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1月分全国消費者物価指数について

2016年2月26日

-コア指数前年同⽉⽐は0.0%と横ばい。横ばいは6カ⽉ぶり-
-コアコア指数前年同⽉⽐は+0.7%、17年5カ⽉ぶりの28カ⽉連続上昇-
-⽇銀試算の「除く⽣鮮⾷品・エネルギー」前年同⽉⽐は+1.1%で、前⽉から鈍化-

●1⽉分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.0となり、前⽉⽐は▲0.4%下落した。総合指数の前年同⽉⽐は0.0%と横這いになった。前年同⽉⽐横ばいは4カ⽉ぶりだ。

●⽣鮮⾷品の前年同⽉⽐は0.0%と横這いだった。12⽉分の+2.6%の上昇から伸び率が鈍化したので、総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.10%となった。エネルギー全体の前年同⽉⽐は▲10.7%下落した。12⽉分の▲11.0%下落からマイナス幅が縮⼩した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.06%と前年同⽉⽐の若⼲の押上げ要因になった。

●ガソリンの前年同⽉⽐は14年12⽉分で▲2.5%の下落と19カ⽉ぶりの下落となった後、前回の15年12⽉分では▲17.8%、今回の16年1⽉分では▲16.7%になった。16年1⽉分の前⽉⽐は▲7.0%の下落だが15年1⽉の前⽉⽐の下落幅が⼤きかったため、前年同⽉⽐のマイナス幅は縮⼩し、総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.06%とプラス寄与になった。灯油の前年同⽉⽐は14年12⽉分で▲3.4%の下落と28カ⽉ぶりの下落となった後、15年12⽉分では▲27.0%、今回の16年1⽉分では▲26.3%になった。前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.02%と押上げ要因になった。都市ガス代の前年同⽉⽐は▲11.6%と、12⽉分の▲11.7%から下落率が僅かに縮⼩した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.00%だった。⼀⽅、電気代の前年同⽉⽐は▲6.4%で、12⽉分の▲5.7%から下落率が拡⼤した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.03%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽⽤耐久財は1⽉分では前年同⽉⽐+11.7%と12⽉分の+14.7%から上昇率が縮⼩した。着実に進んできた脱デフレの動きが⼀服した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.03%だった。そのうちテレビは12⽉分の前年同⽉⽐+22.4%から1⽉分は+15.8%と鈍化した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.04%だった。また、家庭⽤耐久財は全体で前年同⽉⽐+1.0%で、12⽉分の前年同⽉⽐+4.7%から上昇率が縮⼩した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.03%だった。

●1⽉分の宿泊料は前年同⽉⽐+1.8%で、12⽉分の前年同⽉⽐+1.0%から上昇率が⾼まった。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.01%だった。12⽉分は前年同⽉⽐+6.0%の上昇だった外国パック旅⾏は、1⽉分では同+3.2%と鈍化した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.02%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同⽉⽐に対する財とサービスの12⽉分から1⽉分への寄与度差をみると、財は▲0.16%。サービスの総合指数・前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.04%であった。

●1⽉分の⽣鮮⾷品を除く総合指数は2010年を100とした指数は102.6で、前⽉⽐▲0.7%の下落。前年同⽉⽐は0.0%と横這いになった。前年同⽉⽐横ばいは6カ⽉ぶりだ。

●1⽉分の⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.9で、前⽉⽐▲0.7%の下落。前年同⽉⽐は+0.7%の上昇となった。12⽉分の+0.8%から伸び率が若⼲鈍化した。前年同⽉⽐は28カ⽉連続上昇した。28カ⽉連続前年同⽉⽐がプラスになったのは98年8⽉まで⻑期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年5カ⽉ぶりである。

●1⽉分の前⽉⽐では「被服及び履物」が季節的に⼤幅下落要因となる。今年は、その季節性を考慮した季節調整値の前⽉⽐でみても各指標とも下落となった。総合指数の季節調整済み指数は103.3で前⽉⽐▲0.3%の下落。⽣鮮⾷品を除く総合指数の季節調整済み指数は103.1でこちらも前⽉⽐▲0.3%の下落。⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数は101.4で前⽉⽐▲0.1%の下落である。

●ESPフォーキャスト調査・2⽉調査によると、15年7〜9⽉期に▲0.1%まで伸び率が弱まった全国消費者物価指数・⽣鮮⾷品を除く総合の前年同期⽐は、その後の各四半期の予測平均値をみると、16年1〜3⽉期は+0.12%、4〜6⽉期は+0.10%、7〜9⽉期は+0.32%、10〜12⽉期は+0.61%、17年1〜3⽉期は+0.97%、と緩やかに上昇していく⾒込みだ。15年度の上昇率は+0.04%。16年度の上昇率は+0.51%、17年度(消費増税の影響を除くベース)の上昇率は+1.06%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は16暦年38.70ドル/バレル、17暦年46.04ドル/バレル。円相場の予測平均値は15年度1ドル=121円23銭、16年度1ドル=121円76銭、17年度1ドル=122円68銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年7〜9⽉期は▲1.3%と、15年4〜6⽉期の▲1.4%からマイナス幅がやや縮⼩したが、10〜12⽉期ではマイナス幅が拡⼤したとみられる。需給ギャップの改善の先送りは、⾜元の消費者物価指数の前年同⽉⽐の上昇抑制要因になると思われる。

日銀:消費者物価の基調的な変動

●総務省の発表を受け、⽇銀が発表した「消費者物価の基調的な変動」によると、1⽉分の総合(除く⽣鮮⾷品・エネルギー)の前年同⽉⽐は+1.1%で、12⽉分の+1.3%から伸び率が鈍化した。

2月分の暫定的予測

●2⽉分の全国消費者物価指数・総合の前年同⽉⽐は、1⽉分の0.0%から2カ⽉ぶりの上昇に転じ、+0.3%程度になると予測する。前⽉⽐は+0.2%程度とみる。

●2⽉分の全国消費者物価指数・⽣鮮⾷品を除く総合の前年同⽉⽐は、1⽉分の0.0%から2カ⽉ぶりの上昇に転じ、+0.1%程度になると予測する。前⽉⽐は0.0%程度とみる。

●また、2⽉分の⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同⽉⽐は+0.7%程度と1⽉分の同+0.7%と同程度の伸び率になると予測する。前年同⽉⽐は98年8⽉までの連続上昇以来、17年6カ⽉ぶりの29カ⽉連続プラスになりそうだ。前⽉⽐は+0.1%程度になろう。

●関連データである2⽉分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同⽉⽐は+0.1%と1⽉分の▲0.3%の下落から上昇に転じた。1⽉分で▲3.2%だった⽣鮮⾷品の前年同⽉⽐は+4.1%の上昇になった。⽣鮮⾷品の総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.29%になり前年同⽉⽐の上昇要因になった。エネルギー全体の前年同⽉⽐は▲13.5%で1⽉分の下落率の同▲12.3%からマイナス幅が拡⼤した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.08%の下落要因になった。⼀⽅、2⽉分ではテレビの前年同⽉⽐は+13.4%で1⽉分同+13.9%から上昇率が僅かに鈍化した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.00%だった。2⽉分の宿泊料は前年同⽉⽐+2.9%で、1⽉分の前年同⽉⽐+1.8%から伸び率が上昇した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.02%になった。2⽉分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前⽉⽐は+0.4%だった。また、⼤阪市の総合2⽉分前年同⽉⽐は+0.8%と1⽉分の同+0.6%から伸び率が⾼まり、33カ⽉連続の上昇になった。2⽉分の前⽉⽐は+0.1%の上昇だった。

●2⽉分の⽣鮮⾷品を除く総合の前年同⽉⽐は、東京都区部(速報)は▲0.1%で1⽉分と同じであった。2カ⽉連続の下落だ。2⽉分の前⽉⽐は+0.2%だった。⼤阪市の⽣鮮⾷品を除く総合の2⽉分前年同⽉⽐は+0.5%で1⽉分と同じ伸び率で、34カ⽉連続の上昇になった。2⽉分の前⽉⽐は+0.1%だった。

●東京都区部(速報)の⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の2⽉分前年同⽉⽐は+0.5%で1⽉分の同+0.4%から僅かに伸び率を⾼め、10カ⽉連続の上昇になった。2⽉分の前⽉⽐は+0.3%だった。また、⼤阪市では2⽉分の前年同⽉⽐は+0.6%と1⽉分の同+0.7%から伸び率が鈍化したが、29カ⽉連続の上昇となった。2⽉分の前⽉⽐は+0.1%だった。

●⽇経ナウキャストS指数の前年同⽉⽐は2⽉分が+1.96%で1⽉分の+2.20%から鈍化していたが、東京都区部の各指数の前年同⽉⽐は1⽉分から鈍化したものはなく、今回は異なる動きになった。