【Vol.232】最新の世界経済の成長見通しはどうなっていますか?
2025年5月1日
IMFによると、貿易摩擦の激化と政策の不確実性の高まりなどにより、世界経済の成長率は2025年に+2.8%、2026年に+3.0%へと減速する見込みです。
◆国際通貨基金(IMF)が2025年4月に公表した世界経済見通しによると、世界のGDP成長率は、2024年の+3.3%から2025年は+2.8%、2026年は+3.0%への減速が見込まれています。米国の新たな関税措置や貿易相手国による対抗措置がもたらす貿易摩擦の激化と政策の不確実性の高まりなどが、世界経済に大きなマイナスの影響を与えるとされています。この影響を踏まえ、多くの国々の成長見通しが、前回見通し(2025年1月)から下方修正されています。先進国のGDP成長率は、2024年の+1.8%から2025年に+1.4%、2026年に+1.5%へ、また新興・発展途上国のGDP成長率は2024年の+4.3%から2025年に+3.7%、2026年に+3.9%へとそれぞれ減速が見込まれています。
◆貿易摩擦の激化と政策の不確実性の高まりは、先進国では、米国における消費成長の低下による需要の悪化をもたらし、日本やユーロ圏における実質賃金の伸びによる消費の増大などを妨げると予想され、新興国・発展途上国では、中国における財政拡大による経済成長を阻害するとみられています。ただし、インドの成長率は比較的安定しており、地方での民間消費に支えられるとしています。
◆今後の見通しでは、下振れリスクの高まりが目立っており、政策の不確実性の高まりが世界経済の成長をさらに抑制すること、政策のスタンスの相違や急速な変化が景況感を悪化させ、為替レートなどの急激な調整をもたらすことなどが挙げられています。過剰債務に直面している新興・発展途上国では特に、これらの影響が大きいとされています。一方で、上振れリスクとしては、現行の関税率が緩和され、貿易政策に明確さと安定性をもたらす新たな取決めが世界経済の成長を押し上げる可能性が挙げられています。
◆安定した予見可能な貿易環境の構築や債務再編の促進を通じて、今後、共通の課題に対処するために各国・地域が建設的に取り組むべきとされています。
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