ホームマーケット経済指標解説15年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

15年1~3月期実質GDP(第2次速報値)について

2015年6月8日

●1~3月期の実質GDP・第2次速報値は、前期比+1.0%、前期比年率+3.9%と、第1次速報値の前期比+0.6%、前期比年率+2.4%から上方修正となった。

●1~3月期の実質GDP・第2次速報値では、設備投資、民間在庫投資が上方修正された。個人消費、政府最終消費、公共投資、輸出、輸入が第1次速報値と変わらず、住宅投資、公共投資が下方修正された。

●また、名目GDP・第2次速報値は、前期比+2.3%、前期比年率+9.4%と、第1次速報値の前期比+1.9%、前期比年率+7.7%から下方修正となった。

●1~3月期の名目設備投資・第2次速報値は、前期比+2.7%と、第1次速報値の前期比+0.5%から上方修正となった。実質設備投資・第2次速報値は、前期比+2.7%と、第1次速報値の前期比+0.4%の増加から上方修正となった。設備投資の上方修正がGDPの上方修正の主因である。

●1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+17.3%の増加、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+24.8%の増加であったが、今回第2次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+16.7%の増加、需要側推計値の名目原系列前期比は+33.1%の増加である。1~3月期の法人企業統計で設備投資・原数値・前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は前期比+35.0%だったが断層補正をおこなうことで伸び率は低めになったとみられる。

●1~3月期・第2次速報値の実質民間在庫投資・前期比寄与度は+0.6%と、第1次速報値の同+0.5%から0.1ポイントの上方修正となった。前期比寄与度の内訳をみると、製品在庫は▲0.1%のマイナス寄与で第1次速報値と同じだった。残りの3系列はプラス寄与で、仕掛品在庫は+0.1%で第1次速報値(仮置き値)の+0.3%から下方修正、原材料在庫は+0.2%で第1次速報値(仮置き値)の0.0%から上方修正、流通在庫は+0.4%で第1次速報値の+0.3%から上方修正だった。

●GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.7%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、製品在庫だけが前年同期比マイナス寄与で、残りプラス寄与の中では、流通在庫の前年同期比寄与度が一番大きく、仮置きの仕掛品在庫、原材料在庫はどちらも流通在庫より前年同期比寄与度は小さく両者を合わせても流通在庫の前年同期比寄与度にとどかない模様だ。第2次速報値では名目民間在庫投資・前年同期比寄与度は+1.0%となった。前年同期比寄与度の内訳をみると、製品在庫と仕掛品在庫が若干のマイナス寄与になった。評価の関係で原材料在庫は上方修正されプラス寄与度が大きくなったようだ。残りの流通在庫は大きなプラスだったようだ。

●内閣府が「今週の指標」で発表しているGDPギャップは、1~3月期(第1次速報値段階)は▲1.9%となり、14年10-12月期の▲2.3%からマイナス幅が縮小していたが、今回の第2次速報値を反映すると、さらにマイナス幅が縮小することになり、デフレ要因が剥落していくことを意味しよう。

●次の4~6月期の統計は、まだ主に4月分のデータだけしか発表されていない。

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、4~6月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲2716億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲5361億円である。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4月分の対1~3月平均比は▲5.2%の減少になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+0.2%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4月分の対1~3月平均比は▲2.1%の減少になった。軽自動車の販売が落ち込んだ乗用車販売台数の4~5月平均の対1~3月平均比は▲3.8%程度の減少になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)1~3月期から4~6月期へのゲタは+0.5%と高かったが、4月分の他のデータを見る限りゲタは食い潰されてしまった感がある。但し4月分で完全失業率が3.33%と18年ぶりの低水準になり、有効求人倍率が1.17倍と23年1カ月ぶりの水準になった。また、家計調査4月分では実質可処分所得の前年同月比が21カ月ぶりに増加になるなど、雇用・所得環境は改善している。総合的に考えると、4~6月期第1時速報値の個人消費は、前期比で緩やかな伸び率になる可能性が大きいとみられる。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4月分の対1~3月平均比は▲0.4%の減少になった。資本財(除.輸送機械)は同▲1.3%の減少になった。また、建設財は同+1.9%の増加になった。総合的に考えると、最終的に供給サイドから推計される4~6月期の実質設備投資は前期比若干の増加になる可能性が大きいとみられる。

●実質輸出入の動向をみると4月分の対1~3月平均比は▲0.7%の減少になった。輸入は同▲0.3%の減少になっている。4月分モノだけでみると外需は若干のマイナス寄与になる。4~6月期の外需の前期比寄与度はこれから持ち直し前期比プラス寄与になったとしてもほぼ横ばい圏にとどまる可能性が現時点では大きいと判断する。

●6月5日に発表された日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」6月調査によると4~6月期実質GDP成長率(前期比年率)の予測平均値は+1.70%のプラス成長になるという見通しである。

●総合的に判断すると、8月17日に発表される4~6月期の実質GDP第1次速報値は3四半期連続のプラス成長率だが緩やかな伸び率にとどまるものと予測される。

●15年度実質GDP成長率に関して14年度から15年度のゲタは+0.7%になった。15年度の各四半期の前期比+0.3%・前期比年率+1.2%だと、政府経済見通しの15年度実質経済成長率+1.5%を達成できる。15年度の各四半期の前期比+0.5%だと15年度の実質GDP成長率は+2.0%成長になる。実現は難しいだろうが、15年度の各四半期の前期比+0.9%だと15年度の実質GDP成長率は+3.0%成長になる。