ホームマーケット週次・月次市場情報先月のマーケットの振り返り(2015年4月)【マンスリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

先月のマーケットの振り返り(2015年4月)【マンスリー】

2015年5月1日

1.概観

トピックス 中国株は、預金準備率の引き下げ、追加金融緩和などへの政策期待の高まりにより、大きく上昇しました。
原油価格は、3月半ば以降持ち直し傾向にあり、原油安から下落していた関連国通貨の上昇が期待されます。
株式 日米の株式は、予想を上回る企業決算の発表などから上昇しました。
ドイツ株は、金融緩和とユーロ安を材料に4月10日に過去最高値を更新後下落に転じ、前月末比では下落しました。
債券 国債利回りは、米国では年内の利上げ開始が意識され、ドイツではこれまでの低下の反動などから、上昇しました。
為替 米ドルは、雇用などの弱めの経済指標の発表が相次いだことなどから円やユーロに対して下落しました。
商品 原油価格は、米国の生産抑制、中東情勢の緊迫化、米ドル安などから上昇しました。

(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

2.トピックス

(1)中国株は、預金準備率の引き下げ、追加金融緩和などへの政策期待の高まりにより、大きく上昇しました。

<現状>

中国の1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.0%と昨年10-12月期の+7.3%から減速しました。景気減速を受けて、中国人民銀行は預金準備率を引き下げ18.5%(大手行)とし、金融緩和により景気のテコ入れを図る姿勢を明確にしました。3月の全国人民代表大会(全人代)以降、改革を志向する政府方針が明確となったこともあり、上海総合指数は4月30日までで年初来+37%、香港で取引されるハンセン中国企業株指数(H株指数)は同+20%上昇しました。

<見通し>

年内、さらに預金準備率の引き下げや政策金利の引き下げによる景気テコ入れが予想されています。加えて、現代版シルクロード(一帯一路)の建設などのインフラ投資を含む財政支出、付加価値の高い製造業への転換を狙う成長戦略などへの期待も高まっており、株式市場は引き続きこれらを好感しそうです。ただし、上昇ペースが速かったことから短期的には高値警戒感が強まることも想定されます。

(2)原油価格は、3月半ば以降持ち直し傾向にあり、原油安から下落していた関連国通貨の上昇が期待されます。

<現状>

WTI原油先物価格は3月18日の取引時間中につけた今年の安値(1バレル=42.03米ドル)から、4月30日時点で約42%上昇し、1バレル=59.63米ドルとなりました。米国の原油生産量が減少に転じたこと、イエメンなどの中東情勢の緊迫化がその主な要因です。為替市場で、米ドル高の動きが米ドル安に転じたことも、米ドル建てで取引される原油価格の上昇要因となりました。

<見通し>

国際エネルギー機関(IEA)は、4月15日に公表した原油見通しで、2015年の原油需要を上方修正しました。需給が緩やかに引き締まる見通しが強まり、原油価格の持ち直し傾向が続くことが見込まれます。これまで、資源国通貨など原油安の影響を受けた資産クラスの上昇が期待されます。ただし、足元では石油輸出国機構(OPEC)は原油の増産を続けているとされ、また、地政学リスクに関する不透明感も残ることから、再び不安定化することも想定され、注意が必要です。

3.景気動向

<現状>

米国は、1-3月期の実質GDP成長率が前期比年率+0.2%と弱く、3月の雇用統計も低調で、景気が鈍化しました。
欧州は、金融緩和を背景としたユーロ安による輸出の回復にけん引され、景気は緩やかな回復傾向となっています。
日本は、海外景気の緩やかな回復から輸出が回復傾向にあり、企業部門の好調さから所得が増加しそうです。
中国は、1-3月期の実質GDP成長率が前年同期比+7.0%に鈍化し、準備預金率が引き下げられるなど景気のテコ入れが図られています。
豪州は、輸出や設備投資は弱含むものの、住宅ブームなどから消費に回復の兆しが出てきました。

<見通し>

米国は、雇用や経済指標の下振れは一時的要因によると見られ、消費が底堅く推移し、年+3%程度の成長が見込まれます。
欧州は、ECBの金融緩和により、輸出や個人消費の回復が期待され、緩やかな景気回復が持続する見通しです。
日本は、日銀の強力な金融緩和や所得増による消費の回復が期待され、景気は持ち直しが期待されます。
中国は、「新常態」を目指した経済構造改革の進展、追加金融緩和、財政支出などの景気対策などへの期待が高まっています。
豪州は、過去10年の平均成長率(+3%前後)を下回りそうですが、物価が安定し、消費と住宅が景気を下支えすると予想されます。

4.企業業績と株式

<現状>

主要米国企業の1-3月期の増益率は前年同期比+0.4%(4月30日付けのトムソン・ロイターの集計)と、前四半期の同+7.0%から鈍化する見込みです。日本の主要企業(東証1部、3月期決算、除く金融)の2014年度予想は、経常利益が前年度比+2.9%程度の増益となる見込みです。

<見通し>

主要米国企業の4-6月期の予想増益率は前年同期比▲2.1%と低調ですが、後半に向けて改善し、通年では+1.1%程度となっています。「エネルギー」セクターの大幅な減益を除けば概ね堅調な業績が見込まれています。日本の主要企業の2015年度の経常利益は、景気の緩やかな改善、円安傾向、米国景気の回復などから、前年度比+18%程度に達する見込みです。日米ともに堅調な企業業績を背景に、株価は底堅く推移することが見込まれます。 

5.金融政策

<現状>

FRBは、低金利政策を当面継続する考えです。ECBは月600億ユーロペースで国債などを購入する量的金融緩和を継続しています。日銀は、マネタリーベースを年間約80兆円拡大させる強力な金融緩和を続けています。

<見通し>

米国は今年後半から利上げが開始され、緩やかな利上げペースが見込まれます。ECBは消費者物価上昇率を2%近くとする物価目標の達成のために、現行の国債購入と長期リファイナンスオペ(TLTRO)による金融緩和を継続し、必要に応じさらに強化するとしています。日銀は4月30日の金融政策決定会合で物価見通しを下方修正し、2%の物価目標達成時期を「16年度前半頃」に後ろ倒しにしました。追加金融緩和の可能性は後退したと見られますが、現行の強力な金融緩和は当面維持される見通しです。

6.債券

<現状>

米国債利回りは、比較的狭いレンジで横ばいで推移するなか、欧州の国債利回りの上昇の影響を受けて小幅に上昇しました。欧州では、ECBによる国債購入からドイツの10年国債利回りは4月に一時過去最低を更新しました。その後月末にかけて原油価格の安定からデフレ懸念が後退し、国債利回りは上昇しました。日本では日銀の強力な金融緩和の継続を背景に、国債の利回りは低下しました。米国の社債スプレッド(国債との利回り差)は、小幅に縮小しました。

<見通し>

米国では今年後半の利上げ開始をにらんで、米国債などの利回りには上昇圧力がかかるとみられます。ただし、物価上昇率が低位にあることなどから、利上げ開始後の上昇ペースは緩やかにとどまりそうです。日欧の国債利回りは、強力な量的金融緩和が継続し、上昇しにくいと見込まれます。米国など主要国の社債市場では、企業の底堅い業績や慎重な財務運営などを背景に、利回りの上昇は限定的となる見込みです。その結果、社債スプレッドは比較的安定的に推移すると見られます。

7.為替

<現状>

米ドルは、119円~120円近辺で推移し、対円ではほぼ横ばいの動きでした。ユーロは、これまでECBの金融緩和を材料にしたユーロ安傾向が続いたことへの反動から、円や米ドルに対して小幅に上昇しました。

<見通し>

米ドル円相場は、日米の金融政策の方向性の違いが引き続き意識され、円が下落しやすい環境が継続する見込みです。ただし、120円以上の水準では、上値が重くなると見られます。ユーロ円相場は、日欧ともに金融緩和強化の方向にあることから、方向感が出にくいと見込まれます。

8.リート

<現状>

リート市場は下落しました。米国で弱めの経済指標の発表が相次ぎ、景気の下振れ懸念が強まったことが影響しました。また、米ドルは円に対してほぼ横ばいで推移したことから、円ベースでの下落率は米ドルベースとほぼ同じでした。

<見通し>

FRBは今年後半に慎重に利上げを開始すると見込まれますが、その後の利上げペースは緩やかにとどまり金利が急上昇するリスクは限定的とみられます。米国の雇用などの弱めの経済指標は、冬場の天候要因などの一時的な要因の影響と見られます。消費の底堅さから、経済は年後半に年+3%程度の成長に向かうと見られます。不動産市場の回復、資金調達コスト抑制などリート市場にとっての好環境は今後も続くことが期待され、リート市場は底堅い展開が予想されます。

9.まとめ

株式 米国経済の下振れは一時的と見られ、年後半に+3%程度の成長に向かうと見られること、各国の企業業績が堅調に推移していること、世界的な低金利環境が続くと見られることなどに支えられ、先進国、新興国ともに、株価は緩やかな上昇基調が続くと期待されます。
債券 米国経済の下振れは一時的と見られ、年後半に向けて経済や雇用環境は緩やかな改善が進むと見られることから、年後半の利上げ開始が見込まれます。ただし、利上げペースは緩やかで、FRBは金利を当面低めに維持すると見られること、ECBは物価見通しの達成のため金融緩和の強化も予想されることなどから、主要国の国債利回りの上昇は緩やかと思われます。
為替 米ドル円相場は、米国の利上げ観測、日銀の強力な金融緩和の維持を背景に、円安・米ドル高圧力が続く見込みです。
ユーロ円相場は、日欧ともに金融緩和強化の方向にあることから、方向感が出にくいと見込まれます。
リート 国債利回りが急上昇するリスクは限定的で、リートの資金調達環境もしばらくは良好と見られます。また、世界景気の緩やかな回復を背景に、賃料など不動産市場は堅調に推移すると見られ、リート市場は底堅い推移が見込まれます。
※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。