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3月分機械受注について

2015年5月18日

― 3月分機械受注(除船電民需)前月比+2.9%と2カ月ぶり増加 ―
― 内閣府判断は「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」で判断据え置き ―

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+2.9%の増加である。今回年に一度の季節調整替えが行われたので、3カ月ぶりの増加ではなく、2カ月ぶりの増加になった。一方、3月分機械受注(除船電民需)の前年同月比は+2.6%と4カ月連続増加となった。
●機械受注(除船電民需)の大型案件は1月分、2月分は各1件だったが、今回は、年度末ということもあって6件もあった。業種ごとの内訳は、パルプ・紙・加工品で火水力原動機1件、化学工業で火水力原動機1件、造船業で内燃機関2件、通信業で通信機1件、その他製造業で航空機1件だった。除船電民需以外では、電力業で原子力原動機2件、火水力原動機4件など小計8件、運輸業・郵便業で船舶1件、官公需で防衛相の航空機4件など小計6件、外需で火水力原動機1件、鉄道車両2件、航空機2件、船舶2件の小計7件、合計で28件もあった。

●1~3月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+1.5%の増加であったが、季節調整替えがあったものの、実績は+6.3%と大幅に上回っての見通し達成となった。これで3四半期連続の前期比増加となり、機械の設備投資が目先増加基調であることを示唆している。
●3月分の製造業の前月比は+0.3%と3カ月ぶりの増加になった。製造業15業種中、8業種が増加で7業種が減少になった。3月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+4.7%と2カ月ぶりの増加になった。非製造業全体では、前月比は+24.7%と2カ月ぶりの増加となった。非製造業12業種中、10業種が増加で2業種が減少となった。
●4~6月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲7.4%と大幅な減少である。今回の見通しは単純集計値に過去3四半期の平均達成率100.1%を乗じて求めている。ただ、単純集計値の数字の実現にとどまると仮定すると前期比は▲7.5%程度の減少になる。
●4~6月期の機械受注(除船電民需)前期比見通し▲7.4%は、4~6月各月の前月比が各▲3.8%の減少で達成できる。4~6月各月の前月比がゼロだと4~6月期の機械受注(除船電民需)前期比実績は+1.4%程度の増加になる。
●4~6月期は、2001年(平成13年)~09年(平成21年)の9年間では「実績」が「見通し」を上回ったが、10年(平成22年)~14年(平成26年)の5年間では10年・11年・12年・14年の4年間は下振れ、残りの13年だけは「実績」が「見通し」を上回った。15年(平成27年)は上振れになる可能性大とみる。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の3月分は▲8.2%と減少したが、4~6月期の見通しは+5.9%と2四半期ぶりの増加見通しになっている。
●3月分の外需は、前月比▲13.5%と4カ月ぶりの減少となった。4~6月期見通しは前期比▲2.4%と2四半期ぶりの減少が予想される。米国・中国など世界経済の見通しが不透明になっていることもあり、実績がどうなるかをしっかり見極めたいところだ。
●内閣府の基調判断は、14年7月分では「機械受注は、一進一退で推移している」であったが、8月分では「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と5カ月ぶりの上方修正になり、9月分・10月分では据え置きとなった。11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に3カ月ぶりに下方修正されたが、それも一時的で、12月分では「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と、2カ月ぶりに上方修正され、8~10月分と同じ判断に戻った。1月分・2月分に続き今回3月分も「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と判断据え置きになった。
●3月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注がある。前月差寄与度は+0.15程度のプラス寄与になるとみる。在庫率関連データなどが速報値段階と確報値段階とで数字が変わらないと仮定すると、先行CI・改定値の前月差は+0.9程度の上昇と速報値の前月差+0.8の上昇から僅かに上方修正になると予測する。また、先行DIでは実質機械受注がプラス符号で加わり、60.0%程度と速報値の55.6%から上方修正になると予測する。