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2015年12月調査日銀短観予測

2015年12月7日

●12月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+12と9月調査の+12と同程度になると予測する。11期連続で「良い」超のプラスになろう。中国景気減速に対する懸念は残るもののマインドの底打ち感が出ると見た。11月10日時点での製造工業生産予測指数で延長すると10~12月期の鉱工業生産指数は前期比+1.5%で3四半期ぶりの増加が見込まれている。

●一方、大企業・非製造業の業況判断DIは、不動産や小売などのDIが9月調査に比べて低下するとみられ、23年10カ月ぶりの高水準だった9月調査の+25から4ポイント程度低下し+21程度になると予測する。18期連続で「良い」超のプラスにはなろう。

●大企業・製造業の業況判断DIが+12程度と予測通りなら、9月調査の先行き見通し+10を2ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が+21程度と予測通りなら、9月調査の先行き見通し+19を2ポイント上回ることになる。どちらも足元の景況感が事前の予想より悪化しなかったことを示唆する数字になろう。

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られている12月調査のロイター短観、12月調査のQUICK短観などを参考にした。

●12月7日に発表されたロイター短観12月調査の調査期間は11月20日から12月2日となっている。400社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査の+9と同じ+9となった。一方、非製造業DIは9月調査の+23から5ポイント低下の+18となった。内訳をみると、不動産・建設は+37と9月調査の+39から低下した。小売は+5で2ケタのプラスであった9月調査の+13から8ポイント低下した。通信・情報サービスは9月調査の+47から12ポイント悪化し+35となった。なお、200社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査の+19から1ポイント低下し+18となった。一方、非製造業DIは9月調査の+21から3ポイント低下の+18となった。

●また、12月4日に発表されたQUICK短観12月調査の調査期間は11月18日から12月1日である。製造業の業況判断DIは9月調査の+21から4ポイント低下の+17となった。また、非製造業DIは9月調査の+36から4ポイント悪化し+32となった。

●ロイター短観の3月までの「先行き見通し」は、製造業の400社ベースで+10と12月実績の+9より1ポイント改善、非製造業の400社ベースの3月までの「先行き見通し」は+18と、12月実績と同じという予想である。QUICK短観の製造業の3月までの「先行き見通し」は+12で12月実績の+17より5ポイント低下の予想、非製造業の「先行き見通し」は+30で12月実績の+32に比べて2ポイント低下する予想である。

●日銀短観の大企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、ロイター短観やQUICK短観や最近の経済動向などを参考にして、製造業で12月実績比1ポイント改善の+13程度、非製造業は12月実績比1ポイント改善の+22程度と予測した。

●12月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が9月調査の0から1ポイント悪化の▲1程度、非製造業が9月調査の+3から2ポイント悪化の+1程度と予測した。商工中金・中小企業景況判断指数や景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

●12月調査日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲1程度と予測通りなら、9月調査の「先行き見通し」▲2を1ポイント上回り、製造業では足元の景況感が事前の予想より良かったことを示唆する数字になろう。また中小企業・非製造業が+1程度と予測どおりなら、9月調査の「先行き見通し」+1と同じになり、非製造業では景況感が事前の予想通りに悪化したということになるとみた。

●参考データの商工中金の中小企業月次景況観測の景気判断指数は直近1 1 月分で製造業が49.6(9月分48.1、10月分48.1、12月予測46.9)で、非製造業は11月分が50.2(9月分49.7、10月分49.1、12月予測49.6)となっている。

●景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIの最近の推移は製造業が8月調査46.4、9月調査46.3、10月調査44.7で、非製造業は8月調査48.9、9月調査49.2、10月調査48.1となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの3月までの「先行き見通し」は、依然先行きの景気にやや不安を感じている企業が多いとみて、製造業で12月実績比1ポイント悪化の▲2程度、非製造業は12月実績比1ポイント悪化の0程度と予測した。

●2015年度の大企業・全産業の設備投資実績は12月調査では前年度比+10.7%程度と、9月調査の同+10.9%からやや鈍化すると予測した。過去の修正パターンや、最近の設備投資計画調査などを参考に予測した。

●2015年度の中小企業・全産業の設備投資実績は12月調査では前年度比▲0.4%程度と6月調査の同▲6.1%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

●12月調査の日銀短観は総じてみれば、依然景気動向にやや不安を感じている企業が多い中で踊り場的な数字になると思われるが、改善の兆しもみられる内容になると予測する。