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2017年1月分機械受注

2017年3月13日

―1月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲3.2%と2カ月ぶりの減少―
―12月分は2件だった機械受注(除船電民需)大型案件、1月分は1件に―
―基調判断は5カ月連続「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置き―
―機械受注(除船電民需)1~3月期見通しは前期比+3.3%から+1.5%に下方修正―
―1月分景気動向指数・改定値で機械受注はCI、DIともに下方修正要因に―

●1月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲3.2%と2カ月ぶりの減少になった。

●今月、季節調整替えが行われた。おととしまでは3月分が発表される時に季節調整替えが行われてきた。しかし、昨年は業種分類変更時期に合わせて1月分発表時に季節調整替えが行われた。今年は、昨年の時期を踏襲し1月分発表時に変更したようだ。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、12月分は2件だったが、1月分は1件になった。12月分に大型案件があったのは運輸業・郵便業の鉄道車両と、通信業の通信機ということだったが、1月分は通信業の通信機とのことだ。運輸業・郵便業の1月分前月比は▲33.7%と大幅反動減だが、通信業の1月分は同+2.2%と増加した。

●1月分の製造業の前月比は▲10.8%と4カ月ぶりの減少になった。トランプ米国大統領が実際に就任し、その政策などに対し不透明感が最も高まったのが1月だったことなどが影響したのだろう。製造業17業種中、9業種が増加で8業種が減少だった。

●1月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+0.7%と、2カ月連続の増加になった。非製造業全体では前月比は▲23.3%と4カ月ぶりの減少になった。電力業は12月分では火水力原動機2件、化学機械2件の合計4件大型案件があったが、1月分では原子力原動機1件になったこともあり、1月分の前月比▲38.8%の大幅減少になった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

●1月分の機械受注全体の大型案件は6件で、12月分の機械受注全体の大型案件の13件を7件下回った。民需以外は外需で4件だったということだ。

●12月分の外需は鉄道車両、火水力原動機、航空機の3件の大型案件があり、件数は11月分と同じだったものの、前月比は▲12.1%と4カ月ぶりの減少になった。1月分の外需は、火水力原動機2件、航空機1件、発電機1件の合計4件の大型案件があり前月比は+3.2%と2カ月ぶりの増加になった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の1月分前月比は▲10.4%と3カ月ぶりの減少になった。前年同月比も▲6.6%と3カ月ぶりの減少になった。

●内閣府の基調判断は、16年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。しかし、7月分では内容がしっかりしていることを受けて「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になった。3カ月ぶりに「持ち直し」の表現が使われた。基調判断の上方修正は15年10月分以来9カ月ぶりであった。8月分でも基調判断は据え置かれ「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に据え置かれていたが、9月分では2カ月連続減少になったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に2カ月ぶりに判断修正、4カ月ぶりの下方修正となった。

●16年10月分・11月分・12月分に続き今回17年1月分でも、前月比がマイナスになったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に5カ月連続据え置きになった。次回以降での上方修正に期待したいところだ。

●1~3月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+1.5%の増加である。先月発表された前期比+3.3%の増加から季節調整替えなどで変更になった。達成には2・3月各前月比+2.9%程度が必要だ。

●なお、過去3四半期の達成率の平均を問い合わせたところ100.3%ということで、先月発表された101.3%より、1ポイント程度低めになった。見通しの数字改定にはこの影響もある。内訳をみると、製造業の過去3四半期の達成率の平均が96.2%から97.0%になった。前期比は+11.6%から+9.7%に変更された。非製造業(除船電民需)の過去3四半期の達成率の平均が103.9%から103.6%になった。前期比は+11.6%から+9.7%に変更された。前期比は▲2.3%から▲3.3%に変更された。

●1月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる1月分実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は▲0.45程度になるとみた。また、マネーストックは1月分速報値の+4.1%から+4.0に2月分発表時に下方修正されたので前月差寄与度は▲0.02程度になるとみた。在庫率関連データなどが3月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は0.0程度と速報値の+0.6から低下することになろう。また、先行DIではマネーストックの符号はプラスで変わらないが、実質機械受注(製造業)の符号がマイナスになるとみて、80.0%程度と速報値の88.9%から下方修正になると予測する。

●鉱工業出荷指数と在庫指数の在庫サイクルの動きをみると現在は「意図せざる在庫減局面」で生産は増加しやすい。生産が増えれば、それを能力指数で割った設備稼働率は上昇し、設備投資の環境は良くなる。また、非製造業では人手不足対策の設備投資の動きも出てきている。

●1月分の景気ウォッチャー調査でそれまで景況感の下支え要因だった「米大統領」関連DIがマイナスに働いたが、2月分では日米首脳会談やトランプ大統領の議会演説などを受け落ち着きを取り戻しつつあるようだ。こうした変化が2・3月期の製造業の機械受注にどう影響を与えるか、予断を持つことなく注視していきたいところだ。