新・市場対国家

2019年4月26日

初めに

最近GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドットコムのIT大手4社を指す造語)に対する批判が、高まっているようです。6月に大阪で予定されているG20サミット(主要20か国首脳会談)では、GAFAに対する規制が議題に取り上げられる予定です。今回はGAFAに対する批判をふまえながら、政府の役割について考えてみます。

GAFAはなぜ批判されるのか

GAFAが批判される理由は2つあります。まずその優越的な地位を個人情報の収集や取引先との交渉の際の圧力として活かしていると見られていること。もう1つは税金対策です。GAFAなどデジタル企業の場合は、他のグローバル企業のように単に低税率の国に拠点を置くことにより、税額を抑制するだけでなく、そもそも現実の場で売る・買うという行為を伴わないため、取引の補足が困難です。これも税逃れにつながっていると指摘されています。

注目されるデジタル課税の採用

今回のG20で議論されるのは税逃れ対策です。議長国である日本はデジタル課税の導入を目指しています。現在の法人税の仕組みでは、法人税は企業が拠点を置いている場所で課税されますが、デジタル課税は、拠点がなくとも課税が可能になるというものです。拠点の有無に代わって、顧客の所在地や顧客データ、ブランドデータなどを課税の基準にするなどの案があります。

実現の可能性はあるが影響は限定的との見方

現在の法人税では、経済のデジタル化に対応できないという点については、主要国の見解は一致している様なので、デジタル課税が実現する可能性はあると思います。ただ、国内に大手IT企業を抱える米国や中国は慎重な姿勢なので、仮に実現しても、関連企業の業績に与える影響は軽微と考えています。

変わる政府と企業の関係

リーマン・ショック後の数年間、各国で法人税率を引き下げ、企業の誘致を競った時期がありました。政府は税収減よりも、雇用増を優先したわけです。しかしデジタル課税の導入は企業にとって増税です。よってデジタル課税の導入は、この政府と企業の蜜月関係が終わったことを示すと考えています。これからは政府と企業が利潤を取り合う場面も増えてくるでしょう。

見直される政府の役割

1980年代のレーガノミクスやサッチャリズム以降、経済において政府の役割は小さくなり、企業の役割は大きくなりましたが、その中で世界経済は成長を遂げてきました。今では政府を超える力を持つと思われる企業も現れていますが、その筆頭がGAFAです。しかし最近GAFAのような大企業に対する批判が増えていることは、政府の介入を望む声が増えていることの証とも思われます。今後政府の役割が見直されることになるのか、引き続き、この問題に注目して行きたいと考えています。

門司総一郎(調査部 シニアストラテジスト)

略歴

東京大学法学部卒業
 1985年大和証券入社
 1987年大和投資顧問(現、三井住友DSアセットマネジメント)転籍
 雑誌、新聞の執筆、テレビ出演も多数あり、わかりやすい説明に定評がある

趣味:一宮の御朱印集め
座右の銘:見えている悪材料は悪材料に非ず 見えている好材料は好材料に非ず
つぶやき   :「若者の株式離れ」がいわれますが、銘柄選択の楽しさを若い方にも味わってもらえる株式市場になって欲しいと願っています。