2017年1～3月期法人企業統計・設備投資などについて

●１７年１～３月期の法人企業統計調査の全産業（金融業・保険業を除くベース）の設備投資（ソフトウェア投資額を除くベース）の前年同期比は＋５．２％と１０～１２月期の前年同期比＋３．３％からは１．９ポイント改善し、２四半期連続の増加となった。前期比は＋１．３％で３四半期連続の増加になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは１～３月期の全産業の前年同期比は＋４．５％だった。１０～１２月期の前年同期比＋３．８％からは０．７ポイント改善した。

●資本金１０００万円以上１億円未満の中小企業の前年同期比は＋４．５％で、１０～１２月期の前年同期比＋４．８％からは０．３ポイント鈍化した。資本金１億円以上１０億円未満の前年同期比は＋１６．８％で、１０～１２月期の前年同期比＋１．３％から１５．５ポイント改善した。一方、資本金１０億円以上の大企業では前年同期比は＋１．２％と、１０～１２月期の前年同期比＋４．２％からは３．０ポイント鈍化した。

●供給サイドのデータに基づいて算出した１７年１～３月期ＧＤＰ第１次速報値では、名目設備投資の前年同期比は＋３．０％で、１０～１２月期の＋３．３％から０．３ポイント鈍化した。名目の前期比（季節調整済み）は＋０．７％と２四半期連続の増加である。

●１～３月期ＧＤＰ第１次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は＋１０．８％で、需要側推計値（仮置き値）の名目原系列前期比は＋２６．３％であると公表されている。１～３月期の法人企業統計調査の全産業（金融業・保険業を除くベース）の設備投資（ソフトウェア投資額を除くベース）の名目原系列前期比は単純に計算すると、５．４ポイント大きい＋３１．７％である。

●その他のデータをみると、個人企業の設備投資は業種により動きはまちまちだが総じてみて上方修正要因になりそうだ。また、３月分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は下方修正要因になりそうだ。

●なお、ＧＤＰベースの設備投資の算出には固定資産の当期末・前期末の関係などを考慮する断層補正が加味される。このため今回は法人企業統計の前年同期比＋５．２％より、かなり低めの伸び率で計算することになりそうだ。

●以上、総合的に判断して、第２次速報値での名目ベースの設備投資の前期比は第１次速報値の＋０．７％から＋０．８％程度へ、実質ベースの設備投資の前期比も第１次速報値の＋０．２％から＋０．３％程度へとプラス幅がやや拡大すると予測する。

（在庫投資）

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると１７年１～３月期は▲４兆７０７９億円で１６年１～３月期の▲４兆７３８８億円から３０９億円の増加となった。原材料在庫は１７年１～３月期は▲１３８１億円で１６年１～３月期の▲８５９９億円から７２１８億円の増加となった。合わせて７５２７億円、前年同期に比べ増加した。

●一方、１７年１～３月期ＧＤＰ第１次速報値の名目在庫投資･原数値は▲２兆４７６５億円で１６年１～３月期の▲２兆２１９１億円から▲２５７４億円の減少であった。１７年１～３月期ＧＤＰ第１次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲０．２％であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、前年同期比マイナス寄与だった項目は寄与が大きい順に流通在庫、原材料在庫。一方、前年同期比プラス寄与だった項目は大きい順に仕掛品在庫、製品在庫だった模様だ。今回の法人企業統計からみると、原材料在庫は上方修正要因になる可能性があるとみられる。

●１７年１～３月期ＧＤＰ第１次速報値段階で民間在庫投資の実質・前期比寄与度は＋０．１％だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度０．０％、仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度▲０．０％、同じく仮置き値の仕掛品在庫は０．０％、残る流通在庫は前期比寄与度＋０．１％だった。第２次速報値段階で原材料在庫は上方修正されようが、総合的に見て、実質在庫投資の前期比寄与度は＋０．１％程度にとどまるとみた。

（１７年１～３月期ＧＤＰ・第２次速報値）

●１７年１～３月期ＧＤＰ第２次速報値では、設備投資は前期比＋０．３％程度と第１次速報値の同＋０．２％から上方修正になるとみた。また、在庫投資はやや上方修正されるが前期比寄与度は＋０．１％程度にとどまるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は１月分▲５．２％、２月分▲４．２％だったが、３月分の伸び率は▲０．８％と減少率が縮小した。このことからみて第２次速報値での公共投資の前期比は第１次速報値の▲０．１％から＋０．１％程度に上方修正されるとみた。

●総合的に判断すると１７年１～３月期ＧＤＰ第２次速報値は前期比＋０．６％程度、前期比年率＋２．４％程度と予測する。季節調整替えの影響などもあるが第１次速報値の前期比＋０．５％、前期比年率＋２．２％から若干上方修正されると予測する。