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3月分全国消費者物価指数について

2015年5月1日

―コア前年同月比+2.2%、増税除くベースで+0.2%と僅かなプラスに―
―4月分東京都区部・コア前年同月比+0.4%―

●3月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.3となり、前月比は+0.4%上昇した。総合指数の前年同月比は+2.3%の上昇となった。2月分の+2.2%から0.1ポイント上昇し、22カ月連続の前年同月比上昇となった。22カ月連続前年同月比がプラスなのは95年3月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、20年ぶりのことだ。

●生鮮食品の前年同月比は+6.3%の上昇だった。2月分は+5.3%の上昇だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.04%とプラスになった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲1.0%下落した。2月分は▲2.1%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.10%の押上げ要因になった。総合指数の前年同月比では生鮮食品もエネルギーも上昇に寄与した格好だ。

●3月分の宿泊料は前年同月比+8.0%で、2月分の前年同月比+8.6%から伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.00%だった。2月分は前年同月比+3.0%の上昇だった外国パック旅行は、3月分では同+7.0%へ伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。

●原油相場の底入れに伴いガソリンや灯油などの石油製品が総合指数の前年同月比上昇に寄与している。ガソリンの前年同月比は12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の2月分では▲15.4%まで下落幅を拡大していたが、今回の3月分では▲11.9%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.09%だった。灯油の前年同月比は12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、2月分では▲21.6%まで下落幅を拡大していたが、3月分では▲19.0%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。電気代の前年同月比は+7.1%で、2月分の上昇率+7.3%より伸び率が若干鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%と押し下げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は+7.5%となった。2月分の上昇率+7.2%より若干伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は3月分では前年同月比▲1.3%と2月分の▲1.5%から下落率が僅かに拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。そのうちテレビは2月分の前年同月比+0.2%の上昇から3月分は▲0.1%の下落に転じた。僅かな変動なので総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.00%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲1.5%で、2月分の前年同月比▲4.6%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの2月分から3月分への寄与度差をみると、1月分から2月分への寄与度差がマイナスだった財は+0.12%とプラスに転じた。一方、雇用環境が改善基調にあり、春闘での賃上げ実施が期待される中、サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.03%と引き続きプラスであった。

●3月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.0で、前月比+0.4%の上昇、前年同月比は+2.2%の上昇となった。2月分の+2.0%から0.2ポイントの上昇となった。11カ月ぶりに前年同月比の伸びが拡大した。なお、前年同月比は22カ月連続で上昇した。22カ月連続でのプラスは96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来16年11カ月ぶりのことである。増税分を除いたベースの前年同月比は+0.2%になった。

●3月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.7となり、前月比+0.4%の上昇、また前年同月比は+2.1%の上昇となった。2月分の+2.0%から0.1ポイントの上昇となった。前年同月比は18カ月連続上昇した。18カ月連続前年同月比がプラスなのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、16年7カ月ぶりである。

●日銀の14年3月の金融経済月報の最後に掲載された試算結果を使って、14年4月分~15年3月分の全国消費者物価指数の実績値「除く増税分ベース」を計算してみると、総合が+1.5%から+1.6%に上昇した後+1.5%、+1.4%、+1.2%、+1.1%、+0.8%、+0.3%、+0.3%、+0.3%、+0.1%に鈍化した後、3月分で+0.2%と底打ちした。

●生鮮食品を除く総合は+1.5%、+1.4%、+1.3%と鈍化した後いったん+1.3%と同じ上昇率になり、再び鈍化し+1.1%、+1.0%、+0.9%、+0.7%、+0.5%、+0.2%のあと、2月分で0.0%になったが3月分で+0.2%と底打ちした。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合は+0.8%から+0.5%に鈍化した後+0.6%となり、7月分・8月分・9月分がともに+0.6%の上昇率だったが、10月分で+0.5%、11月分で+0.4%、12月分で+0.4%、1月分で+0.4%、2月分で+0.3%、3月分で+0.4%となっている。

●総合指数の季節調整済み指数は3月分が103.4で前月比+0.2%の上昇。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は3月分が103.1で前月比+0.2%の上昇だった。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数3月分が100.8で前月比+0.1%の上昇となった。11月・12月分と2カ月連続前月比+0.1%と上昇基調のあと1月分で前月比▲0.2%と3カ月ぶりに下落したコアコアの部分の物価は2カ月連続して上昇した。

●ESPフォーキャスト調査・4月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、15年1~3月期は+2.14%で、14年4~6月期の+3.3%をピークにして上昇率が鈍化している。14年度予測平均値は+2.83%となっているが、実績は+2.8%と予測通りであった。消費増税の影響を除いたベースでは、15年1~3月期+0.13%という見通しとなっている。消費増税の影響を除いたベースの14年度の上昇率は+0.83%という予測平均値となっている。15年4~6月期は+0.04%(消費増税の影響を除いたベースで+0.02%)のあと7~9月期も+0.04%と、ここまで伸び率は弱含むという平均的な見通しである。その後前年同期比の予測平均値は上昇に転じ、10~12月期は+0.42%、16年1~3月期は+0.89%と上昇していく見込み。15年度の上昇率は+0.35%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15年56.17ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=121円61銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で14年10~12月期は▲2.3%と、7~9月期の▲2.6%からマイナス幅が若干縮小した。今後、需給ギャップの改善基調が見込まれるので、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比の上昇要因、生鮮食品を除く総合指数の前年同月比の下支え要因になると思われる。

4月分の暫定的予測

●4月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、消費増税の影響がほぼ一巡するので3月分の+2.3%から鈍化し、+0.6%程度の伸び率になると予測する。これで23カ月連続の前年同月比上昇となるとみた。23カ月連続前年同月比がプラスなのは95年3月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、20年1カ月ぶりだ。前月比は+0.4%程度とみる。

●4月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、3月分の+2.2%から鈍化し、+0.2%程度の伸び率になると予測する。なお、96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来17年ぶりに、23カ月連続で前年同月比プラスになろう。前月比は+0.2%程度になろう。

●また、4月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、3月分の+2.1%から鈍化し、+0.3%程度の伸び率になると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、16年8カ月ぶりの19カ月連続プラスになりそうだ。前月比は+0.2%程度になろう。

●関連データである4月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は消費増税の影響がほぼ一巡するので+0.7%と3月分の+2.3%から1.6ポイント鈍化したが、22カ月連続の上昇になった。天候不順で生鮮食品の前年同月比は+9.1%の上昇と2月分の同+5.2%から上昇した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.14%になり前年同月比の押し上げ要因になった。エネルギー全体の前年同月比は+1.8%となり3月分の+4.3%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.16%になった。ガソリンは3月分では前年同月比▲12.7%だったが4月分では同▲15.9%と下落幅が拡大し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%になった。また、電気代の前年同月比は+4.7%で3月分の同+7.2%から鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%だった。また、4月分ではテレビの前年同月比は+0.7%。3月分同+0.1%から上昇したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。4月分の宿泊料は前年同月比+0.8%で、3月分の前年同月比+8.0%から伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.09%になった。4月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は+0.4%で2カ月連続の上昇だった。一方、大阪市の総合4月分前年同月比は+0.9%と3月分の+2.2%から1.3ポイント鈍化したが、23カ月連続の上昇になった。4月分の前月比は+0.4%だった。

●4月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+0.4%で3月分の+2.2%から鈍化したが、24カ月連続の上昇になった。4月分の前月比は+0.2%で3カ月連続の上昇だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の4月分前年同月比は+0.5%で3月分の+2.1%から鈍化したが、24カ月連続の上昇になった。4月分の前月比は+0.2%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の4月分前年同月比は0.0%で3月分の+1.7%から鈍化した。これで、上昇は17カ月連続で途絶えた。4月分の前月比は+0.2%で3カ月連続の上昇だった。大阪市では4月分の前年同月比は+0.2%と3月分の+1.9%から1.7ポイント鈍化したが、これで19カ月連続の上昇になった。4月分の前月比は+0.3%だった。