ホームマーケット週次・月次市場情報【マンスリー No.64】先月のマーケットの振り返り(2013年12月)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【マンスリー No.64】先月のマーケットの振り返り(2013年12月)

2014年1月6日

1.概観

トピックス FRBは、12月17日~18日のFOMCでQE3の縮小開始を決定しました。
米国の金融政策を巡る不透明感の解消から、市場では「リスク・オン」の様相が強まりました。
株式 米国の金融政策を巡る不透明感が解消したことなどから、主要先進国の株価は上昇しました。
日本株は、円が米ドルやユーロに対して下落したことも加わり、相対的に大きく上昇しました。
債券 堅調な米国の経済指標やFRBのQE3縮小の決定などを背景に、主要国の国債利回りは上昇しました。
為替 FRBがQE3の縮小を決定したことなどにより、円は米ドルなどに対して下落しました。
商品 米国の原油在庫の減少や堅調な経済指標などを背景に、原油価格は上昇しました。

(出所)Bloombergのデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

2.トピックス

(1)FRBは12月17日~18日のFOMCでQE3の縮小開始を決定。

<現状>

FRBは12月17日~18日のFOMCで、雇用見通しの改善などからQE3の縮小開始を決定しました。2014年1月以降、毎月の資産購入額を850億米ドルから750億米ドルに減額します(内訳は住宅ローン担保証券(MBS)が400億米ドルから350億米ドル、長期国債が450億米ドルから400億米ドル)。FRBは引き続き資産購入を徐々に減額していく方針であり、FOMC後の債券市場では米国債などの利回りが上昇しました。

<見通し>

FRBは、今後の経済指標が景気の鈍化を示唆する場合、資産購入の減額を見送ることもあり得るとしています。FRBは、2014年も景気に十分に配慮しながら金融政策を決定するものと見られます。政策金利については、インフレ率が2.0%を下回る場合は、失業率が6.5%を下回った後もゼロ金利政策を続けることが適切としました。低金利政策は長期間維持されると思われます。

(2)米国の金融政策を巡る不透明感の解消から、市場では「リスク・オン」の様相が強まる。

<現状>

12月17日~18日のFOMCでQE3の縮小開始が決定されたことにより、米国の金融政策を巡る不透明感が解消し、市場では株高や円安が進む「リスク・オン」の様相が強まりました。FOMC後も米国の主要経済指標が堅調に推移したことなどから、NYダウ工業株30種平均(NYダウ)は12月31日に史上最高値となる16,576.66ドルを付けました。日経平均株価も12月30日(大納会)に約6年2カ月ぶりとなる16,291円31銭で引けました。

<見通し>

長期間にわたる日米欧の強力な金融緩和が世界的に景気を支える効果を表していることもあり、世界的に景気は回復基調をたどると見込まれます。QE3の縮小はそのペースや、利上げまでの時間軸を巡り、市場の波乱要因になる局面もあると思われますが、景気実態の改善が企業業績の回復に対する期待をもたらし、株価は概ね底堅い推移をたどると予想されます。

3.景気動向

<現状>

米国は、雇用環境の改善基調が明確になってきており、景気は緩やかに回復しています。
欧州は、ドイツの鉱工業生産指数の上昇が続く(前年比)など、景気は緩やかに持ち直しつつあります。
日本は、輸出、生産が回復基調にあることに加え、消費の持ち直しも継続しており、景気回復が続いています。
中国は、生産活動が堅調なほか、個人消費の増加ペースが加速するなど、景気は持ち直しています。
豪州は、雇用情勢が弱含んでいるものの、個人消費や住宅市場は改善が続いており、景気は底堅く推移しています。

<見通し>

米国は、雇用情勢の改善を背景とした個人消費の底堅い推移が見込まれることなどから、景気の緩やかな回復が続くと思われます。
欧州は、ドイツを中心とした域内内需の持ち直しや、南欧諸国の財政緊縮ペースの緩和などにより、景気は徐々に回復しそうです。
日本は、輸出、生産の回復が続くと見込まれるうえ、消費税増税前の駆け込み需要や公共投資で年度の後半も景気は回復しそうです。
中国は、生産活動や個人消費が堅調に推移すると見込まれることなどから、年7%台程度の成長が続きそうです。
豪州は、住宅市場の回復の継続や資源輸出の底堅い推移が見込まれることから、景気は次第に持ち直すと思われます。

4.企業業績と株式

<現状>

主要米国企業の2013年7-9月期の決算では、増益率が前期実績と事前予想を上回りました。日本の主要企業(東証1部、3月本決算、除く金融、電気・ガス)の2013年7-9月期決算は、経常利益が前年同期比で+40%超の大幅増益となりました。

<見通し>

今後の主要米国企業の増益率予想は上昇傾向を続け、来年4-6月期には二桁前後に回復する見通しです。日本では、主要企業の2013年度の経常利益は円高修正などが寄与し、前年度比で+20%超の大幅増益となる見込みです。堅調な企業業績が下支えすることで主要国の株価は底堅く推移すると思われます。

5.金融政策

<現状>

FRBは、12月17日~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)でQE3の縮小開始を決定しました。2014年1月から資産購入額を従来の850億ドルから750億ドルに減額する見通しです。欧州中央銀行(ECB)は、政策金利を過去最低の0.25%に据え置きました。日銀は、2013年4月4日に導入した「量的・質的金融緩和」を維持しています。

<見通し>

FRBは、今後の経済指標を見極めながらQE3の縮小ペースを判断すると見られます。政策金利は、インフレ率が2%を下回る場合、失業率が6.5%を下回った後も現行水準で据え置く見通しです。ECBは緩和的な金融政策を当面維持し、景気と物価を下支えすると見られます。日銀は2%の物価上昇率などの意欲的な目標の達成に向け「量的・質的金融緩和」を引き続き強力に進め、拡充する可能性もありそうです。

6.債券

<現状>

米国の経済指標が改善したことやFRBがQE3の縮小を決定したことなどから、米国債などの利回りは上昇傾向となりました。米国などの社債スプレッド(国債との利回り差)は、企業の底堅い決算内容などから堅調な投資家の社債需要が続き、縮小傾向となりました。

<見通し>

米国の景気回復に伴って、米国債などの利回りには今後も上昇圧力がかかると見込まれます。ただし、FRBは低金利政策を長期にわたり維持すると見られることから、米国債などの利回り上昇は緩やかなものになると思われます。米国など主要国の社債市場については、企業の底堅い業績や慎重な財務運営、投資家の社債需要などから、社債スプレッドは安定的に推移すると見込まれます。

7.為替

<現状>

米国の雇用情勢が堅調に推移したことや、FRBがQE3の縮小を決定したことなどにより、円は米ドルに対して下落しました。ユーロ円相場は、ECB定例理事会で、2014年のユーロ圏の成長率見通しが上方修正されたことや、追加の金融緩和策が直ちに講じられる示唆が無かったことなどにより、円はユーロに対しても下落しました。

<見通し>

米ドル円相場は、日銀による大規模な金融緩和策の継続や、米国のQE3の縮小などを背景に、円安・米ドル高観測が根強く残ると思われます。ユーロ円相場は、日銀の大規模な金融緩和策に加え、ユーロ圏の緩やかな景気回復期待などから、円安に振れやすいと思われます。

8.リート

<現状>

米国の経済指標が堅調に推移したことや、12月のFOMCでQE3の縮小が決定したことなどにより、国債利回りが上昇しました。これらを受け、主要国のリート市場は小幅に下落しました。

<見通し>

QE3の縮小ペースは景気動向に応じて柔軟に判断される見通しであり、政策金利については、実質ゼロ金利政策の長期化が見込まれていることから、国債利回りが急上昇するリスクは限定的と見られます。世界景気の緩やかな回復を背景に、不動産市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は堅調に推移すると見られることから、リート市場は底堅く推移すると見込まれます。

9.まとめ

株式 米国を中心に世界景気は緩やかに回復していることや、企業業績が堅調に推移していることなどにより、主要国の株式市場は底堅く推移すると思われます。
債券 米国の景気回復を背景に、米国債などの利回りには今後も上昇圧力がかかると見込まれます。ただし、FRBは低金利政策を長期にわたり維持すると見られることから、米国債などの利回りの上昇は緩やかなものになると思われます。
為替 米ドル円相場は、日銀による大規模な金融緩和策の継続や、米国のQE3の縮小などを背景に、円安・米ドル高観測が根強く残ると思われます。ユーロ円相場は、日銀の大規模な金融緩和策に加え、ユーロ圏の緩やかな景気回復期待などから、円安に振れやすいと思われます。
リート FRBが景気に十分配慮して金融政策を運営する姿勢を示していることから、国債利回りが急上昇するリスクは限定的と見られます。世界景気の緩やかな回復を背景に、不動産市場のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は堅調に推移すると見られることから、リート市場は底堅く推移すると見込まれます。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。