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2016年10月分機械受注

2016年12月12日

―10月分の機械受注(除船電民需)前月比は+4.1%と3カ月ぶりの増加―
―内閣府の基調判断は2カ月連続「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に―
―米大統領選後の円安・株高が生じる前のデータで、足踏み感が強かったか―
―10~12月期見通し前期比▲5.9%達成には残り2カ月各前月比▲7%必要―
―残り2カ月前月比0%なら、機械受注(除船電民需)10~12月期前期比+1%―

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+4.1%と3カ月ぶりの増加になった。水準は8783億円で8・9月分を上回るが、7月分の8919億円は抜けず。米大統領選後の円安・株高が生じる前のデータで、足踏み感が強かった感じがある。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、10月分は2件で、9月と同じ、運輸業・郵便業の鉄道車両と、その他非製造業の内燃機関だった。運輸業・郵便業は9月分でも大型案件があったため10月分の前月比は▲38.2%の減少。一方、その他非製造業の10月分は前月比+56.0%だった。

●機械受注(除船電民需)の10~12月期前期比の見通しは▲5.9%と2四半期ぶりにマイナスの見込み。残り11月分・12月分で各前月比▲7.0%の大幅マイナスでも、▲5.9%は達成できる。残り2カ月の各前月比が0%なら、10~12月期の前期比は+1.0%のプラスになる。10~12月期は過去6年中、5回は実績が見通しを上回っているが、今年もそうなる可能性が高まってきたようだ。

●10月分の製造業の前月比は▲1.4%と3カ月連続減少になった。製造業17業種中、10業種が増加で7業種が減少だった。10~12月期前期比見通しは▲3.8%の減少だ。達成には残りの11月分・12月分で各前月比+2.3%が必要だ。米大統領選後に生じた円安・株高を受けて11月分・12月分が増加に転じるか注目される。

●10月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+4.6%と3カ月ぶりの増加になった。非製造業全体では前月比は+6.0%と2カ月ぶりの増加になった。電力業の前月比は10月分は+33.0%の増加になった。非製造業12業種中、6業種が増加で6業種が減少となった。

●非製造業(除船電民需)の10~12月期前期比見通しは▲6.2%の減少だ。残り11月分・12月分で各前月比▲9.5%の大幅マイナスでも、▲6.2%は達成できる。残り2カ月の各前月比が0%なら、10~12月期の前期比は+3.3%とプラスになる。

●10月分の機械受注全体の大型案件は4件で、9月分の機械受注全体の大型案件の6件を2件下回った。除船電民需以外は官公需で1件、外需で1件だったという。内容をみると、官公需は防衛省の船舶、外需は鉄道車両1件だ。

●10月分の外需の前月比は+1.9%で3カ月連続の増加になった。10~12月期前期比見通しは+2.6%の増加だ。見通し達成に向けて好スタートとなっている。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の10月分前月比は▲8.4%と2カ月ぶりに減少加した。10月分前年同月比は▲0.7%と15カ月ぶりに減少した。NHK朝ドラ「べっぴんさん」の初回10月3日の視聴率は21.6%で「あさが来た」の初回21.2%を上回ったが、10月では20%割れの日もあったようだ。各週の最高視聴率は11月に入り前の週を上回るようになり、12月3日には21.9%をつけた。主人公は女性経営者だ。前向きな経営者を応援する風潮が、中小企業の設備投資を後押しすることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、16年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。しかし、7月分では内容がしっかりしていることを受けて「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になった。3カ月ぶりに「持ち直し」の表現が使われた。基調判断の上方修正は15年10月分以来9カ月ぶりであった。8月分でも基調判断は据え置かれ「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に据え置かれていたが、前回9月分では2カ月連続減少になったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に2カ月ぶりに判断修正、4カ月ぶりの下方修正となった。今回10月分では3カ月移動平均が低下傾向にあるため、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に据え置きになった。