4月分鉱工業生産指数・速報値について

2015年5月29日

- 4月分鉱工業生産指数・前月比+1.0%で3カ月ぶりの増加 -

- 生産の基調判断は「緩やかな持ち直し」で据え置き -

- 4月分景気動向指数・一致CI、「改善」判断継続に -

(鉱工業生産)

●鉱工業生産指数・4月分速報値前月比は+1.0%となった。3カ月ぶりの増加である。また、前年同月比は▲0.1%と7カ月連続の減少になった。

●製造工業生産予測調査によると、5月分前月比は+0.5%増加、6月分は同▲0.5%の減少である。

●鉱工業生産指数・季節調整値の3カ月後方移動平均値は14年8月分の97.3をボトムに12月分・3月分の横這いを含み7カ月連続前月比増加基調の後、4月分で前月比▲1.0%と減少に転じ、98.7になった。但し、製造工業生産予測で延長すると、5月分は前月比+0.2%、6月分は同+0.4%と増加になる。3カ月後方移動平均値は、振れがあるものの、緩やかな増加基調は維持していると考えられよう。

●4月分の生産を業種別にみると、15業種のうち増加が9業種、減少が6業種だった。電子部品・デバイス工業、電気機械工業、金属製品工業等が増加し、情報通信機械工業、税制変更の影響で4月分の軽自動車販売が落ち込んだ輸送機械工業、在庫調整を行っている鉄鋼業等が減少した。

●製造工業の実現率は▲1.9%と2カ月ぶりのマイナスになった。予測修正率は▲1.0%と19カ月連続のマイナスになった。

●先行きの鉱工業生産指数の5・6月分を製造工業生産予測指数の前月比で延長すると、4~6月期は前期比▲0.4%となる。3四半期ぶりの減少になる見込みだ。

●4月分速報値の鉱工業出荷指数・前月比は+0.4%と3カ月ぶりの増加になった。鉱工業在庫指数は前月比0.0%と2カ月連続の増加のあと横這いになった。鉱工業在庫率指数は112.8、前月比▲1.4%で3カ月ぶりの低下となった。15年1月の109.0以来の指数水準である。

●経済産業省の基調判断は14年3月分まで、「総じてみれば、生産は持ち直しの動きで推移している」とされていたが、消費税率引き上げがあった14年4月分で「総じてみれば、生産は横ばい傾向」と下方修正された。5月分でも同じ判断継続となった。6月分で12年8月分以来の表現である「総じてみれば、生産は弱含みで推移している」に下方修正され、7月分・8月分と判断継続となった。9月分で「総じてみれば、生産は一進一退にある」に上方修正され、10月分・11月分と据え置かれた。8月分を底に生産は増加傾向なので、12月分で判断は「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」に3カ月ぶりに上方修正された。15年1月分・2月分・3月分でも「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」で据え置きだった。今回4月分でも「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直しの動きがみられる」で据え置かれた。

●鉱工業全体での縦軸に在庫の前年比をとった在庫サイクル図をみると、14年1~3月期では、出荷の前年比が+7.4%、在庫が同▲1.2%、と45度線を下回っていた。しかし、14年4~6月期では、在庫が前年同期比増加に転じ、出荷の前年比が+0.9%、在庫が同+3.1%、と45度線を上回ってしまった。14年7~9月期で、出荷の前年比が▲0.8%、在庫が同+4.1%、と45度線を上回り、14年10~12月期で、出荷の前年比が▲1.9%、在庫が同+6.2%、15年1~3月期で、出荷の前年比が▲2.4%、在庫が同+6.2%と45度線を上回っている。15年4月分でも、出荷の前年比が0.0%、在庫が同+6.3%、と45度線を上回っている。在庫サイクル図からは、依然、在庫積み上がり局面にあると言える。

(4~6月期のGDP予測)

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の4月分の対1~3月平均比は▲5.2%の減少になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+0.2%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の4月分の対1~3月平均比は▲2.1%の減少になった。軽自動車の販売が落ち込んだ乗用車販売台数の4月分の対1~3月平均比は▲9.2%の減少になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)1~3月期から4~6月期へのゲタは+0.5%と高かったが、4月分のデータを見る限りゲタは食い潰されてしまった感がある。但し本日発表の労働力調査4月分で完全失業率が3.33%と18年ぶりの低水準になり、家計調査4月分で実質可処分所得の前年同月比が21カ月ぶりに増加になるなど、雇用・所得環境は改善している。総合的に考えると、4~6月期第1次速報値の個人消費は、前期比で緩やかな伸び率になる可能性が大きいとみられる。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の4月分の対1~3月平均比は▲0.4%の減少になった。資本財(除.輸送機械)は同▲1.3%の減少になった。また、建設財は同+1.9%の増加になった。総合的に考えると、最終的に供給サイドから推計される4~6月期の実質設備投資は前期比若干の増加になる可能性が大きいとみられる。

●実質輸出入の動向をみると輸出の4月分の対1~3月平均比は▲0.7%の減少になった。輸入は同▲0.3%の減少になっている。4月分モノだけでみると外需は若干のマイナス寄与になる。4~6月期の外需の前期比寄与度はこれから持ち直し前期比プラス寄与になったとしてもほぼ横ばい圏にとどまる可能性が現時点では大きいと判断する。

●現段階で4月分のデータをもとに総合的に判断すると、8月17日に発表される4~6月期の実質GDP第1次速報値は緩やかなプラス成長になる可能性が大きそうだ。

(4月分景気動向指数予測)

●4月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+1.4程度と2カ月連続の上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列では、5月29日午前9時現在、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、日経商品指数、東証株価指数の5系列が前月差プラス寄与、消費者態度指数、長短金利差、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新設住宅着工床面積は前月差マイナス寄与になると予測した。

●4月分の一致CIは前月差+1.3程度と3カ月ぶりの上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な10系列では、5月29日午前9時現在、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の6系列が前月差プラス寄与に、大口電力使用量、耐久消費財出荷指数の2系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、所定外労働時間指数、中小企業出荷指数の2系列はプラス寄与になると予測する。

●一致CIを使った景気の基調判断は14年12月分以来の、「改善を示している」という判断が4月分でも継続になろう。4月分が予測通りなら、一致CIの3カ月後方移動平均と7カ月後方移動平均の前月差はともに2カ月連続の下降になるものの、一致CIの前月差が上昇なので、「改善を示している」を維持する。恣意性がない機械的な景気の基調判断で、5カ月連続で「改善」が続くことは、人々の景気に関する悲観的な見方を徐々に払拭させる材料と言えよう。

●4月分の先行DIは66.7%程度と4カ月連続して景気判断の分岐点である50%を上回ると予測する。5月29日午前9時現在、速報値からデータが利用可能な9系列中、消費者態度指数、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数の3系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは55.6%以上66.7%以下と50%超が確定している。残る、新設住宅着工床面積はプラス符号になると予測した。

●4月分の一致DIは30.0%程度と景気の分岐点である50%を2カ月連続下回ると予測する。速報値からデータが利用可能な10系列では、5月29日午前9時現在、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の3系列がプラス符号に、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、大口電力使用量、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数の5系列がマイナス符号になることが判明している。一致DIは30.0%以上50.0%以下と50%以下が確定している。残る2系列では、所定外労働時間指数、中小企業出荷指数ともマイナス符号になると予測した。