ホームマーケット経済指標解説15年4~6月期実質GDP(第1次速報値)予測

15年4~6月期実質GDP(第1次速報値)予測

2015年7月31日

●8月17日に発表される4~6月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲0.2%程度、前期比年率▲0.6%程度を予測する。3四半期ぶりのマイナス成長になるとみた。ESPフォーキャスト調査7月調査の予測平均値前期比年率+0.72%を下回り、低位8人の平均の同▲0.38%さえも下回る結果になるのではないかとみた。

●現段階でのデータをもとに総合的に判断し、季節調整替えの影響を考慮しないとすると、4~6月期の実質GDPはマイナス成長になるとみられるが、季節調整替えの影響などが大きくプラスに出れば0%程度の成長率になる可能性もあろう。

●4~6月期実質GDP第1次速報値では内需は前期比+0.1%程度のプラス寄与度を予測する。但し、このうち+0.2%程度が公的需要によりもたらされるものであろう。政府最終消費支出と公共投資はともに前期比増加となろう。民間需要は弱いだろう。個人消費は前期比▲0.3%程度と消費税率が引き上げられた昨年4~6月期の▲5.1%以来4四半期ぶりの減少になりそうだ。設備投資は第1次速報値段階で使用する供給サイドの資本財関連のデータからみて増加にはなろうが前期比+0.3%程度と1~3月期の+2.7%に比べ伸び率が大幅に鈍化しよう。住宅投資は消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動の落ち込みが一服し4四半期ぶりに前期比増加となった1~3月期に続き2四半期連続して増加となろう。民間在庫投資は前期比若干のマイナス寄与になるとみた。

●外需は、輸出が4四半期ぶりに前期比減少し、輸入の前期比も4四半期ぶりに前期比減少するとみた。外需の前期比寄与度は▲0.3%程度とみた。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4~6月期の前期比は▲7.2%の減少になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+1.9%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4~6月期の前期比は▲1.6%の減少になった。家計調査は6月分が前月比▲2.6%と予想外に弱かった。税制が変わり軽自動車への需要が落ち込んだことで乗用車販売台数の4~6月期の前期比は▲3.3%の減少になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)は期初の4月分が前月比▲1.4%と大幅に落ち込んだことが響く。4~5月平均の対1~3月平均比は▲0.5%の減少だ。雇用・所得環境は改善しているものの、関連データから総合的に考えると、4~6月期第1次速報値の個人消費は、前期比でマイナスの伸び率になるとみられる。

●設備投資の関連データである資本財(除.輸送機械)の4~6月期の前期比は▲2.2%の減少になった。一方、建設財は同+1.8%の増加になった。また、鉱工業財別総供給をみると、資本財(除.輸送機械)の4~5月平均の対1~3月平均比は▲1.3%、一方、建設財は同+0.9%である。ソフトウエア投資は4~5月分の前年比は+1.3%で1~3月期の同+4.0%から伸び率が鈍化している。総合的に考えると、供給サイドから推計される4~6月期の実質設備投資は1~3月期の前期比+2.7%から鈍化し+0.3%程度の緩やかな増加にとどまりそうだ。

●住宅投資は前期比+2.7%程度と、2四半期連続の増加になろう。昨年9月末までの消費税引き上げ前の駆け込みの反動が一服したことが大きいとみられる。先行指数の住宅着工のデータなどを参考に予測した。

●在庫投資の前期比寄与度は▲0.1%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲2716億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲5361億円である。鉱工業在庫指数の前期比は1~3月期+1.0%だったが、4~6月期は+0.9%と伸び率が鈍化したことなどを考慮した。

●公共投資は、前期比+3.0%程度とみた。2四半期ぶりの増加になろう。

●実質輸出入の動向をみると、輸出の4~6月期の前期比は▲3.6%の減少になった。今冬の米国の港湾スト解除のあと、輸送船の動向が影響して輸出動向が不規則になっている可能性もありそうだ。輸入は同▲1.8%の減少になっている。モノだけで外需は▲0.3%程度の前期比マイナス寄与になりそうだ。非居住者家計の国内での直接購入はサービス面で輸出の伸びにプラス寄与するが、最近かなりの勢いで伸びているとはいえ15年1~3月期時点で、実質GDPの輸出に対するシェアが2.4%程度に過ぎないことを考慮すると、4~6月期の外需の前期比寄与度は前期比▲0.3%程度とマイナス寄与になると予測する。