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2016年9月調査 日銀短観予測

2016年9月15日

大企業・製造業の業況判断DIはQUICK短観・ロイター短観とも上昇、日銀短観も上昇を予測-
-日銀短観・大企業・製造業の業況判断DIは14期連続で「良い」超のプラスで景気の底堅さを示唆か-

●9月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+7と6月調査の+6から若干上昇すると予測する。引き続き海外経済や円高の影響などへの懸念はあるものの、景気に幾分持ち直しの動きが出てきたことを示唆する内容になろう。昨夏の中国ショックが起こる直前にあたり、最近の極大値である昨年6月調査の+15からは低い水準であるものの、14期連続で「良い」超のプラスにはなり、景気の底堅さを示唆しよう。

●一方、大企業・非製造業の業況判断DIは+18と6月調査の+19より若干低下すると予測する。インバウンド消費の勢いが鈍化している小売などが弱含みそうだ。原油価格が低水準であることは運輸・郵便業の強含み要因になりそうだ。非製造業は21期連続で「良い」超のプラスになろう。

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られている9月調査のロイター短観、9月調査のQUICK短観などを参考にした。

●9月15日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月30日から9月12日となっている。400社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+3から2ポイント上昇の+5となった。内訳をみると、素材型は+2と6月調査の+3からやや低下、加工型は+6と6月調査の+3から3ポイント上昇した。一方、非製造業DIは6月調査の+17から3ポイント低下の+14となった。内訳をみると、不動産・建設は+48と6月調査の+44から上昇したが、小売は▲9で6月調査の0から9ポイント低下した。運輸・電力等は6月調査の0から4ポイント上昇し+4となった。

●ロイター短観200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+6から1ポイント上昇し+7となった。一方、非製造業DIは6月調査の+11から1ポイント低下の+10となった。

●また、同じ9月15日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は9月1日から9月12日である。製造業の業況判断DIは6月調査の+9から1ポイント上昇の+10となった。また、非製造業DIは6月調査の+29と同じ+29となった。製造業はロイター短観・QUICK短観ともに上昇した。非製造業はロイター短観で低下、QUICK短観で横這いだった。

●大企業・製造業の業況判断DIが+7程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+6を1ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が+18程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+17を1ポイント上回ることになる。足元の景況感が事前の予想より製造業、非製造業とも上振れることとなろう。

●ロイター短観の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+9と9月実績の+5より4ポイント改善、非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+22と、9月実績の+14から8ポイントの改善予想である。製造業・200社ベースでは+9と9月実績の+7より2ポイント改善、非製造業・200社ベースの12月までの「先行き見通し」は+23と、9月実績の+10から13ポイントの改善予想である。QUICK短観の製造業の12月までの「先行き見通し」は+12で9月実績の+10より2ポイント改善の予想、非製造業の「先行き見通し」は+28で9月実績の+29から1ポイントの悪化予想である。

●日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、ロイター短観やQUICK短観や最近の経済動向などを参考にして、製造業で9月実績比3ポイント改善の+10程度、非製造業は9月実績比2ポイント改善の+20程度と予測した。

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が6月調査の▲5と同水準の▲5程度、非製造業が6月調査の0から1ポイント改善の+1程度と予測した。中小企業の方が小売業でのインバウンドの影響が軽微でありそうなことも考慮した。商工中金・中小企業景況判断指数や景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

●参考データの商工中金の中小企業月次景況観測の景気判断指数は直近8月分で製造業が43.7(6月分45.9、7月分46.6、9月予測47.7)で、非製造業は8月分が48.4(6月分46.9、7月分48.8、9月予測48.4)となっている。

●景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIの最近の推移は製造業が5月調査42.6、6月調査42.5、7月調査42.8、8月調査44.7で、非製造業は5月調査43.5、6月調査44.2、7月調査43.9、8月調査45.6となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●中小企業・製造業の業況判断DIが▲5程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」▲7を2ポイント上回ることになる。また中小企業・非製造業が+1程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」▲4を5ポイント上回ることになる。足元の景況感が事前の予想より製造業、非製造業とも上振れることとなろう。

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、大企業のようにやや先行きを改善と見る企業がある一方で、依然先行きの景気に不安を感じている企業もあるとみて、製造業で9月実績比2ポイント改善の▲3程度、非製造業は9月実績比3ポイント悪化の▲2程度と予測した。非製造業では先行きを慎重にみるというクセを考慮した。

●2016年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+6.1%程度と、6月調査の同+6.2%から僅かに下方修正されると予測した。過去の修正パターンや、最近の設備投資計画調査などを参考にした。製造業が下方修正、非製造業が上方修正になるとみた。

●2016年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲11.1%程度と、6月調査の同▲14.9%から上方修正されると予測した。最近の設備投資計画調査などを参考に予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。