ホームマーケット経済指標解説14年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

14年10~12月期実質GDP(第2次速報値)について

2015年3月9日

●10~12月期の実質GDP・第2次速報値は、前期比+0.4%、前期比年率+1.5%と、第1次速報値の前期比+0.6%、前期比年率+2.2%から下方修正となった。

●10~12月期の実質GDP・第2次速報値では、個人消費、政府最終消費、公共投資、輸出が第1次速報値から上方修正、住宅投資、公的在庫投資、輸入が第1次速報値と変わらず、設備投資、民間在庫投資が下方修正された。法人企業統計は設備投資、民間在庫投資の下方修正要因となったとみられる。

●また、名目GDP・第2次速報値は、前期比+1.0%、前期比年率+3.9%と、第1次速報値の前期比+1.1%、前期比年率+4.5%から下方修正となった。

●10~12月期の法人企業統計で設備投資は前期比+0.6%だったが断層補正をおこなうことで伸び率は低めになったとみられる。10~12月期の名目設備投資・第2次速報値は、前期比+0.3%と、第1次速報値の前期比+0.5%から下方修正となった。実質設備投資・第2次速報値は、前期比▲0.1%の減少と、第1次速報値の前期比+0.1%の増加から下方修正となった。

●なお、5月20日に発表される1~3月期・第1次速報値から、設備投資の供給側推計値と需要側推計値の直近期の名目原系列前期比が発表されることになった。

●10~12月期・第2次速報値の実質民間在庫投資・前期比寄与度は▲0.2%と、第1次速報値の同+0.2%から0.4ポイントの下方修正となった。前期比寄与度の内訳をみると、流通在庫1系列がプラス寄与、残りの製品在庫、原材料在庫と仕掛品在庫はマイナス寄与だった。一番大きいマイナス寄与度は仕掛品在庫だったようだ。

●なお、5月20日に発表される1~3月期・第1次速報値から、実質民間在庫投資の4形態の実質季節調整系列(実額、寄与度)の時系列計数が発表されることになった。

●名目民間在庫投資・前年同期比寄与度は▲0.1%となった。前年同期比寄与度の内訳をみると、製品在庫だけがプラス寄与で、残りの流通在庫、仕掛品在庫、原材料在庫はマイナス寄与だったようだ。

●次の1~3月期の統計は、まだ主に1月分のデータだけしか発表されていないが、スタートは悪くない。

●ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫・仕掛品在庫の季調済実質値前期差は、+1兆2370億円である。

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1月分対10~12月分平均比は+13.0%の大幅増加になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+1.5%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1月分対10~12月分平均比は+0.0%(+0.03%)の微増になった。乗用車販売台数の1月分対10~12月分平均比は年末の軽自動車の販売促進の反動などで▲8.4%の減少になった。供給サイドのデータの方が需要サイドのデータより強い感じでスタートしている。さらにGDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)10~12月期から1~3月期へのゲタは0.0%である。総合的に考えると、1~3月期第1次速報値の個人消費は、前期比で増加となる可能性が大きいとみられる。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の1月分対10~12月分平均比は+7.6%の増加になった。資本財(除.輸送機械)は同+12.7%の増加になった。また、建設財は同+2.9%の増加になった。総合的に考えると、供給サイドから推計される1~3月期の実質設備投資は前期比増加となりそうだ。

●実質輸出入の動向をみると輸出の1月分対10~12月分平均比は+6.8%の大幅増加になった。輸入は同+3.3%の増加になっている。旅行収支の動向なども考慮して、1~3月期の外需の前期比寄与度は4四半期連続で前期比プラス寄与になりそうだ。

●3月6日に発表された日本経済研究センター「ESPフォーキャスト調査」3月調査によると1~3月期実質GDP成長率(前期比年率)の予測平均値は+2.64%のプラス成長になるという見通しである。

●総合的に判断すると、5月20日に発表される1~3月期の実質GDP第1次速報値は2四半期連続のプラス成長率が見込まれる。

●14年度実質GDP成長率に関して13年度から14年度のゲタは+0.8%になった。但し4~6月期・7~9月期がマイナス成長だったため、14年度の政府の「平成27年度(2015年度)の経済見通し」の14年度の実績見込み▲0.5%の達成には14年度の残り1四半期の前期比が+2.5%必要である。前期比年率だと各々+10.1%の2ケタの高成長が必要で実現の可能性は低いとみられる。また、14年度の残り1半期の前期比がゼロだと14年度の実質GDP成長率は▲1.1%のマイナス成長になってしまう。残り1半期の前期比が+1.5%でも14年度の実質GDP成長率は▲0.8%とマイナス成長になる。実現不可能だが、残り1半期の前期比が+5.0%だと14年度の実質GDP成長率は+0.1%と何とかプラス成長になる。

●なお、14年度から15年度のゲタはしっかりしたプラスが見込まれ、政府の「平成27年度(2015年度)の経済見通し」の15年度実質経済成長率+1.5%の達成は今のところ十分想定内であると言えよう。