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12月分機械受注について

2015年2月12日

― 12月分機械受注(除船電民需)前月比+8.3%と2カ月連続の増加 ―
― 内閣府判断は「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」に戻る ―

●12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+8.3%と2カ月連続の増加になった。また、12月分機械受注(除船電民需)の前年同月比は+11.4%と3カ月ぶりで増加に転じた。

●大型案件は前回11月分に引き続き、今回12月分でもなかった。除船電民需以外では、電力の火水力原動機1件、運輸業・郵便業の船舶が1件、官公需で船舶と航空機が各々1件の小計2件、外需で船舶、化学機械、火水力原動機各1件の小計3件、合計で7件があった。

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲0.3%と減少であったが、達成のためには12月分の前月比が+6.5%伸びることが必要と高いハードルであったが実績は前月比+8.3%になったので、2四半期連続の増加になった。

●但し、前年同期比でみると様子が変わる。10~12月期の機械受注(除船電民需)の「見通し」は前年同期比+1.6%の増加であったが、「実績」は前年同期比▲2.6%の減少になった。前期比と前年同期比での一見矛盾する異なった動きは、「見通し」の季節調整済み前期比は四半期ベースだが、「実績」の季節調整済み前期比は月次ベースのものを足しあげて計算することにより生じるものである。

●10~12月期は、2005年(平成17年)~09年(平成21年)の5年間では「実績」が「見通し」を下回ったが、10年(平成22年)~14年(平成26年)の5年間では12年を除き、4年間で「実績」が「見通し」を上回った。

●内閣府の基調判断は、14年7月分では「機械受注は、一進一退で推移している」であったが、8月分では「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と5カ月ぶりの上方修正になり、9月分・10月分では据え置きとなった。前回11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に3カ月ぶりに下方修正されたが、それも一時的で、今回12月分では「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と、2カ月ぶりに上方修正され、8~10月分と同じ判断に戻った。

●12月分では多くの業種が前月比増加となった。12月分の製造業の前月比は+24.1%と3カ月ぶりの増加となった。伸び率は06年6月(+27.8%)以来の高水準だ。製造業15業種中、10業種が増加で5業種が減少になった。また、12月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+7.2%と2カ月連続の増加となった。非製造業全体では、前月比は+15.9%と3カ月ぶりの増加となった。大型案件があった電力業は前月比+36.5%の増加となった。非製造業12業種中、9業種が増加で3業種が減少となった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の12月分は11月分が前月比▲11.6%と大幅な減少であった反動もあって、前月比+16.9%の増加になった。10~12月期の前期比は+3.6%の増加で3四半期連続の増加となった。

●12月分の外需は、前月比が▲6.9%と4カ月連続の減少となった。

●1~3月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比+1.5%である。見通しは単純集計値に過去3四半期の平均達成率96.7%を乗じて求めている。単純集計値の数字が実現すると前期比+5.0%程度になる計算だ。かつては1~3月期は見通しに対し、実績が下ぶれることが多かったが、最近は見通しに対し、実績が下ぶれることも上ぶれることもある。季節調整替えが行われる四半期であるので、予断を持つことなく実績の数字がどうなるかを見守りたい。

●12月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注がある。前月差寄与度は+0.38程度のプラス寄与になり、他の系列が速報値と変わらないとすると先行CI・改定値の前月差は+1.8程度の上昇と速報値の+1.5から上方修正になると予測する。また、先行DIは、実質機械受注がプラス符号で加わるので、40.0%程度へと速報値の33.3%から上方修正になると予測する。