12月分鉱工業生産指数・速報値について

2015年1月30日

- 12月分鉱工業生産指数・前月比+1.0%で2カ月ぶりに増加 -
-生産の基調判断は「一進一退」から「緩やかな持ち直し」に上方修正 -

鉱工業生産

●鉱工業生産指数・12月分速報値は製造工業生産予測指数の前月比+2.3%に比べれば低いものの+1.0%と2カ月ぶりの増加になった。また、前年同月比は+0.3%で3カ月ぶりの増加になった。

●11月分の生産を業種別にみると、15業種のうち増加が7業種、減少が4業種だった。電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、化学工業(除.医薬品)等が増加し、金属製品工業、鉄鋼業、その他工業等が減少した。

●12月分速報値の鉱工業生産指数は98.9で13年度の平均と同水準になった。

●製造工業生産予測調査によると、1月分は前月比+6.3%と大きく増加、その反動もあり2月分は前月比▲1.8%である。設備投資関連の資本財(除.輸送機械)は1月分前月比+13.7%、2月分前月比▲4.3%である。

●製造工業の実現率は8カ月連続のマイナスで▲1.5%になった。

●製造工業の予測修正率は▲0.9%と11カ月連続のマイナスになった。

●11月分の生産ははん用・生産用・業務用機械工業で受注元の納期延期依頼などがあり減少した。はん用・生産用・業務用機械工業は12月分では前月比+0.9%の増加に転じた。製造工業生産予測調査によると、1月分は前月比+19.7%の見込みである。延期した分は1月に大きく出そうだ。

●10~12月期の鉱工業生産指数は前期比+1.8%と3四半期ぶりに増加に転じた。2月16日発表の10~12月期実質GDPが増加に転じることを示唆していよう。

●先行きの鉱工業生産指数を1・2月分の製造工業生産予測指数の前月比で延長し、3月分の前月比をゼロとすると10~12月期は前期比+5.5%となる。2四半期連続の増加になる見込みだ。

●12月分速報値の鉱工業出荷指数・前月比は+1.1%と2カ月ぶりの増加になった。鉱工業在庫指数は前月比▲0.4%と2カ月ぶりの減少になった。鉱工業在庫率指数は112.2、前月比▲4.1%で3カ月ぶりの下降となった。

●経済産業省の基調判断の推移を少し長いスパンでみてみよう。13年9月分で「総じてみれば、生産は持ち直しの動きがみられる」と6カ月ぶりの上方修正となった。ここでようやく「緩やかな」がとれた。10月分では「総じてみれば、生産は持ち直しの動きで推移している」と言葉は若干変わったが基調判断据え置きとなった。その後13年11月分・12月分・14年1月分・2月分に続き、3月分も「総じてみれば、生産は持ち直しの動きで推移している」と据え置いていた。

●弱含んだのは消費税率引き上げがあった14年4月分で「総じてみれば、生産は横ばい傾向」と下方修正された。5月分でも同じ判断継続となった。6月分で12年8月分以来の表現である「総じてみれば、生産は弱含みで推移している」に下方修正され、7月分・8月分と判断は継続となった。9月分で「総じてみれば、生産は一進一退にある」に上方修正され、10月分・11月分と据え置かれた。8月分を底に生産は増加傾向なので、12月分で判断は「総じてみれば、生産は緩やかな持ち直し」に3カ月ぶりに上方修正された。

●鉱工業全体での縦軸に在庫の前年比をとった在庫サイクル図をみると、13年10~12月期では、出荷の前年比が+6.4%、在庫が同▲4.3%、14年1~3月期でも、出荷の前年比が+7.4%、在庫が同▲1.4%、と45度線を下回っていた。しかし、14年4~6月期では、在庫が6四半期ぶりに前年同期比増加に転じ、出荷の前年比が+1.3%、在庫が同+2.8%、と45度線を上回ってしまった。14年7~9月期でも、出荷の前年比が▲0.5%、在庫が同+4.0%、と45度線を上回り、14年10~12月期でも、出荷の前年比が▲1.5%、在庫が同+6.1%、と45度線を上回っている。在庫サイクル図からは、依然、在庫積み上がり局面にあると言える。

10~12月期のGDP予測

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の10~12月期前期比は▲0.9%の減少になった。同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同+0.9%の増加だ。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の10~12月期前期比は+1.7%の増加になった。乗用車販売台数の10~12月期前期比は+10.5%の増加になった。供給サイドと需要サイドのデータは耐久消費財出荷指数を除き増加を示している。さらにGDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)10~11月平均の対7~9月平均比は+0.7%の増加である。総合的に考えると、10~12月期第1次速報値の個人消費は、前期比で増加となる可能性が大きいとみられる。

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の10~12月期前期比は+2.3%の増加になった。資本財(除.輸送機械)は同+3.7%の増加になった。また、建設財は同▲2.1%の減少になった。総合的に考えると、供給サイドから推計される10~12月期の実質設備投資は前期比増加となりそうだ。

●実質輸出入の動向をみると輸出の10~12月期前期比は+4.8%の大幅増加になった。輸入は同+1.1%の増加になっている。10~12月期の外需の前期比寄与度は3四半期連続で前期比プラス寄与になりそうだ。

●総合的に判断すると、2月16日に発表される10~12月期の実質GDP第1次速報値はしっかりしたプラス成長率になりそうだ。

12月分景気動向指数予測

●12月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差+1.8程度と3カ月ぶりの上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列では、1月30日午前9時現在、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、消費者態度指数、東証株価指数の5系列が前月差プラス寄与に、日経商品指数、長短金利差、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、新設住宅着工床面積は前月差プラス寄与になると予測した。

●12月分の一致CIは前月差+1.5程度と2カ月ぶりの上昇になると予測する。速報値からデータが利用可能な9系列では、1月30日午前9時現在、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、大口電力使用量、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列が前月差プラス寄与に、商業販売額指数・小売業1系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。残る、中小企業出荷指数1系列は前月差プラス寄与になると予測する。

●一致CIを使った景気の基調判断は8月分でそれまでの「足踏み」から景気の山がそれ以前の数カ月前にあった可能性が高い「下方への局面変化」に下方修正され、9~11月分で判断継続だった。

●一致CIを使った景気の基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に戻るには、前月差が上昇になることを前提に、原則として3カ月後方移動平均が3カ月以上連続して上昇する必要がある。12月分の前月差が0.2以上の上昇になれば、3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇することになるので、「改善」に戻れる。一致CIの前月差が予測どおり+1.5だと条件を十分クリアする。

●12月分の先行DIは55.6%程度と4カ月ぶりに50%超になると予測する。1月30日午前9時現在、最終需要財在庫率指数、新規求人数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列がプラス符号、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、日経商品指数、長短金利差の4系列がマイナス符号になることが判明している。先行DIは44.4%以上55.6%以下が確定している。残る新設住宅着工床面積はプラス符号になると予測する。

●12月分の一致DIは55.6%程度と4カ月連続して景気の分岐点である50%超になると予測する。消費税率引き上げ後足踏みしていた景気が持ち直し拡張している可能性を示す指標になろう。速報値からデータが利用可能な9系列では、1月30日午前9時現在、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、大口電力使用量、投資財出荷指数、有効求人倍率の5系列が前月差プラス符号に、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の3系列がマイナス符号になることが判明している。一致DIは55.6%以上66.7%以下が確定している。残る、中小企業出荷指数1系列はマイナス符号になると予測した。