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2016年3月分機械受注

2016年5月19日

3月分機械受注(除船電民需)前月比+5.5%と2カ月ぶりの増加 -
-機械受注(製造業)は3月分景気動向指数CI・DIの上方修正要因に-
-1~3月期前期比は+6.7%で、見通しは+6.4%を上回る-
-4~6月期前期比見通し(3月末時点:熊本地震考慮せず)は▲3.5%。実績下振れも-

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+5.5%と2カ月ぶりの増加になった。大型案件も期末ということで、4件と2月分の1件を上回った。

●3月分機械受注(除船電民需)の大型案件は、化学工業で火水力原動機1件、造船業で内燃機関2件、2月と同じく通信業で通信機1件の合計4件だった。製造業3件、非製造業1件だ。

●3月分の製造業の前月比は+19.7%と2カ月ぶりの増加になった。製造業17業種中、13業種が増加で4業種が減少だった。

●3月分の非製造業(除船電民需)の前月比は▲6.9%と4カ月ぶりの減少になった。非製造業全体では前月比は▲7.8%で4カ月ぶりの減少になった。電力業で火水力原動機3件、原子力原動機1件の計4件、運輸・郵便業で船舶1件と全部で5件の大型案件があったが、非製造業全体でも2月分の前月比+31.7%の大幅な増加の反動で減少となった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

●今回の機械受注全体の大型案件は23件で8770億円。民需以外は官公需と外需で14件だったという。内訳をみると、官公需は鉄道車両1件、防衛省の航空機2件の計3件だった。

●2月分で大型案件がなかった外需は、火水力原動機3件、航空機4件、船舶2件、化学機械1件、鉄道車両1件の計11件だったということだ。外需の前月比は+28.5%と大型案件効果で高い伸び率になり、2カ月連続の増加となった。なお、1~3月期の前期比は▲26.6%だが、ゲタが高いこともあり、4~6月期見通しの前期比は+3.4%の増加になっている。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の3月分前月比は▲4.9%と2カ月連続で減少した。しかし、1月分が+11.4%の増加で水準は高く、1~3月期の前期比は+6.3%と見通しの同+1.7%を上回る伸び率になった。4四半期連続の増加であることは、足元の中小企業の機械の設備投資が底堅いことを裏付けていよう。NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」平均視聴率が23.5%で、2002年度前期放送の「さくら」の23.3%を抜いて今世紀最高を更新したことや、後番組の「とと姉ちゃん」の視聴率が引き続き高いことと整合的だ。前向きな経営者を応援する風潮が、中小企業の設備投資を後押しすることを期待したい。

●内閣府の基調判断は、15年7月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に8カ月ぶりに下方修正された。さらに8月分では「機械受注は、足踏みがみられる」へと連続して下方修正となった。8月には中国発世界同時株安など企業心理を冷え込ませる状況が生じたからだ。9月分では判断据え置きだったが、10月分では「機械受注は 、持ち直しの動きがみられる」に判断が上方修正された。11月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられるものの、11月の実績は大きく減少した」となったが、これは機械受注(除船電民需)前月比が▲14.4%と2ケタの大幅な減少率なので、言及せざるをえなかったのだろう。12月分・1月分・2月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で判断据え置きとなった。今回3月分でも「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」で実質的に6カ月連続の判断据え置きになった。

●1~3月期の機械受注(除船電民需)の前期比は+6.7%と、見通しの同+6.4%を上回った。これで1~3月期は3年連続して実績が見通しを上回った。

●4~6月期の機械受注(除船電民需)の前期比見通しは▲3.5%である。これは、単純集計値に過去3四半期の達成率の平均101.0を掛けて求めているので1%程度高めの数字になっている。加えて、この見通しは3月末時点なので、4月中旬に発生した熊本地震の影響を含んでおらず、実際はかなり下振れしそうだ。

●過去の受注計上分はキャンセルになれば、判明した月に反映されるので、4月分では実勢よりも受注統計が下振れる可能性もある点には注意が必要だろう。

●3月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注(製造業)がある。実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.65程度と大幅プラス寄与になると予測する。先行CI・改定値の前月差は0.0程度と速報値の▲0.5から上方修正になるとみた。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)の符号がプラス符号で加わるので、45.0%程度と速報値の27.8%から上方修正になると予測する。