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2016年12月分機械受注

2017年2月9日

―12月分の機械受注(除船電民需)前月比は+6.7%と2カ月連続の増加―
―11月分はゼロだった機械受注(除船電民需)大型案件、12月分は2件に―
―基調判断は4カ月連続「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置き―
―10~12月期実績前期比▲0.2%、見通し同▲5.9%より小幅だがマイナスに―
―機械受注(除船電民需)1~3月期見通しは前期比+3.3%の増加―

●12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+6.7%と2カ月連続の増加になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、11月分はゼロだったが、12月分は10月分と同じ、2件に戻った。12月分に大型案件があったのは運輸業・郵便業の鉄道車両と、通信業の通信機ということだ。運輸業・郵便業の12月分前月比は+60.9%と高い増加率だが、通信業の12月分は同▲4.3%と減少した。

●機械受注(除船電民需)の10~12月期前期比の見通しは▲5.9%だったが、実績は▲0.2%と上振れた。但し2四半期ぶりにマイナスになってしまった。10~12月期は過去6年中、5回は実績が見通しを上回っているが、今年もマイナス幅が縮小する形で、上方修正になった。

●12月分の製造業の前月比は+1.0%と2カ月連続の増加になった。為替が円安方向に動いたことや足元輸出がしっかりしていることなどが影響したのだろう。製造業17業種中、7業種が増加で10業種が減少だった。10~12月期前期比は+0.5%の増加で見通しの同▲3.8%の減少を上回った。

●12月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+3.5%と、大型案件で運輸業・郵便業が高い伸びになった影響もあり、2カ月ぶりの増加になった。非製造業全体では前月比は+10.1%と3カ月連続の増加になった。電力業11月分は火水力原動機の大型案件が2件あったこともあり前月比は+164.7%の大幅増加になったが、12月分は火水力原動機2件、化学機械2件の合計4件大型案件があっても前期比は▲17.1%の減少になった。非製造業12業種中、8業種が増加で4業種が減少となった。

●非製造業(除船電民需)の10~12月期前期比見通しは▲6.2%の減少だったが実績は▲2.1%と小幅な減少にとどまった。

●12月分の機械受注全体の大型案件は13件で、11月分の機械受注全体の大型案件の8件を5件上回った。民需以外は官公需で4件、外需で3件だったということだ。

●11月分の外需の前月比は火水力原動機、発電機、半導体製造装置の3件の大型案件もあり+37.3%で4カ月連続の増加になった。12月分の外需も鉄道車両、火水力原動機、航空機の3件の大型案件があったものの前月比は▲16.2%と5カ月ぶりの減少になった。10~12月期前期比見通しは+2.6%の増加だったが、実績は+23.4%と大幅に見通しを上回った。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の12月分前月比は+1.4%と2カ月連続の増加になった。前年同月比は10月分で▲0.7%と15カ月ぶりに減少したが、11月分は同+5.7%と再び増加に戻り、12月分も+9.4%の増加になった。NHK朝ドラ「べっぴんさん」の初回10月3日の視聴率は21.6%だったが、10月では20%割れの日もあったようだ。各週の最高視聴率は11月では前の週を上回る動きになり、12月22日には22.2%、1月20日には22.5%をつけた。11月から1月にかけて持ち直した視聴率という補助信号の動きと代理店受注の前年同月比は整合的だ。経営者を応援する風潮が、中小企業の設備投資を後押しすることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、16年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。しかし、7月分では内容がしっかりしていることを受けて「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になった。3カ月ぶりに「持ち直し」の表現が使われた。基調判断の上方修正は15年10月分以来9カ月ぶりであった。8月分でも基調判断は据え置かれ「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に据え置かれていたが、9月分では2カ月連続減少になったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に2カ月ぶりに判断修正、4カ月ぶりの下方修正となった。

●10月分・11月分に続き今回12月分でも、10~12月期の前期比がマイナスになったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に4カ月連続据え置きになった。次回以降での上方修正に期待したいところだ。

●1~3月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+3.3%の増加である。但し、過去3四半期の達成率の平均が101.3%であり、嵩上げ分を除くと実質的には+2.0%程度である。それでも増加に戻る見通しだ。内訳をみると、過去3四半期の達成率の平均が96.2%と慎重な数字であるはずの製造業が前期比+11.6%と2ケタ増加の見通しで、前期比▲2.3%の非製造業(除船電民需)をカバーするかたちである。1~3月期の機械受注(除船電民需)の前期比は過去3年、実績が見通しを上回った。

●1月分の景気ウォッチャー調査ではこれまで、景況感の下支え要因だった「米大統領」関連DIがマイナスに働き出した。こうした変化が1~3月期の製造業の機械受注にどう影響を与えるか、予断を持つことなく注視していきたいところだ。