15年1~3月期実質GDP(第1次速報値)について

2015年5月20日

●15年1~3月期実質GDP成長率・第1次速報値は前期比+0.6%、前期比年率+2.4%と2四半期連続のプラス成長になった。国内民需を中心に景気回復していることを確認できる内容になった。

●民間エコノミストのコンセンサス調査であるESPフォーキャスト調査・5月調査では15年1~3月期実質GDP成長率の平均予測値は前期比年率+1.84%であった。今回の+2.4%という結果は予測平均値を上回る伸び率だった。

●1~3月期第1次速報値が予測より上振れした理由のひとつは、GDPの約6割を占める個人消費(民間最終消費支出:表参照)が+0.4%だったことだろう。直近のデータからは3月分がしっかりで4~6月期へのゲタは高そうだが1~3月期の前期比は微増としか言えない状況だった。GDP統計の実質個人消費とほぼ同じ伸び率となる消費総合指数の1~3月期の前期比は5月18日に公表されたが+0.1%の増加であった。前期比年率だと、1%近くの差である。リーマンショックが発生してからかなりの年月が経ちその影響が季節調整をかけ直すことで剥落するなど、最近は季節調整のかけ直しの影響が大きく出ているようだ。GDP統計の結果はある程度幅を持ってみる必要があろう。

●1~3月期の名目GDP成長率は前期比+1.9%、前期比年率+7.7%と、こちらも2四半期連続の前期比プラス成長になった。

●約6割のウエイトがある最大の需要項目の実質個人消費の1~3月期は前期比+0.4%で3四半期連続の増加となった。実質雇用者報酬は前期比+0.6%で10~12月期の0.0%を挟み、7~9月期から増加基調が続いている。個人消費を取り巻く環境が良くなってきているようだ。実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は+1.1%と2四半期連続の増加になった。半耐久財の前期比は+0.6%で3四半期連続の増加になった。非耐久財の前期比は+0.4%で3四半期連続の増加になった。サービスの前期比は+0.4%で、2四半期連続の増加になった。

●設備投資は前期比+0.4%、住宅投資は前期比+1.8%と、どちらも4四半期ぶりの増加になった。政府最終消費は前期比+0.1%と4四半期連続増加だが微増である。公共投資は、前期比▲1.4%と4四半期ぶりの減少だった。

●民間在庫投資の実質・前期比寄与度は+0.5%と大きかった。これも事前の予想を上回る要因のひとつだろう。今回から詳細に公表されるようになった内訳をみると、製品在庫だけがマイナス寄与で前期比寄与度▲0.1%、仮置き値の原材料在庫は前期比寄与度0.0%、同じく仮置き値の仕掛品在庫はプラス寄与で前期比寄与度+0.3%、残る流通在庫もプラス寄与で前期比寄与度+0.3%だった。

●外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.2%と4四半期ぶりのマイナス寄与になった。実質輸出は前期比+2.4%と3四半期連続の増加になった。財は前期比+1.9%と3四半期連続増加、サービスは前期比+5.3%と6四半期連続の増加だった。実質輸入の前期比は+2.9%と3四半期連続の増加になった。財に関しては前期比+2.3%と3四半期連続増加、サービスは前期比+5.8%の増加と2四半期ぶりに増加に転じた。

●実質交易利得の前期比寄与度は+1.1%で2四半期連続のプラスだった。実質GDI(国内総所得)の前期比は+1.8%と2四半期連続の増加。実質GNI(国民総所得)の前期比は+0.9%とこちらも2四半期連続の増加になった。

●1~3月期のGDPデフレーターの前年同期比は+3.4%で、5四半期連続プラスの伸び率になった。昨年1~3月期は+0.1%、消費税率引き上げの影響で4~6月期以降10~12月期は+2%台だった。今回1~3月期で3%台になったのは、輸入デフレーターが原油価格下落の影響で前年同期比▲6.8%と10四半期ぶりにマイナスに転じたことが影響している。国内需要デフレーターの前年同期比は+1.4%で、7四半期連続プラスの伸び率だった。また、1~3月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは+1.3%で2四半期連続のプラス、国内需要デフレーターの前期比は▲0.3%で7四半期ぶりにマイナスに転じた。

●14年度の実質GDP成長率は▲1.0%と2009年度以来のマイナス成長になった。名目GDP成長率は+1.4%となった。年度GDPの名実逆転の解消は97年度以来17年度ぶりである。

●15年度実質GDP成長率の政府見通しは+1.5%だが、各四半期の前期比が+0.5%(小数点第二位までだと+0.41%)で達成される。14年度から15年度へのゲタは+0.4%になった。

●6月8日に発表される1~3月期第2次速報値では6月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定されるので、法人企業統計の内容が注目される。

●供給サイドのデータに基づいて算出した、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+17.3%の増加で、また需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+24.8%の増加であると、今回公表された。15年1~3月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資の予測をする時に参考になる数字だ。なお、法人企業統計の類似データと言われている建設物価調査会・設備投資調査(土地・ソフトウエア除く)(調査時点3月1日)の発表が遅れている。本日電話で確認したところ6月上旬頃公表とのことで、法人企業統計の予測などには使えない。

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.7%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、製品在庫だけが前年同期比マイナス寄与だった模様だ。残りプラス寄与の中では、流通在庫の前年同期比寄与度が一番大きく、仮置きの仕掛品在庫、原材料在庫はどちらも流通在庫より前年同期比寄与度は小さく両者を合わせても流通在庫の前年同期比寄与度にとどかない模様だ。