2016年4月分全国消費者物価指数について

2016年5月27日

―総務省・総合・前年同月比、コア指数前年同月比とも2カ月連続下落―
―総務省・総合・前年同月比、財は▲1.1%、サービスは+0.5%―
―コアコア指数前年比は、17年8カ月ぶりの31カ月連続上昇―
―日銀流・内閣府流とも、コア前年比は3月分より0.2ポイント低下し1%割れに―
―5月分の日銀流・コア前年比は一段と鈍化、回復は夏場からか?―

●4月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.4となり、前月比は+0.2%上昇、前年同月比は▲0.3%下落した。前年同月比がマイナスになったのは2カ月連続だ。

●生鮮食品の前年同月比は+0.2%上昇にとどまった。3月分は+5.5%上昇だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.22%と大幅な下落要因になった。一方、エネルギー全体の前年同月比は▲12.6%下落した。3月分の▲13.3%下落からマイナス幅がやや縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.07%と前年同月比の押上げ要因になった。

●エネルギー分野の中身はまちまちだった。ガソリンの前年同月比は14年12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後マイナスが続き、前回の16年3月分では▲20.5%になったが、今回の4月分では▲16.0%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.11%と物価押上げ要因になった。灯油の前年同月比は14年12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後マイナス継続で、16年3月分では▲27.8%だったが、今回の4月分では▲26.8%になった。前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と僅かな押上げ要因になった。逆に、電気代の前年同月比は▲9.9%で、3月分の▲9.0%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%と物価押し下げ要因になった。都市ガス代の前年同月比は▲16.8%と、3月分の▲15.3%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は4月分では前年同月比+9.2%と3月分の+10.4%から上昇率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。そのうちテレビは3月分の前年同月比+15.2%から4月分は+13.3%へと鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲2.4%で、3月分の前年同月比▲2.6%からマイナス幅が僅かに縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●4月分の宿泊料は前年同月比+1.9%で、3月分の前年同月比+0.2%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。3月分は前年同月比+6.3%の上昇だった外国パック旅行は、4月分では同+12.0%と上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。

●4月分の全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比は財が▲1.1%と下落、一方サービスは+0.5%の上昇であった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの3月分から4月分への寄与度差をみると、財は▲0.33%。一方、雇用・所得環境が改善している中、サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.08%で物価押し上げ要因であった。

●4月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は102.9で、前月比は+0.3%上昇した。また、前年同月比は▲0.3%下落した。前年同月比の下落は2カ月連続だ。

●4月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.7で、前月比+0.3%の上昇。前年同月比は+0.7%の上昇となった。3月分の+0.7%と同じ伸び率で、前年同月比は31カ月連続上昇した。31カ月連続前年同月比がプラスになったのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年8カ月ぶりである。

●4月分の総合指数の季節調整済み指数は103.3で前月比▲0.2%の下落。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は102.8でこちらは前月比▲0.1%の下落。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数は101.6で前月比+0.2%の上昇である。

●ESPフォーキャスト調査・5月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比は、16年4~6月期に▲0.21%まで下落したあと、7~9月期は▲0.03%、10~12月期は+0.25%、17年1~3月期は+0.69%、と緩やかに上昇していく見込みだ。

●レギュラーガソリンの価格は3月7日の112円/ℓを底に5月16日には118.8円/ℓまで上昇したが、4~6月は原油価格の前年水準が高かった反動や足元の円高要因などで、前年比の上昇要因になりにくい。但し、先行き夏場以降の前年比の回復にプラスに働くとみられる。

●全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の16年度の上昇率は+0.16%、17年度(消費増税の影響を除くベース)の上昇率は+0.83%が予測平均値だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は16暦年39.77ドル/バレル、17暦年46.01ドル/バレル。円相場の予測平均値は16年度1ドル=110円63銭、17年度1ドル=112円60銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年10~12月期は▲1.6%と、15年7~9月期の▲1.2%からマイナス幅が拡大している。需給ギャップの改善のもたつきは、足元の消費者物価指数の前年同月比の上昇抑制要因になっていると思われる。

(日銀:消費者物価の基調的な変動)

●総務省の発表を受け、日銀が発表した「消費者物価の基調的な変動」によると、4月分の総合(除く生鮮食品・エネルギー)の前年同月比は+0.9%で、3月分の+1.1%から0.2ポイント低下した。15年7月分の+0.9%以来の+1.0%割れである。足元、日経ナウキャスト日次物価指数T指数の前年比が5月に入っても下落基調で、5月25日の7日移動平均は+0.4471%である。月間でも0.5%台の可能性が大きく、4月分の+0.72%を下回るとみられる。5月分の総合(除く生鮮食品・エネルギー)の前年同月比は+0.9%を下回るとみられる。

(内閣府:消費者物価指数:生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合)

●また、内閣府も、日銀同様の独自のコア指数をこれまで「月例経済報告」の中で、公表してきたが、最近は総務省の発表日にHPに掲載するようになった。内閣府流のコア指数は、消費者物価指数・生鮮食品を除く総合から、石油製品、電気代、都市ガス代、米類、切り花、鶏卵、固定電話通信料、診療代、介護料、たばこ、公立高校授業料、私立高校授業料を除いたものだ。内閣府流コア指数(固定基準)3月分の前年同月比は、+1.0%だったが、4月分は+0.8%で、日銀流コア指数と同じ幅の0.2ポイント分鈍化した。15年5月以来の低い伸び率で、15年6月の+0.9%以来の1.0%割れである。

(5月分の暫定的予測)

●5月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、4月分の▲0.3%からマイナス幅が拡大し、▲0.5%程度になると予測する。前月比は+0.1%程度とみる。

●5月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、4月分の▲0.3%からマイナス幅が拡大し▲0.5%程度になると予測する。前月比は0.0%程度とみる。東京都区部に続き、全国ベースでも生鮮食品を除く総合の前年同月比マイナス幅が拡大すれば、目先、追加の金融緩和期待が高まる要因のひとつとなろう。

●また、5月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+0.6%程度と4月分の+0.7%より伸び率がやや鈍化すると予測する。但し、前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、17年9カ月ぶりの32カ月連続プラスになりそうだ。前月比は0.0%程度になろう。

●関連データである5月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は▲0.5%と4月分の▲0.4%から下落率が拡大した。生鮮食品の前年同月比は▲1.9%の下落で4月分と同じだった。生鮮食品の総合指数・前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。エネルギー全体の前年同月比は▲16.0%で4月分の下落率の同▲16.4%からマイナス幅がやや縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%で、上昇要因になった。一方、5月分ではテレビの前年同月比が+0.5%で4月分同+10.8%から上昇率が大幅に鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%で、物価下押し要因になった。5月分の宿泊料は前年同月比+6.6%で、4月分の前年同月比+1.9%から伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.06%になった。5月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は0.0%だった。また、大阪市の総合5月分前年同月比は▲0.1%と4月分の同+0.1%の上昇から36カ月ぶりの下落になった。5月分の前月比は+0.1%だった。

●5月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.5%で4月分の▲0.3%からマイナス幅が拡大した。5カ月連続の下落だ。5月分の前月比は0.0%だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の5月分前年同月比は4月分に続き2カ月連続0.0%だった。5月分の前月比は0.0%だった。

●5月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+0.5%で4月分の+0.6%からやや鈍化したものの、これで13カ月連続の上昇になった。5月分の前月比は0.0%だった。また、大阪市では5月分前年同月比は+0.4%で4月分の+0.5%から鈍化したものの、32カ月連続の上昇となった。5月分の前月比は0.0%だった。