【Vol.253】最新の世界経済の成長見通しはどうなっていますか?
2025年11月4日
IMFによると、米国の関税措置は各国・地域との協定などによって一部緩和されたものの、世界経済の成長率は2025年に+3.2%、2026年に+3.1%へと鈍化する見込みです。
国際通貨基金(IMF)が2025年10月に公表した世界経済見通しによると、世界のGDP成長率は、2024年の+3.3%から2025年は+3.2%、2026年は+3.1%へと鈍化が見込まれています。米国は2025年4月に関税措置を発表しましたが、各国・地域との協定などによって極端な措置は部分的に緩和されました。この状況を踏まえ、多くの国々では2025年の成長見通しが前回(2025年7月)の予測から上方修正されたものの、依然として残る政策の不確実性や保護主義の拡大などへの懸念が景気減速の要因となっています。先進国のGDP成長率は、2024年の+1.8%から2025年に+1.6%、また新興・発展途上国のGDP成長率は2024年の+4.3%から2025年に+4.2%、2026年に+4.0%へとそれぞれ減速が見込まれています。
先進国では、米国の成長率が関税措置の一部緩和や、減税などを含む法案の成立などを受け、2025年7月時点から上方修正されました。日本の成長率も個人消費の回復が主な要因となり2025年、2026年ともに上方修正されました。ただし、貿易政策に対する不透明感や外需の減速などを受けて2026年は減速の見込みとなっています。ユーロ圏では2025年のみ上方修正されました。
◆新興・発展途上国では、インド・ブラジルの2025年の成長率が上方修正されましたが、関税引上げに備えた貿易の前倒しなどの影響で、2026年にかけては減速すると見込まれます。また、中国は米中間の貿易摩擦の影響により、2025年、2026年と緩やかな減速見通しとなっています。
今後の見通しでは、下振れリスクの高まりが目立っており、政策の不確実性の長期化が消費と投資を抑制すること、保護主義的な貿易措置はサプライチェーンの混乱を招き、生産性向上を妨げることなどが挙げられています。そのため、ルールに基づく明確かつ透明性ある貿易政策のロードマップを策定し、不確実性を低減して投資を支援するとともに、より活発な貿易がもたらす生産性と成長の恩恵を享受できるように図るべきとされています。
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