5Gの経済・株式市場への影響

2019年4月5日

初めに

注目の第5世代移動通信システム(5G)のサービスがいよいよ始まりました。日本経済新聞によれば、米国では4月3日にスマホサービスを開始。5日には韓国でも開始の予定です。5Gは景気や株式市場にも大きな影響をもたらすと期待されていますが、今回は5Gの影響について考えてみます。

期待される経済への影響

経済への影響はかなり大きいと期待されています。総務省は「電波政策2020懇談会」の参考資料の中で、農林水産業や、交通・移動・物流など12の分野毎に5Gの経済効果を試算しました。経済効果は12分野合計で46.8兆円とのことです。また日経コンピュータ(2017年9月14日号)によれば英国の調査会社IHSマークイットは2020年から2035年までに世界のGDPは最大3兆ドル押し上げられると予想していると報じています。このように5Gの経済効果には期待が集まっているようです。

通信分野にとどまらない経済効果

5Gの経済効果が大きいと思われている理由の1つは、これまでの通信分野の技術革新では、その恩恵が主として通信分野にとどまったことに対し、今回は通信以外の分野への恩恵が見込まれることです。総務省が経済効果を試算した12の分野で最も経済効果が大きいのは交通・移動・物流の21兆円、次いで工場・製造・オフィスの13.4兆円です。この恩恵の広がりが大きいことが5Gの特徴です。

景気への懸念は不要

最後に株式市場への影響です。ポイントは2つあります。1つは景気の見方です。現在の株式市場には依然根強い世界経済への警戒感が見受けられますが、今後5Gの活用が広まるに連れて新たな需要が発生することを考えると、この懸念は杞憂と思われます。足元米中交渉が大詰めを迎えつつあることもあり、今後株式市場における景気弱気論は勢いを失うと考えています。

銘柄選択の重要性が復活する?

もう1つは銘柄選択の重要性が復活する可能性です。これまで通信分野での技術革新がテーマとなる場面で買われたのは、主として通信サービスや通信機器製造など直接通信に関係ある企業でした。しかし、既に申し上げたように、5Gの場合はその恩恵を期待できる分野が多岐にわたるため、意外な銘柄が物色される可能性があります。最近の株式市場では、大きな資金を動かす投資家の存在ばかりが目立ち、銘柄発掘を楽しむ雰囲気ではありませんが、久しぶりに銘柄選択が重要となる可能性があると考えています。

門司総一郎(調査部 シニアストラテジスト)

略歴

東京大学法学部卒業
 1985年大和証券入社
 1987年大和投資顧問(現、三井住友DSアセットマネジメント)転籍
 雑誌、新聞の執筆、テレビ出演も多数あり、わかりやすい説明に定評がある

趣味:一宮の御朱印集め
座右の銘:見えている悪材料は悪材料に非ず 見えている好材料は好材料に非ず
つぶやき   :「若者の株式離れ」がいわれますが、銘柄選択の楽しさを若い方にも味わってもらえる株式市場になって欲しいと願っています。