ホームマーケット週次・月次市場情報【マンスリー No.67】先月のマーケットの振り返り(2014年3月)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【マンスリー No.67】先月のマーケットの振り返り(2014年3月)

2014年4月1日

1.概観

トピックス ウクライナ情勢を巡る不透明感が継続する一方、米国の主要経済指標は堅調に推移しています。
中国は経済指標が鈍化するなか、春以降に景気刺激策が打ち出される可能性もあるとの見方が浮上しています。
株式 ウクライナ情勢を巡る不透明感が継続したことなどにより、米国以外の主要国の株価は概ね下落しました。
日本株は、為替市場で円安が進んだことなどにより、下落幅が相対的に小さくなりました。
債券 米国の主要経済指標が堅調に推移したことなどにより、米国の国債利回りは上昇しました。
為替 米国の経済指標の堅調さから世界景気の緩やかな回復への期待が強まり、円は主要国通貨に対して下落しました。
商品 中国の輸出が市場予想に反して減少したことなどにより、原油価格は下落しました。

(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

2.トピックス

(1) ウクライナ情勢を巡る不透明感が継続する一方、米国の主要経済指標は堅調に推移。

<現状>

クリミア自治共和国が3月16日の住民投票でロシアへの編入を選択してから、ロシアとウクライナ、欧米諸国などとの間で制裁措置などの激しい応酬が繰り広げられています。ウクライナ情勢を巡る不透明感により、主要国の株式市場が下落する局面がありました。一方、米国では悪天候の影響が剥落しつつあり、主要経済指標は緩やかな景気回復の継続を示唆しています。

<見通し>

現状では、欧米諸国とロシアの間で妥協点が見出される兆しは乏しく、ウクライナ情勢を巡る不透明感は当面継続すると見られます。主要国の株式市場は同国の情勢をにらみ神経質な展開となる可能性があります。ただし、米国を中心とした世界景気は今後も緩やかな回復基調を辿ると思われることなどから、主要国の株式市場は底堅く推移すると見込まれます。

(2) 中国の経済指標は鈍化、全人代を終えて景気刺激策の可能性も。

<現状>

1月~2月の経済指標が弱含み、景気は鈍化しました。景気回復や自動車販売の伸びなどを見込んで増産を進めていた鉄鋼業の活動などが鈍化しました。また、3月の全人代での政府方針を見極めるまで様子見姿勢を採る企業も多くあった模様です。加えて、引き続き公的部門に厳しい倹約令が敷かれるなか、旧正月の高額な外食や贈答品などの需要も低調となりました。

<見通し>

中国政府は、2014年の成長目標を年+7.5%「前後」としました。これは、必ずしも目標達成にこだわらず、雇用増など他の目標との兼ね合いも見ながら、バランスよく成長を求めようとするためです。ただし、総じて財政には余裕があり、物価も落ち着いていることから、1-3月期の景気鈍化がはっきりとすれば、春以降に景気刺激策が打ち出される可能性もあるとの見方が浮上しています。

3.景気動向

<現状>

米国は、悪天候の影響が剥落しつつあり、景気の緩やかな回復基調が続いていると見られます。
欧州は、10-12月期の実質GDP成長率が前期から小幅に加速するなど、景気は緩やかに回復しつつあります。
日本は、生産が回復基調にあることに加え、消費の持ち直しも継続しており、景気回復が続いています。
中国は、主要経済指標が弱含んでいますが、全人代を控えた様子見姿勢などの一時的要因が背景と見られます。
豪州は、雇用情勢の悪化に歯止めが掛かり、小売売上高も力強く回復するなど、景気は底堅く推移しています。

<見通し>

米国は、雇用情勢の改善を背景とした個人消費の底堅い推移が見込まれることなどから、景気の緩やかな回復が続くと思われます。
欧州は、ドイツを中心とした域内内需の持ち直しや、米国向け輸出の増加などにより、景気は徐々に回復しそうです。
日本は、消費税増税により一時的に消費が減速するものの、輸出の増加や政府の経済対策により景気回復基調は継続しそうです。
中国は、急拡大した影の銀行が不透明要因であるものの、景気刺激策導入の可能性もあり、年7%台の成長が続きそうです。
豪州は、住宅市場が景気の下支え要因となるほか、資源輸出の底堅い推移が見込まれることから、景気は次第に持ち直すと思われます。

4.企業業績と株式

<現状>

主要米国企業の2013年10-12月期決算の増益率は前期から上昇しました。日本の主要企業(東証1部、3月本決算、除く金融、電気・ガス)の2013年10-12月期決算は、経常利益が前年同期比で約+50%と大幅に増加しました。

<見通し>

今後の主要米国企業の増益率予想は、1-3月期に一旦鈍化した後上昇傾向となり、今年後半には二桁増に回復する見通しです。日本では、主要企業の2013年度の経常利益は円高修正などが寄与し、前年度比で+30%程度の大幅増益となる見込みです。堅調な企業業績が下支えすることで主要国の株価は底堅く推移すると思われます。ただし、ウクライナ情勢の動向などにより、短期的に上値が抑えられる可能性もあります。

5.金融政策

<現状>

米連邦制度理事会(FRB)は、3月18日~19日の連邦公開市場委員会(FOMC)でQE3縮小やゼロ金利政策の継続を決定しました。フォワード・ガイダンスは、ゼロ金利政策解除の目安の失業率が削除され、定性的内容に変更されました。欧州中央銀行(ECB)は、政策金利を過去最低の0.25%に据え置きました。日銀は、2013年4月4日に導入した「量的・質的金融緩和」を維持しました。

<見通し>

景気の回復基調から、FRBは今秋にQE3を終了し、その後6カ月ほどでゼロ金利政策を解除するとしています。ECBは緩和的な金融政策を当面維持し、景気と物価を下支えすると見られます。日銀は2%の物価上昇率などの意欲的な目標の達成に向け「量的・質的金融緩和」を引き続き強力に進め、拡充する可能性もありそうです。

6.債券

<現状>

米国では、寒波が収まれば棚上げされた需要が表れ、雇用も持ち直すとの期待などから、国債利回りはやや上昇しました。日本では、日銀の追加緩和が期待される時期が後ずれしたことなどから、国債利回りはやや上昇しました。ウクライナ情勢が懸念された欧州では、国債利回りが低下しました。不透明要因が多いなか投資家がリスクを取る動きは抑えられ、米国企業の社債スプレッド(国債との利回り差)はやや拡大しました。

<見通し>

米国の景気回復に伴って、米国債などの利回りには上昇圧力がかかると見込まれます。ただし、FRBはゼロ金利政策を長期にわたり維持すると見られることから、利回りの上昇は緩やかなものに留まると思われます。米国など主要国の社債市場については、企業の底堅い業績や慎重な財務運営、社債への旺盛な需要などを背景に、社債スプレッドは安定的に推移すると見込まれます。

7.為替

<現状>

米国の経済指標が堅調に推移したことにより、世界景気の緩やかな回復に対する期待が強まったことなどから、円は主要国通貨に対して下落しました。

<見通し>

米ドル円相場は、日銀による大規模な金融緩和策の継続や、米国のQE3縮小などを背景に、円安・米ドル高観測が引き続き根強く残ると思われます。ユーロ円相場は、日銀の大規模な金融緩和策に加え、ユーロ圏の緩やかな景気回復期待などから、円安に振れやすいと思われます。

8.リート

<現状>

ウクライナ情勢を巡る不透明感が継続したことや、米国の国債利回りが上昇したことなどにより、リート市場は下落しました。一方、景気の緩やかな回復を背景にオフィス賃料の増加が続くなど、不動産市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は概ね底堅く推移しています。

<見通し>

米国の実質ゼロ金利政策の長期化が見込まれていることから、国債利回りが急上昇するリスクは限定的と見られます。世界景気の緩やかな回復を背景に、不動産市場のファンダメンタルズは堅調に推移すると見られることから、リート市場は底堅く推移すると見込まれます。

9.まとめ

株式 米国を中心に世界景気は緩やかに回復すると見込まれることや、企業業績が堅調に推移していることなどにより、主要国の株式市場は底堅く推移すると思われます。ただし、ウクライナ情勢の動向などにより、短期的に上値が抑えられる可能性もあります。
債券 米国の景気回復に伴って、米国債などの利回りには上昇圧力がかかると見込まれます。ただし、FRBはゼロ金利政策を長期にわたり維持すると見られることから、利回りの上昇は緩やかなものに留まると思われます。
為替 米ドル円相場は、日銀による大規模な金融緩和策の継続や、米国のQE3縮小などを背景に、円安・米ドル高観測が引き続き根強く残ると思われます。ユーロ円相場は、日銀の大規模な金融緩和策に加え、ユーロ圏の緩やかな景気回復期待などから、円安に振れやすいと思われます。
リート 米国の実質ゼロ金利政策の長期化が見込まれていることから、国債利回りが急上昇するリスクは限定的と見られます。世界景気の緩やかな回復を背景に、不動産市場のファンダメンタルズは堅調に推移すると見られることから、リート市場は底堅く推移すると見込まれます。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。