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2016年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて

2016年6月1日

―設備投資(除くソフトウェア)前期比+1.4%、前年同期比+4.3%―
―1~3月期実質GDP第2次速報値で設備投資は上方修正か―
―仮置きの在庫投資(仕掛品・原材料)もやや上方修正か―

●16年1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+4.3%と15年10~12月期の前年同期比+8.9%からは4.6ポイント低下したものの、12四半期連続の増加となった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは1~3月期の全産業の前年同期比は+4.2%だった。15年10~12月期の前年同期比+8.5%から4.3ポイント低下した。

●資本金1000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+2.5%で、15年10~12月期の前年同期比+17.8%からは15.3ポイント低下した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は▲0.1%で、15年10~12月期の前年同期比+11.1%からは11.2ポイント低下した。一方、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は+6.1%と、15年10~12月期の前年同期比+3.5%からは2.6ポイントの上昇となった。

●供給サイドのデータに基づいて算出した16年1~3月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比は▲1.5%で、15年10~12月期の+4.4%の増加から減少に転じている。名目の前期比(季節調整済み)は▲2.2%と3四半期ぶりの減少である。

●16年1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+6.3%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+25.7%であると公表されている。16年1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前期比は単純に計算すると、それより3.6ポイント大きい+29.3%である。

●法人企業統計・16年1~3月期の設備投資・季節調整済み前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は+1.4%で15年10~12月期の同▲0.1%の減少から1.5ポイント改善し増加に転じた。またその他のデータをみると、個人企業の設備投資はサービス業が上方修正要因だが、製造業は下方修正要因になりそうだ。また、3月確報分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は下方修正要因になりそうだ。これに、法人企業統計での断層補正の影響が下方修正要因として働きそうなことなどを考慮し、総合的に判断して、第2次速報値での名目ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の▲2.2%から▲1.4%程度へ、実質ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の▲1.4%から▲0.6%程度へとマイナス幅が縮小すると予測する。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると16年1~3月期は▲4兆7388億円で15年1~3月期の▲5兆3511億円から6123億円の増加となった。原材料在庫は16年1~3月期は▲8599億円で15年1~3月期の▲8180億円から▲419億円の減少となった。合わせて5704億円、前年同期に比べ増加した。一方、16年1~3月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は▲2兆4547億円で15年1~3月期の▲2兆6350億円より1803億円の増加であった。16年1~3月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.1%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、原材料在庫と製品在庫が前年同期比マイナス寄与だった模様だ。そのうち原材料在庫は大きなマイナス寄与だったようだ。流通在庫と仕掛品在庫はプラス寄与で、流通在庫のプラス寄与度が大きかった模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫・原材料在庫はやや上方修正要因になるとみられる。

●16年1~3月期GDP第1次速報値段階で民間在庫投資の実質・前期比寄与度は▲0.0%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度▲0.1%、仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度▲0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は▲0.1%、残る流通在庫は前期比寄与度+0.2%だった。第2次速報値段階で仕掛品在庫・原材料在庫はやや上方修正され、実質在庫投資の前期比寄与度は+0.0%程度になるとみた。

(16年1~3月期GDP・第2次速報値)

●16年1~3月期GDP第2次速報値では、設備投資は前期比▲0.6%程度と第1次速報値の同▲1.4%からマイナス幅が縮小するとみた。また、法人企業統計により在庫投資はやや上方修正され前期比寄与度は+0.0%程度になるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は1月分▲4.3%、2月分▲4.4%だったが、3月分の伸び率は▲6.4%だった。このことからみて第2次速報値での公共投資の前期比は第1次速報値の+0.3%から▲0.4%程度に下方修正されるとみた。

●総合的に判断すると16年1~3月期GDP第2次速報値は前期比+0.5%程度、前期比年率+2.0%程度と予測する。第1次速報値の前期比+0.4%、前期比年率+1.7%からやや上方修正されるとみる。