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玉ねぎの価格でインドの情勢がわかる?!【アジア・オセアニア豆知識】

2016年11月15日

玉ねぎの価格でインドの情勢がわかると聞くと、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、インドでは、「玉ねぎの価格問題により選挙で大敗した」、「金や高級品ではなく、玉ねぎを盗む強盗」といった日本では信じられないような事件が実際に起こっており、インド国民にとって、玉ねぎの価格は非常に重要な関心事となっているようです。

玉ねぎの価格に悩まされるインドの国民

インドでは、 ほぼ主食に近い感覚で玉ねぎが消費 されています。大半の家庭料理で玉ねぎが材料として使われ、食卓に欠かせないものとなっています。

玉ねぎの価格が安定していれば国民も安心ですが、灌漑(かんがい)技術が低いインドでは農業用の水を雨水に頼っており、 降雨量によって収穫量の多寡が決まり、価格も大きく変動します 。また、農産物を貯蔵する冷蔵倉庫や道路環境などの 物流、インフラ整備が未熟であることなども価格変動要因 となっています。

2015年は、雨季の降水量に恵まれず、玉ねぎの収穫量が大きく減ったことから価格は過去20年間で最も高い値段を付けました。

政府主導で玉ねぎの価格を安定へ

国民の大きな関心事である玉ねぎの価格には、政府も細心の注意を払っており価格の安定に努めているようです。2015年に深刻な食料高が発生した際には政府は近隣諸国から玉ねぎを緊急輸入する対策をとりました。また、同時に輸出規制を強化し、国内での玉ねぎの供給量の増加を図りました。

現在のモディ政権はインフラ投資にも力を入れておりますので、 今後も政府主導で玉ねぎなどの食料価格が安定することが期待 されます

さらに、 インド全体では約7億人が第1次産業(農業など)に従事 しており、 農作物の収穫量の向上は彼らの収入の安定 につながります。収入が安定することで農村部における 消費意欲が向上 することが期待される上、農作物の価格が安定することにより、国民の現政権に対する信任が向上し、 政権運営の安定化 にも資するでしょう。

玉ねぎの価格に代表される食料価格の安定は、インドの経済や政治にとって重要なポイントといえます。

(注)各報道資料等を基に三井住友アセットマネジメント作成