表された、日銀の展望レポートでは、「中長期的な予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。各種のマーケット関連指標やアンケート調査結果をみると、上昇しているものもみられるが、総じてみるとなお明確な持ち直しには至っていない。」と記述されていて慎重な見方だった。しかし、注目度が低いが極めて速報性がある、内閣府「消費者マインドアンケート調査」4月分(4月20日までのデータを集計し4月24日に発表した)の物価上昇期待の高まりを裏付ける数字が、丹念に見ると今回3月分の全国消費者物価指数「品目の年間購入頻度階級月指数」に出てきた。

(4月分の暫定的予測)

●4月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+0.5%程度と、3月分の+0.2%から伸び率が高まると見た。

●4月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+0.5%程度と、3月分の+0.2%から伸び率が高まると予測する。

●また、4月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比は0.0%程度と3月分の▲0.1%の下落から、横這いになると予測する。

●関連データである4月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は▲0.1%と3月分の▲0.4%から下落率が縮小した。生鮮食品の前年同月比は+1.9%で、3月分の▲1.4%の下落から上昇に転じた。生鮮食品の総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.14%だった。エネルギー全体の前年同月比は▲0.3%で3月分の下落率の▲2.5%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.11%で上昇要因になった。また、4月分では教養娯楽用耐久財の前年同月比が▲4.2%と、3月分の▲6.5%から下落幅が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%になった。4月分の宿泊料は前年同月比+3.6%で、3月分の+1.8%から上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%になった。

●また、大阪市の総合4月分前年同月比は▲0.2%と3月分の▲0.7%から下落率が縮小した。5カ月連続の下落にはなった。

●4月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.1%と3月分の▲0.4%から下落率が縮小した。なお、14カ月連続の下落である。大阪市の生鮮食品を除く総合の4月分前年同月比は▲0.4%で3月分の▲0.8%から下落率が縮小した。13カ月連続の下落になった。

●4月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.1%と3月分の▲0.2%から下落率が縮小した。なお、2カ月連続の下落である。また、大阪市では4月分前年同月比は▲0.5%で3月分の▲0.7%から下落率が縮小した。8カ月連続の下落になった。