ホームマーケット経済指標解説2017年1月分景気動向指数(速報値)

2017年1月分景気動向指数(速報値)

2017年3月8日

-先行CI前月差+0.6で4カ月連続上昇。一致CI前月差▲0.7で2カ月連続下降-
-景気の基調判断は4カ月連続で「改善を示している」継続-
-先行DIは4カ月連続、一致DIは6カ月連続で景気判断分岐点50%超-

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは+0.6と4カ月連続の前月差上昇となった。1月分の先行CIの指数水準は105.5となった。速報値からデータが利用可能な9系列で、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しの6系列が前月差プラス寄与に、最終需要財在庫率指数、新規求人数、東証株価指数の3系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差▲0.7と2カ月連続の下降になった。今月から中小企業出荷指数がなくなり、全系列は9系列になった。速報値からデータが利用可能な7系列では商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の2系列が前月差プラス寄与に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、有効求人倍率の5系列が前月差マイナス寄与になった。1月分の一致CIの指数水準は114.9である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の95.9よりは19.0ポイント高い水準で、直近のピークである消費税率引き上げ直前の14年3月分の117.8よりは2.9ポイント低い水準になった。

●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.30と6カ月連続して上昇した。7カ月後方移動平均の前月差は+0.43と5カ月連続の上昇になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後11月分・12月分・17年1月分と同じ基調判断になった。「改善を示している」は1月分で4カ月連続だ。

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」であることが必要だ。

●「足踏み」に下方修正されるには1月分までの数字が変わらないとすると2月分で前月差▲2.2以上の下降が必要だ。「下方への局面変化」に下方修正されるには2月分で前月差▲8.6以上の下降が必要だ。2月分で、にわかに基調判断が下方修正になる可能性は小さいだろう。

●今回1月分速報値では先行DIは88.9%と4カ月連続で、景気判断の分岐点である50%を上回った。また、一致DIは85.7%で6カ月連続50%超になった。

●1月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は3月13日である。また在庫率関連データなどが3月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかも注目される。

●1月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。確報値の発表日は3月23日である。それまでに速報値が3月9日に発表される。最近の、人手不足や働き方改革の動きの中で、所定外労働時間指数は必ずしも景気と同方向に動くとは限らない面がある。鉱工業生産指数などが確報値でどう変わるかとともに注目したいところである。

●1月分景気動向指数の先行DIや一致DIは速報値で80台と高水準だったので、新たに加わる系列がマイナス符号であっても50%超には変わらないだろう。

●2月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。日経商品指数、東証株価指数の2系列が前月差プラス寄与に、消費者態度指数、中小企業売上げ見通しDIの2系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。

●また、2月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は全てプラス符号になることが判明している。このため、2月分速報値段階の先行DIの採用系列は9なので、先行DIは44.4%以上100.0%以下が確定している。あと1系列プラス符号になれば、50%超である。