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2016年9月分機械受注

2016年11月10日

―9月分の機械受注(除船電民需)前月比は▲3.3%と2カ月連続の減少―
―これを受け、内閣府の基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正―
―7~9月期前期比は見通し+5.2%を上回る+7.3%で上振れ、2四半期ぶりプラス―
―10~12月期前期比は見通し▲5.9%とマイナス見込み、但し、過去6年中5回は上振れ―
― 9月分代理店受注前年同月比+7.6%で14カ月連続増加、中小設備投資の底堅さ示唆―

●9月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲3.3%と2カ月連続の減少になった。

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、9月分は2件で、8月と同じ、運輸業・郵便業の鉄道車両と、通信業の通信機だった。運輸業・郵便業の9月分は前月比+6.3%。一方、通信業の9月分は前月比▲7.5%と大型案件があっても前月に続いたため1ケタの動きであまり目立っていない。

●機械受注(除船電民需)の7~9月期前期比は+7.3%と見通しの+5.2%を2.1ポイント上回った。

●機械受注(除船電民需)の10~12月期前期比の見通しは▲5.9%と2四半期ぶりにマイナスの見込み。トランプ氏が次期米大統領に決まったことを受け不透明さが強まるため、下振れの可能性も出てきた。但し、10~12月期は過去6年中、5回は実績が見通しを上回っている。

●9月分の製造業の前月比は▲5.0%と2カ月連続減少になった。製造業17業種中、6業種が増加で11業種が減少だった。7~9月期前期比は+4.5%と2四半期ぶりの増加になったが見通しの+14.2%を大きく下回った。10~12月期前期比見通しは▲3.8%の減少だ。

●9月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲0.9%と2カ月連続減少になった。非製造業全体では前月比は▲1.4%と2カ月ぶりの減少になった。電力業の前月比は8月分が+21.3%の大幅増加だった反動で、9月分は▲13.9%と減少に転じた。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

●非製造業(除船電民需)の7~9月期前期比は+8.2%と2四半期ぶりの増加になった。見通しの▲1.5%を大きく上回った。10~12月期前期比見通しは▲6.2%の減少だ。

●9月分の機械受注全体の大型案件は6件で、8月分の機械受注全体の大型案件の4件を2件上回った。除船電民需以外は電力で1件、外需で3件だったという。内容をみると、電力は化学機械、外需は航空機2件と発電機1件だった。

●9月分の外需の前月比は+1.4%で2カ月連続の増加になった。7~9月期前期比は▲6.0%と2四半期ぶりの減少になった。見通しの+1.8%を大きく下回った。10~12月期前期比見通しは+2.6%の増加だ。但し、10~12月見通しの前年同期比は▲26.2%と大幅マイナスになっている。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の9月分前月比は+5.6%と2カ月ぶりに増加した。9月分前年同月比は+7.6%と14カ月連続で増加した。1年超にわたり前年同月比が増加し続けたことは、足元の中小企業の機械の設備投資が底堅いことを裏付けていよう。9月分有効求人倍率が1.38倍と高水準で雇用環境が良い中、人手不足対策の設備投資も出やすい環境だ。これまで設備投資を実施してこなかった企業にとっては更新投資需要があろう。

●NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」の期間平均視聴率が23.5%と今世紀最高になったあと、「とと姉ちゃん」の期間平均視聴率は22.8%で今世紀3番目の高視聴率だった。また「ファミリア」の創業者のひとりをモデルにした新しい朝ドラ「べっぴんさん」の初回10月3日の視聴率は21.6%で「あさが来た」の初回21.2%を上回った。「べっぴんさん」の各週最高視聴率はこれまで20%を超えている。前向きな経営者を応援する風潮が、中小企業の設備投資を後押しすることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、16年5月分で「機械受注は、足踏みがみられる」へと8カ月ぶりに下方修正となった。6月分も「機械受注は、足踏みがみられる」で判断据え置きになった。しかし、7月分では内容がしっかりしていることを受けて「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」になった。3カ月ぶりに「持ち直し」の表現が使われた。基調判断の上方修正は15年10月分以来9カ月ぶりであった。8月分でも基調判断は据え置かれ「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」に据え置かれていたが、今回9月分では2カ月連続減少になったことなどから、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に2カ月ぶりに判断修正、4カ月ぶりの下方修正となった。

●9月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに加わる実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は▲0.20程度とマイナス寄与になると予測する。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は▲0.8程度と速報値の▲0.4から下方修正となろう。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がマイナス符号になるとみて、60.0%程度と速報値の66.7%から下方修正になるが景気判断の分岐点の50%は上回ると予測する。