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2017年2月分全国消費者物価指数について

2017年3月31日

―全国消費者物価・生鮮食品を除く総合・前年同月比+0.2%、2カ月連続上昇―
―同・生鮮食品及びエネルギーを除く総合・前年同月比+0.1%、41カ月連続上昇―
―東京都区部・生鮮食品を除く総合・前年同月比3月分は▲0.4%と下落率やや拡大―

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数は2015年を100として99.8となり、前年同月比は+0.3%と5カ月連続の上昇。前月比(季節調整値)▲0.1の下落だ。

●生鮮食品の前年同月比は+1.4%の上昇だった。1月分は+8.0%だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.27%と下落要因になった。生鮮野菜などが天候不順で上昇していたが落ち着いた。但し、不漁のいかは前年同月比+44.7%と高い上昇率だ。エネルギー全体の前年同月比は+1.6%と1月分の▲0.8%下落から上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.17%の上昇要因になった。

●エネルギー分野の各項目とも、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は横這いだったプロパンガスを除きプラスに働いた。ガソリンの前年同月比は、前回1月分では+11.2%だったが、今回2月分では+15.8%と上昇率が高まった。前月比は0.0%だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.07%と物価押上げ要因になった。灯油の前年同月比は、1月分では+19.7だったが、今回の2月分では+29.8%になった。前月比は+0.8%だった。前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。一方、原油市況動向が遅れて反映される電気代の前年同月比は▲4.0%とまだマイナスだが、1月分の▲5.6%からの下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.06%と物価押上げ要因になった。都市ガス代の前年同月比は▲9.5%と、1月分の▲10.6%から下落率がやや縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は2月分では前年同月比▲4.2%と1月分の▲3.6%から下落率がやや拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%にとどまった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+0.6%で、1月分の前年同月比▲1.3%の下落から上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。

●2月分の宿泊料は前年同月比0.0%で、1月分の前年同月比+2.7%の上昇から鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。1月分は前年同月比+6.7%の上昇だった外国パック旅行費は、2月分では同+4.8%上昇に鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数・財の前年同月比は+0.4%と1月分の+0.7%から伸び率が鈍化した。1月分から2月分への寄与度差は、財では▲0.12%だった。一方、生鮮食品を除く財は+0.4%と1月分の0.0%の横這いから上昇になった。1月分から2月分への寄与度差は+0.16%だった。また、サービスは+0.1%の上昇と1月分の+0.2%から上昇率が若干鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.07%だった。

●また、2月分の全国消費者物価指数・総合指数・持家の帰属家賃を除く総合・前年同月比は+0.4%と1月分の+0.6%より伸び率が鈍化した。なお2月分の帰属家賃は前年同月比▲0.4%で1月分と同じだった。

●2月分の生鮮食品を除く総合指数は2015年を100とした指数は99.6で、前年同月比は+0.2%の上昇となった。前月比(季節調整値)0.0%と横這いだった。前年同月比は1月分で13カ月ぶりの上昇に転じたあと、2カ月連続の上昇になった。

●2月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.3で、前年同月比は+0.1%の上昇だった。前月比(季節調整値)は0.0%だった。前年同月比は13年10月分以来41カ月連続で上昇が続いている。

●ESPフォーキャスト調査・3月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の総平均予測値は、16年7~9月期の▲0.50%を底に持ち直し、17年1~3月期になると+0.26%とプラスに転じ、その後の見通しは緩やかに上昇する見込み。17年10~12月期は+0.94%、18年10~12月期は+1.02%だ。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で16年10~12月期(第2次速報値段階)は▲0.4%と、16年7~9月期の▲0.5%から若干マイナス幅が縮小した。今後、需給ギャップの改善が続けば、消費者物価指数・予想物価上昇率の上昇要因になっていくものと思われる。

●物価指数の前年比は、まず、商品指数が底打ちし、その後、国内企業物価指数、企業向けサービス価格指数が動き、最後に消費者物価指数が底打ちするというパターンが多いが、現局面も同様の展開になった。

(3月分の暫定的予測)

●3月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+0.1%程度と、2月分の+0.3%から伸び率が鈍化すると見た。

●3月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+0.1%程度になると予測する。2月分の同+0.2%から上昇率は若干鈍化すると予測する。

●また、3月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比は▲0.1%程度と2月分の+0.1%の上昇から、13年7月以来3年8カ月ぶりの下落に転じると予測する。

●関連データである3月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は▲0.4%と2月分の▲0.3%から下落率がやや拡大した。生鮮食品の前年同月比は▲1.4%で、2月分の▲0.1%から下落率が拡大した。生鮮食品の総合指数・前年同月比に対する寄与度差は▲0.06%だった。エネルギー全体の前年同月比は▲2.5%で2月分の下落率の▲5.1%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.13%で上昇要因になった。また、3月分では教養娯楽用耐久財の前年同月比が▲6.6%と、2月分の▲4.9%から下落幅が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%になった。

●3月分の宿泊料は前年同月比+1.8%で、2月分の0.0%の横ばいから上昇に転じた.総合指数の前年同月比に対する寄与度差が+0.03%になった。また、大阪市の総合3月分前年同月比は▲0.8%と2月分の▲0.5%から下落率が拡大した。4カ月連続の下落になった。

●3月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.4%と2月分の▲0.3%から下落率が拡大した。13カ月連続の下落になった。大阪市の生鮮食品を除く総合の3月分前年同月比は▲0.8%で2月分の▲0.7%から下落率が拡大した。12カ月連続の下落になった。3月分の日経CPINow・S指数が前年同月比+0.59%と2月分の同+0.62%から鈍化していることと整合的だ。3月はスーパーなどが慎重な価格設定をしている感じがする。先行きは輸入原材料の上昇を受けた食品の値上げも予定される中、足元の鈍化は一時的なものと思われる。

●3月分の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.2%と2月分の0.0%の横這いから下落に転じた。また、大阪市では3月分前年同月比は▲0.8%で2月分の▲0.4%から下落率がやや大幅に拡大し、7カ月連続の下落になった。