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1月分景気動向指数(速報値)

2016年3月8日

-先⾏CI前⽉差▲0.4と3カ⽉連続下降、⼀致CI前⽉差+2.9で3カ⽉ぶり上昇-
-1⽉分の基調判断、「⾜踏みを⽰している」で継続、2⽉分も「⾜踏みを⽰している」か-

●1⽉分の景気動向指数・速報値では、先⾏CIは前⽉差▲0.4と3カ⽉連続の下降となった。1⽉分の先⾏CIの指数⽔準は101.4となった。
●⼀致CIは前⽉差+2.9と3カ⽉ぶりの上昇となった。1⽉分の⼀致CIの指数⽔準は113.8である。東⽇本⼤震災発⽣時のボトムで直近のボトムである11年4⽉分の96.7よりは17.1ポイント⾼い⽔準だが、直近のピークである14年3⽉分の116.2よりは2.4ポイント低い⽔準だ。
●⼀致CIの3カ⽉後⽅移動平均の前⽉差は+0.16と2カ⽉ぶりの上昇、7カ⽉後⽅移動平均の前⽉差は+0.09と3カ⽉ぶりの上昇になった。
●⼀致CIを使った景気の基調判断は、今回1⽉分でも、景気拡張の動きが⾜踏み状態になっている可能性が⾼いことを⽰す「⾜踏みを⽰している」で、9カ⽉連続で同じ判断となった。
●最近の⼀致CIを使った景気の基調判断をみると、14年12⽉分で、「改善を⽰している。ただし、基調判断に⽤いている3カ⽉後⽅移動平均のこのところの変化幅は、⼤きいものではない」に「下⽅への局⾯変化」から上⽅修正された。「下⽅への局⾯変化」から「改善を⽰している」に戻るのは異例のパスということだった。15年1⽉分で、但し書きは消えて、「改善を⽰している」という判断継続になった。15年2⽉分〜4⽉分でも、「改善を⽰している」という判断継続になったが、5⽉分で景気拡張の動きが⾜踏み状態になっている可能性が⾼いことを⽰す「⾜踏みを⽰している」に下⽅修正され、15年6⽉分〜16年1⽉分でも判断据え置きとなった。
●次回2⽉分でも、景気拡張の動きが⾜踏み状態になっている可能性が⾼いことを⽰す「⾜踏み」の判断が継続しそうだ。基調判断が景気拡張の可能性が⾼いことを⽰す「改善」に戻るには、「当⽉の前⽉差の符号がプラス。かつ原則として3カ⽉以上連続して3カ⽉後⽅移動平均が上昇する」ことが必要だ。1⽉分から上昇を3カ⽉連続して積み上げなければならない。いち早く「改善」に戻る可能性があるのは5⽉前半に発表される3⽉分だ。但し、2⽉分は愛知製鋼の爆発事故の影響で、⽣産指数の前⽉⽐が▲6%台の⼤幅マイナスが⾒込まれることが懸念材料だ。2⽉分の⼀致CI前⽉差の下降幅が▲1.8ポイント程度以上になると、3カ⽉後⽅移動平均の上昇が再び途絶える可能性がある。
●なお、次回2⽉分で「下⽅への局⾯変化」に悪化するには、「当⽉の前⽉差の符号がマイナス。かつ7カ⽉後⽅移動平均(前⽉差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ⽉、2カ⽉、または3カ⽉の累積)が1標準偏差分(0.85)以上」であることが必要だ。2⽉分の⼀致CI前⽉差が▲6.5ポイント程度の⼤幅な下降幅になると、2⽉分の7カ⽉後⽅移動平均前⽉差の3カ⽉の累積が▲0.86になり、1標準偏差分(0.85)以上下⽅に振れることになるが、その可能性は⼩さいだろう。

●今回1⽉分速報値では先⾏DIは44.4%と2カ⽉ぶりに景気判断の分岐点である50%を下回った。また、⼀致DIは62.5%とこちらは2カ⽉ぶりに景気判断の分岐点である50%を上回った。
●1⽉分景気動向指数・改定値では、⼀致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。所定外労働時間指数確報値が速報値と同じ前⽉⽐▲0.9%なら前⽉差▲0.18程度のマイナス寄与になるとみられる。速報値段階と各系列の改定値が不変とすると、全体の⼀致CI前⽉差は+2.4程度と速報値の+2.9より上昇幅が縮⼩になるとみられる。また、⼀致DIでは所定外労働時間指数がマイナス符号で加わることになるため、他の指標の符号が不変なら、55.6%程度と速報値の62.5%から下⽅修正になるものの、景気判断の分岐点50%を引き続き上回ると予測する。
●先⾏CI改定値で新たに加わる実質機械受注(製造業)の前⽉差寄与度は+0.26程度のプラス寄与になると暫定的に予測する。指標発表⽇は3⽉14⽇である。在庫率関連データなどが確報値段階でどのようにリバイスされるかにもよるが、先⾏CI・改定値の前⽉差は▲0.1程度の下降と速報値の▲0.4から上⽅修正になるとみた。また、先⾏DIでは実質機械受注(製造業)がマイナス符号で加わり、40.0%程度と速報値の44.4%から下⽅修正になると予測する。
●2⽉分の先⾏CIの採⽤系列で、現時点で数値が判明しているのは、3⽉8⽇午後2時に発表された消費者態度指数に加え、これまでに発表されていた⽇経商品指数、東証株価指数、中⼩企業売上げ⾒通しDI、合わせて4系列である。この4系列全てが前⽉差マイナス寄与になることが判明している。先⾏CIは4カ⽉連続下降という、先⾏きの景気⾒通しに対し厳しい内容になる可能性が⼤きくなっている。
●また、2⽉分の先⾏DIでは、数値が判明している消費者態度指数、⽇経商品指数、東証株価指数、中⼩企業売上げ⾒通しDIの4系列全てがマイナス符号になることが判明している。このため2⽉分先⾏DI速報値は、0.0%以上55.6%以下が確定している。