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7月分全国消費者物価指数について

2015年8月28日

―コア指数103.4、前年7月は103.5だが、前年同月比は0.0%―

―8月分東京都区部・コア前年同月比は2カ月連続▲0.1%―

●7月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.7となり、前月比は▲0.1%下落した。総合指数の前年同月比は+0.2%の上昇となった。6月分の+0.4%から伸び率は鈍化したが、26カ月連続の前年同月比上昇となった。26カ月連続前年同月比がプラスなのは87年6月から94年6月まで85カ月間連続で上昇していた時以来で、21年1カ月ぶりのことだ。

●生鮮食品の前年同月比は+7.3%の上昇だった。6月分の+7.2%の上昇とほぼ同じ伸び率だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲8.7%下落した。6月分は▲7.0%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.17%の押下げ要因になった。

●ガソリンの前年同月比は昨年12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の6月分では▲14.2%に、今回の7月分では▲15.2%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%だった。総合指数の前年同月比の下落に寄与した。灯油の前年同月比は昨年12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、6月分では▲21.1%、7月分では▲21.4%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。電気代の前年同月比は▲3.8%で、6月分の▲1.5%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%と押し下げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は▲6.6%と、こちらも6月分の▲3.2%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は7月分では前年同月比+1.9%と6月分の+0.4%から上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。そのうちテレビは6月分の前年同月比+3.3%から7月分は+5.3%となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+0.8%で、6月分の前年同月比+0.6%からやや上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。これらは脱デフレの動きが出てきた品目だろう。

●7月分の宿泊料は前年同月比+5.0%で、6月分の前年同月比+3.9%から上昇率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。一方、6月分は前年同月比▲4.1%と下落だった外国パック旅行は、7月分では同▲1.9%と下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの6月分から7月分への寄与度差をみると、財は▲0.12%。サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%であった。

●7月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.4で、前月比0.0%と横這いだった。前年7月分の指数は103.5だったが、前年同月比は0.0%だった。マイナスの伸び率になるとみられていた市場の事前予想を上回ったと報じられたが、細かく見るとやはりマイナスで、▲0.0%ということなのだろう。なお、前年同月比は6月分まで25カ月連続で上昇していたが26カ月ぶりに途切れた。なお、6月までの25カ月連続での上昇は96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来17年2カ月ぶりのことであった。

●7月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.2となり、前月比+0.1%の上昇、また前年同月比は+0.6%の上昇となった。6月分の+0.6%と同じ伸び率だった。前年同月比は22カ月連続上昇した。22カ月連続前年同月比がプラスになったのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、16年11カ月ぶりである。

●総合指数の季節調整済み指数は7月分が103.8で前月比0.0%と横這い。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は7月分が103.3でこちらも前月比0.0%と横這い。2月分の102.9を直近のボトムとして緩やかな上昇基調にある。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数7月分は101.2で前月比+0.1%の上昇になった。1月分の100.6を直近のボトムとしてこちらも緩やかな上昇基調にある。

●ESPフォーキャスト調査・8月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、15年7~9月期▲0.10%と、ここまで伸び率は弱含むというのが平均的な見通しである。その後前年同期比の予測平均値は上昇に転じ、10~12月期は+0.31%、16年1~3月期は+0.82%と上昇していく見込み。15年度の上昇率は+0.28%。16年度の上昇率は+1.17%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15年56.1ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=123円22銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年1~3月期は▲1.6%と、14年10~12月期の▲2.4%からマイナス幅が縮小した。15年4~6月期の実質GDP前期比年率はマイナス成長だったので需給ギャップは改善しないとみられるが、7~9月期以降は潜在成長率を上回る成長になると思われ、需給ギャップの改善が見込まれる。先行きの消費者物価指数の前年同月比の上昇要因になると思われる。

(8月分の暫定的予測)

●8月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、7月分の+0.2%からやや上昇し、+0.4%程度の伸び率になると予測する。プラスの伸び率は維持し、87年6月から94年6月まで85カ月間連続で上昇していた時以来、21年2カ月ぶりの27カ月連続の前年同月比プラスになろう。前月比は+0.3%程度とみる。

●8月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、7月分と同じ0.0%程度になると予測する。これは季節調整値の指数水準でみると昨年度(14年度)中のレンジが102.9~103.5であったのに対し14年8月分が103.4と7月分の103.5に次いで二番目に高い水準であったことの反動といった面も大きい。前月比は+0.1%程度になろう。

●また、8月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+0.8%程度と7月分の同+0.6%から伸び率を高めると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、17年ぶりの23カ月連続プラスになりそうだ。前月比は+0.3%程度になろう。

●関連データである8月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は+0.1%と7月分の+0.1%と同じであった。これで26カ月連続の上昇になった。7月分で+5.9%だった生鮮食品の前年同月比は+5.2%にやや鈍化した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%になり前年同月比の若干の押し下げ要因になった。エネルギー全体の前年同月比は▲10.7%となり7月分の▲8.3%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.16%になった。また、8月分ではテレビの前年同月比は+10.9%、7月分同+5.8%から上昇率を高めた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%になり前年同月比の押し上げ要因になった。8月分の宿泊料は前年同月比+4.5%で、7月分の前年同月比+5.0%から伸び率がやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%になった。7月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は+0.2%の上昇だった。一方、大阪市の総合8月分前年同月比は+0.8%と7月分の同+0.5%から伸び率を高めた。27カ月連続の上昇になった。8月分の前月比は+0.4%だった。

●8月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.1%で7月分と同じで2カ月連続の下落になった。8月分の前月比は+0.1%で2カ月ぶりの上昇だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の8月分前年同月比は+0.4%で7月分の+0.2%から上昇し、28カ月連続の上昇になった。8月分の前月比は+0.1%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の8月分前年同月比は+0.4%で7月分の+0.3%から上昇した。4カ月連続の上昇になった。8月分の前月比は+0.3%だった。大阪市では8月分の前年同月比は+0.9%と7月分の+0.6%から上昇した。これで23カ月連続の上昇になった。8月分の前月比は+0.4%だった。