ホームマーケット経済指標解説15年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて

15年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて

2015年6月1日

◎ 1~3月期設備投資(除くソフトウェア)前期比+5.8%、3四半期連続の増加に。
◎ 1~3月期実質GDP第2次速報値、設備投資は上方修正、在庫投資は下方修正か。

●15年1~3月期の法人企業統計調査(速報値)の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+8.1%と14年10~12月期の前年同期比+3.9%からは4.2ポイント改善し、8四半期連続の増加になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは1~3月期の全産業の前年同期比は+7.3%だった。10~12月期の前年同期比+2.8%からは4.5ポイント改善した。資本金1000万円以上1億円未満の前年同期比は+12.2%で、10~12月期の前年同期比▲4.4%からは16.6ポイント改善した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+11.1%で、10~12月期の前年同期比+15.3%からは4.2ポイント鈍化した。資本金10億円以上の前年同期比は+4.5%と3四半期連続の増加で、10~12月期の前年同期比+3.0%からは1.5ポイントの改善となった。

●供給サイドのデータから算出した15年1~3月期GDP第1次速報値では名目設備投資の前年同期比は▲3.5%の減少で、14年10~12月期の+1.6%から5.1ポイント悪化しマイナスに転じた。昨年の消費税引き上げ前の駆け込み需要が設備投資の一部で出ているようだ。名目設備投資1~3月期の前期比は+0.5%の増加で、10~12月期の+0.4%から0.1ポイント改善している。1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+17.3%の増加、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+24.8%の増加である。

●法人企業統計15年1~3月期の設備投資・季節調整済み前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は+5.8%で14年10~12月期の同+0.9%から4.9ポイント伸び率を高め、3四半期連続の増加になった。1~3月期の原数値の前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は+35.0%である。これに、断層補正をおこなうと伸び率は低めになるものの、第2次速報値で加わる法人企業統計調査のデータは上方修正要因になろう。また、3月確報分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は上方修正要因になりそうだ。一方、個人企業経済調査のデータは下方修正要因になりそうだ。総合的に判断して、第2次速報値での実質ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の+0.4%から上方修正となり+2.1%と同程度になると予測する。

在庫投資

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると15年1~3月期は▲5兆3511億円で14年1~3月期の▲3兆5055億円から▲1兆8456億円の減少となった。原材料在庫は15年1~3月期は▲8180億円で14年1~3月期の▲5117億円から▲3063億円の減少となった。合わせて▲2兆1519億円、前年同期に比べ減少した。一方、15年1~3月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は▲3兆3194億円で14年1~3月期の▲4兆1885億円より8691億円の増加であった。15年1~3月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.7%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、製品在庫だけが前年同期比マイナス寄与だった模様だ。残りプラス寄与の中では、流通在庫の前年同期比寄与度が一番大きく、仮置きの仕掛品在庫、原材料在庫はどちらも流通在庫より前年同期比寄与度は小さく両者を合わせても流通在庫の前年同期比寄与度にとどかない模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫と原材料在庫は下方修正要因とみられる。

●15年1~3月期GDP第1次速報値段階で民間在庫投資の実質・前期比寄与度は+0.5%と大きかった。内訳をみると、製品在庫だけがマイナス寄与で前期比寄与度▲0.1%、仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫はプラス寄与で前期比寄与度+0.3%、残る流通在庫もプラス寄与で前期比寄与度+0.3%だった。第2次速報値段階で仕掛品在庫・原材料在庫が下方修正され、実質在庫投資の前期比寄与度は+0.2%程度になるとみた。

15年1~3月期GDP・第2次速報値

●15年1~3月期GDP第2次速報値が法人企業統計の発表を受けて改定される部分に関しては、設備投資は前期比+2.1%程度になるとみた。また、法人企業統計により在庫投資は下方修正され前期比寄与度は+0.2%程度になるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は1月分+3.6%、2月分+0.2%だったが、3月分の伸び率は1~2月分平均の前年比より低い+0.8%だった。このことからみて第2次速報値での公共投資の前期比は第1次速報値から僅かに下方修正されるとみた。

●総合的に判断すると15年1~3月期実質GDP第2次速報値は前期比+0.6%程度、前期比年率+2.4%程度と、設備投資の上方修正、在庫投資、公共投資の下方修正で中身は入れ替わるものの、第1次速報値前期比+0.6%、前期比年率+2.4%と同程度の伸び率になると予測する。