ホームマーケット経済指標解説2017年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2017年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2017年6月8日

―実質GDP成長率前期比年率+1.0%と第1次速報値同+2.2%から下方修正―
―設備投資の上方修正寄与を、民間在庫変動などの下方修正要因の寄与が上回る―
―17年度は各四半期・前期比年率+1.7%で、政府見通し+1.5%を達成―

●1~3月期の実質GDP・第2次速報値は、前期比+0.3%、前期比年率+1.0%と、第1次速報値の前期比+0.5%、前期比年率+2.2%から下方修正となった。5四半期連続のプラス成長率は変わらなかった。国内需要の前期比寄与度が+0.1%と+0.4%から下方修正になった。最終需要の前期比寄与度は+0.4%で、第1次速報値と変わらなかった。

●内訳をみると、第1次速報値から第2次速報値にかけて前期比ベースで、設備投資(+0.2%→+0.6%)が上方修正、個人消費(+0.4%→+0.3%)、住宅投資(+0.7%→+0.3%)、民間在庫変動(前期比寄与度:+0.1%→▲0.1%)、政府最終消費(+0.1%→▲0.0%)が下方修正となった。実質GDPの下方修正の主因は民間在庫変動である。

●第1次速報値段階では、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+10.8%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+26.3%であると公表されていた。法人企業統計が出た後の今回第2次速報値段階では、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+11.1%で、法人企業統計などにより推計された需要側推計値の名目原系列前期比は+28.2%である。法人企業統計など需要側データは上方修正に寄与したと言えよう。

●1~3月期・第2次速報値でGDPの約6割を占める個人消費(民間最終消費支出)は前期比+0.3%と第1次速報値の+0.4%から僅かに下方修正された。実質個人消費の内訳を第1次速報値と第2次速報値の前期比で比べてみると、耐久財の前期比は+2.0%→+1.7%で下方修正、半耐久財の前期比は+3.2%→+3.0%で下方修正、非耐久財の前期比は▲0.6%→▲0.6%で変わらず、サービスの前期比は+0.4%→+0.3%で下方修正と、様々な分野で概ね下方修正された。

●1~3月期・第2次速報値で雇用者報酬の前期比は名目▲0.1%、実質▲0.0%と、第1次速報値の前期比・名目▲0.2%、実質▲0.1%から僅かに上方修正となったが前期比減少は変わらなかった。名目は14四半期ぶり、実質は2四半期連続の前期比減少である。

●民間在庫変動(前期比寄与度:+0.1%→▲0.1%)の内訳を第1次速報値と第2次速報値の前期比寄与度で比べてみると、原材料は▲0.0%→▲0.3%で下方修正、仕掛品は0.0%→+0.1%で上方修正、製品は0.0%→+0.1%で上方修正、流通品は+0.1%→+0.1%で不変だった。分野によりまちまちの動きで、下方修正の主因は原材料の在庫変動だった。

●GDPの第2次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.4%で第2次速報値の▲0.3%から下方修正となった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、前年同期比マイナス寄与だった項目は、大きい順に原材料在庫、流通品在庫。原材料在庫では原油が減少したのが影響した模様だ。一方、前年同期比プラス寄与だった項目は大きい順に仕掛品在庫、製品在庫だった模様だ。

●次の4~6月期の実質GDPを予測する関連統計は、まだ主に4月分のデータだけしか発表されていないが、スタートとしてはしっかりしたものが多い印象だ。

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+1兆8821億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+910億円である。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4月分対1~3月分平均比は+8.6%の増加になった。また非耐久消費財出荷指数は同+2.9%の増加だ。同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の4月分対1~3月分平均比は+1.5%の増加だ。日銀の実質消費活動指数は同+1.1%だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4月分対1~3月分平均比は+1.5%の増加だ。新車効果が出ている乗用車販売台数の4月分対1~3月分平均比は+10.5%の大幅増加だ。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の1~3月期から4~6月期へのゲタは▲0.1%だ。4月分だけから見ると供給サイド、需要サイドとも堅調だ。総合的に判断すると、4~6月期の個人消費の前期比はプラスになる可能性が大きいように思われる。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4月分対1~3月分平均比は+3.5%の増加になった。資本財(除.輸送機械)は同+4.6%の増加である。また、建設財は同+1.9%の増加になった。供給サイドから推計される4~6月期の実質設備投資・前期比もプラスになる可能性が大きい状況だろう。

●一方、弱めなスタートは外需だ。実質輸出入の動向をみると輸出の4月分対1~3月分平均比は▲1.5%の減少になった。輸入は同+2.9%の増加になっている。4月分のモノの動向だけからみると、4~6月期の外需はマイナス寄与になりそうなスタートだ。

●5月15日に発表された日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」5月調査によると、4~6月期実質GDP成長率(前期比年率)の予測平均値は+1.40%のプラス成長になるという見通しである。なお、1~3月期は+1.71%の伸び率を予測していた。

●総合的に判断すると、8月14日に発表される4~6月期の実質GDP第1次速報値は現状では6四半期連続のプラス成長率になることが期待されるところだ。

●17年度の政府見通しは+1.5%程度。これを達成するには17年度の各四半期で前期比年率+1.7%(前期比+0.41%)が必要だ。