健康ビジネス、次なる焦点はアジアへ【アジア・オセアニア豆知識】
2016年12月21日
近年、健康問題は世界共通の問題となってきています。食生活や運動不足による影響が大きく、特に経済が発展している先進国で深刻な課題となっていることがよくみられます。こうした中、最近では経済成長に伴いアジアでも、先進国と同様に健康問題が国民を悩ます問題となりつつあります。
アジアで浮上してきた健康問題
アジア地域では、 経済の成長に伴い所得が向上し、食の欧米化 が進んでいます。街並にはファーストフード店が立ち並び、砂糖や脂肪の多い高カロリーな食べ物が生活に溶け込むようになりました。また、自動車の普及や鉄道網などの公共交通機関の発達により、歩いて移動する人々の数が減少傾向にあります。
こうしたバランスの整っていない食生活や運動不足を背景として、昨今のアジアでは、 生活習慣病が問題視 されてきています。このため、例えば、砂糖を多く含む清涼飲料に課税する“加糖飲料税”、 ファーストフードに“脂肪税”の導入を検討するなど、 各国政府は健康問題を深刻にとらえ、国民の健康に向けて対策を練っているようです。
世界が注目する、アジアの健康市場
政府のみならず、 家計においても健康への関心が徐々に高まりつつあります 。健康維持のためにフィットネスクラブへ通う人や、健康食品を手に取る人が増えてきています。健康商品・サービスの需要が増加し、報道によると、 健康ビジネス市場は、2020年には2015年から約4割程度拡大する見通し です。
こうした健康ビジネス市場の拡大を受け、世界各国が アジアを有望な市場 ととらえています。日本では、すでに大手薬品メーカーなどがアジアでの売上高を急速に伸ばしています。また、日本政府も、アジア地域に日本の介護システムを輸出する官民連携プロジェクト「 アジア健康構想 」をスタートさせています。
アジア各国の 1人当たりの健康および医療の支出額も急拡大 しており、日本のみならず、 世界各国および企業がアジアでの健康ビジネスに注目する動き がみられています。今後も、人口の増加や健康志向の拡大が続く中、「一大健康ビジネス市場」としてのアジアの存在感が高まっていくと考えられます。
(注)各報道資料等を基に三井住友アセットマネジメント作成