ホームマーケット週次・月次市場情報ベトナムで注目されるコーヒービジネス【アジア・オセアニア豆知識】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ベトナムで注目されるコーヒービジネス【アジア・オセアニア豆知識】

2016年11月30日

コーヒーの生産地といえば、ブラジル、コロンビアなどの国を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。これらの国々は、コーヒー栽培に適した土地や気候を有し、生産が盛んです。しかし、最近ではアジアにおけるコーヒー豆の生産が急速に伸びています。特に、ベトナムは2000年に、コロンビアを抜き、今では世界で第二位を誇るコーヒー豆生産国となりました。

政府・外資系企業からの支援で“コーヒー大国”へ変貌

ベトナムでは、19世紀からコーヒー豆の栽培に着手しました。以来ずっと続けていた栽培ですが、1986年に転換期が訪れます。政府が採択した資本主義的な“ ドイモイ政策 ”により、市場経済システムを取り入れました。農家のやる気を喚起し、生産量が急速に増え、ベトナムはブラジルに次ぐ世界で第二位の“コーヒー大国”に成長しました。

しかし、成長を遂げるにつれて、量だけでなく品質面も問われるようになってきました。品質向上には、技術革新が必要ですが、資金も情報も不足していた農家は打つ手がありませんでした。こうした中、 助け舟を出したのが外資系企業 です。彼らは、ベトナムをコーヒー豆の安定した供給先にしようと考え、ビジネスパートナーとして歩み寄りました。 農家に栽培ノウハウを指導し、生産性と品質の向上 を図りました。さらに、栽培に必要な資金を融資するような仕組みを提案するなど 、経営面にも配慮し、栽培農家を全面的に支援 していきました。

こうした努力により、ベトナムは質・量ともに目覚ましい発展を遂げました。

経済成長から、生産国だけでなく“消費国”へ

コーヒー豆には主に2種類があります。ブラジルなどで生産されるアラビカ種とベトナムなどで生産されるロブスタ種です。前者は主にレギュラーコーヒーに使用される高品質な豆で、気候変動や病害虫の影響を受けやすくデリケートな品種です。一方、後者は病害虫にも強く、比較的安価な品種で、インスタントコーヒーの材料となっています。

昨今の経済発展から、 新興国でもコーヒーを嗜む中間所得層が増加 してきています。従来の、 新興国が生産して先進国が消費する構図から、新興国でも消費されるような時代 に変わりつつあります。新興国でコーヒーを飲み始める人が増す中、手ごろに楽しめるインスタントコーヒーの需要が特に高まっています。これまで、ベトナムでは主として輸 出向けに生産をしていましたが今後は国内に向けての供給も増える見通し です。生産から消費まで手掛けるベトナムのコーヒーは、同国の注目のビジネスといえるでしょう。

(注)各報道資料等を基に三井住友アセットマネジメント作成