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2016年11月分機械受注

2017年1月16日

―11月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲5.1%と2カ月ぶりの減少―
―10月分で2件あった機械受注(除船電民需)大型案件、11月分はゼロ―
―基調判断は3カ月連続「持ち直しの動きに足踏みがみられる」。次回上方修正か―
―米大統領選後の円安の影響もあり11月分の製造業の受注は4カ月ぶり増加―
―12月分前月比ゼロで10~12月期前期比▲2.4%。見通し同▲5.9%超え―

●11月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲5.1%と2カ月ぶりの減少になった。10月分の前月比が+4.1%の増加だった反動もあろう。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、11月分はゼロで、10月分の2件から減少した。10月分に大型案件があった運輸業・郵便業は11月分前月比▲12.5%、その他非製造業の11月分は同▲16.1%とどちらも2ケタのマイナスになった。

●機械受注(除船電民需)の10~12月期前期比の見通しは▲5.9%と2四半期ぶりにマイナスの見込み。残り12月分で前月比▲11.0%の大幅なマイナスでも、▲5.9%は達成できる。12月の前月比が0%なら、10~12月期の前期比は▲2.4%になる。10~12月期の前期比が横這いになるには12月分の前月比は+7.5%が必要になる。10~12月期は過去6年中、5回は実績が見通しを上回っているが、今年もマイナス幅が縮小する形で、上方修正になる可能性が高まってきたようだ。

●11月分の製造業の前月比は+9.8%と4カ月ぶりの増加になった。製造業17業種中、9業種が増加で8業種が減少だった。10~12月期前期比見通しは▲3.8%の減少だ。達成には残りの12月分が前月比▲11.5%が必要だ。12月分が前月比ゼロで10~12月期前期比+0.2%と増加になる。米大統領選後に生じた円安・株高を受けて11月分につづき12月分も増加になるかが注目される。

●11月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲9.4%%と、大型案件が10月分の2件からゼロになった影響もあり、2カ月ぶりの減少になった。非製造業全体では前月比は+12.3%と2カ月連続の増加になった。電力業11月分前月比は+164.7%の大幅増加になった。火水力原動機の大型案件が2件あったからだ。非製造業12業種中、4業種が増加で8業種が減少となった。

●非製造業(除船電民需)の10~12月期前期比見通しは▲6.2%の減少だ。12月分前月比▲9.6%のマイナスで、▲6.2%は達成できる。12月分前月比が0%なら、10~12月期の前期比は▲3.2%と見通しより小幅なマイナスになる。

●11月分の機械受注全体の大型案件は8件で、10月分の機械受注全体の大型案件の4件を4件上回った。民需以外は官公需で3件、外需で3件だったということだ。

●11月分の外需の前月比は火水力原動機、発電機、半導体製造装置の3件の大型案件もあり+37.3%で4カ月連続の増加になった。10~12月期前期比見通しは+2.6%の増加だ。見通しは12月分前月比▲59.5%で達成可能だ。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の11月分前月比は+7.6%と2カ月ぶりに増加に転じた。前年同月比は10月分で▲0.7%と15カ月ぶりに減少したが、11月分は同+5.7%と再び増加に戻った。NHK朝ドラ「べっぴんさん」の初回10月3日の視聴率は21.6%だったが、10月では20%割れの日もあったようだ。各週の最高視聴率は11月では前の週を上回る動きになり、12月22日には22.2%をつけた。11月から12月にかけて持ち直した視聴率という補助信号の動きと代理店受注の前年同月比は整合的だ。「あさが来た」「とと姉ちゃん」と主人公が女性経営者だった朝ドラ放送時は代理店受注の前年同月比はプラスが続いていた。「べっぴんさん」の主人公は女性起業家だ。経営者を応援する風潮が、中小企業の設備投資を後押しすることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、16年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。しかし、7月分では内容がしっかりしていることを受けて「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になった。3カ月ぶりに「持ち直し」の表現が使われた。基調判断の上方修正は15年10月分以来9カ月ぶりであった。8月分でも基調判断は据え置かれ「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に据え置かれていたが、9月分では2カ月連続減少になったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に2カ月ぶりに判断修正、4カ月ぶりの下方修正となった。

●10月分に続き今回11月分でも3カ月移動平均が低下傾向にあるため、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に3カ月連続据え置きになった。この2年間は「足踏み」の表現は継続しても2~3カ月で「持ち直し」に戻っている。今回も12月分での上方修正に期待したい。