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先月のマーケットの振り返り(2026年8月)

2026年9月2日

1.概観


株式

8月の主要な株価指数では、非鉄精錬など素材セクター、医薬品、好業績を発表したソフトウェア株を中心とする情報・通信セクターが上昇を牽引しました。一方で、①燃料高の影響を受け空運、クルーズ業界が不振、②業績下振れから小売企業の株価が下落、などコスト高を販売価格に転嫁しきれていない銘柄は株価が下落しました。日、米、独、豪市場は上昇しましたが、防衛支出が期待以下となる懸念から防衛関連株が下落した英国は不振でした。テック企業への政策支援期待で上海総合指数が上昇する一方、香港、インドは米国の利上げ懸念から利益確定売りに押されました。

債券

米国とイランの紛争の行方に不透明感が増し原油価格が上昇すると、欧米の長期金利は上昇しました。米連邦準備制度理事会(FRB)など各国中央銀行は、8月に会合を開いていませんが、物価上昇率の高止まりを受け政策金利引き上げを示唆するコメントが増えています。日本では、外国人投資家の中長期債売却が続き、長期金利が上昇しました。

為替

日銀のバランスシート縮小が続く中、国内外投資家が円建て資産を売り、外貨建て資産を購入したため、円安基調となりました。円買い協調介入の際に、ユーロ売り円買いを行ったことから、ベッセント長官は円以外に対してはドル高政策を維持したいようです。

商品

米国とイランの紛争の沈静化の見通しが立たない中、双方の小規模な攻撃の応酬から、原油価格は上昇しました。


 

2.景気動向

<現状>

●米国の26年4-6月期の実質GDP改定値の成長率は前期比年率+1.5%でした。速報値も前期比年率+1.5%でした。

●欧州(ユーロ圏)の4‐6月期実質GDP改定値の成長率は前期比年率+1.8%でした。1-3月期の成長率は0.0%でした。

●日本の4‐6月期実質GDP1次速報値の成長率は前期比年率+1.1%となりました。個人消費支出の停滞、設備投資の不振から国内需要は▲0.7%のマイナスとなりましたが、輸出は+2.1%、輸入は▲6.0%と外需が寄与しました。原油備蓄の放出は政府在庫の減少を通じGDPにマイナス寄与となっています。 1-3月期の成長率は1.8%から1.9%に上方修正されました。

●中国の4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.3%でした。1‐3月期の成長率は+5.0%でした。

●豪州の1-3月期の実質GDPの成長率は前年同期比+2.5%でした。

<見通し>

●米国の26年の実質GDP成長率見通しを+2.2%、27年見通しを+2.1%としました。ガソリンなど燃料油価格上昇の影響は軽微にとどまり、個人消費は底堅く推移しています。また、①発送電設備の拡充、②データセンター内外での光通信化、などAI関連に付随した投資が成長を牽引しそうです。名目成長率が高まっていることは、企業収益の向上と雇用の安定にも寄与しそうです。

●欧州では、26年+0.8%、27年+1.4%の実質GDP成長率見通しとしました。エネルギー価格上昇の影響で個人消費は減速しそうですが、インフラ投資、域内防衛費の拡大など財政拡張により、安定した成長が続く見通しです。

●日本の実質GDP成長率見通しは、26年度を+1.0%、27年度を+1.0%としました。国外のAI関連需要が好調で、短期的には輸出が日本経済を支えそうです。27年度には、①消費税減税に伴う民間消費支出の回復、②高市政権の成長戦略を呼び水とした設備投資の回復などが見込まれるため、成長軌道を維持できると予想します。

●中国では、26年+4.6%、27年+4.5%の実質GDP成長率を予想します。原油高の影響で足元インフレ率が上昇していますが、27年は鈍化する見込みです。AI向けハイテク機器の需要増で輸出が好調です。新興国向け輸出も好調で、輸出先の多様化も進んでおり、景気を下支えする見通しです。ただし、買い替え補助の規模縮小などから、消費の低迷は続くと予想します。

●豪州では、7月に雇用者数が予想に反して約1.6万人減少しました。一方、7月の消費者物価(CPI)の上昇率は3.5%と事前の予想を上回り、高止まりしています。8月、オーストラリア準備銀行(RBA)は政策金利を据え置きました。インフレの動向とこれまでの利上げの効果を見極めようとしているようです。

3.金融政策

<現状>

●28日のジャクソンホール会合で、ウォーシュFRB議長は、「2%PCE目標はしっかりした目標」で、「インフレデータは有意なトレンド改善を示唆していない」、と発言しました。発言を受け、フェデラルファンド金利先物でみた9月のFRB会合での利上げ確率は、50%を超えたようです。一方、28日に米労働統計局(BLS)が発表した年次基準改定では、雇用者数が予想外の7万9千人の下方修正となり、7月会合での3名の金利据え置き反対や議長発言の割に利上げ確率は高まっていないように見えます。9月15-16日のFRB会合前、4日発表の雇用統計、11日発表の米消費者物価(CPI)統計は大きな注目を集めそうです。

●欧州中央銀行(ECB)では、CPI上昇率は目標の2%を上回る水準で推移すると予想するメンバーが多く、次回の会合で利上げが必要とコメントするメンバーもいます。夏場に電力需要が増加したことと、冬の需要期を前に天然ガスの在庫の積み上げが遅れていることなどからエネルギーコストの上昇率が拡大しており、今後エネルギー以外の物価への影響も避けられない見通しです。ただし、チポローネ専務理事は、供給サイドの̠ショックに利上げで対処すれば経済成長を抑制するとコメントしています。

●8月、日本では、日銀が7月末に発表した経済・物価情勢の展望とは相反する指標が相次ぎました。上振れリスクが大きいとしていた消費者物価では、7月の政策による特殊要因を除くコアCPIすら伸び率が低下しました。企業は仕入れコストの値上がり分を最終消費者に転嫁することに苦労しているようです。人件費、金利などの上昇分の転嫁ができないため、有効求人倍率は引き続き低水準で推移しています。出生率の低迷が何十年も続いているため新卒の求職者は限られており、新卒の有効求人倍率は高止まりしています。4-6月のGDP速報値では、内需はマイナスとなり、帰属家賃除く消費支出もマイナスでした。設備投資は2四半期連続で前期比マイナスとなりました。円安を追い風に、AI投資関連向け機器、部品の輸出が日本経済を支えています。

 <見通し>

●米国では、6、7月、コアインフレ率の上昇率が2カ月連続で低下し、インフレ懸念は若干後退しました。テックインフレは継続しており、本質的なインフレ改善が始まっているのか判断が難しい状況ですが、テックインフレを利上げで抑制できるかには不透明感があります。弊社では、9月には政策金利の引き上げが見送られると予想します。しかし、10-12月期に利上げが行われると見ています。27年には景気が安定的に推移する中で、原油安からインフレ率も低下すると見込まれるため、政策金利は据え置かれると予想します。

●欧州では、原油、天然ガス価格が再び上昇し、エネルギー価格も連動して上昇しています。インフラ投資、国防支出が増加する中で、インフレの進行が見込まれるため、26年9月に、ECBは政策金利を0.25%引き上げると予想します。

●高市政権は、骨太の方針において日本銀行に政府との共同声明の趣旨に沿った適切な金融政策を期待することを盛り込んでいます。しかし、弊社は利上げ牽制姿勢は軟化すると見て、利上げ時期の予想を全体的に前倒しし、26年9月、27年1月に利上げが行われる予想に変更しました。

4.債券

<現状>

●米国の10年国債利回り(長期金利)はやや上昇しました。①FRBの外国・国際通貨当局(FIMA)レポファシリティー活用が提案された際(FRBのバランスシート拡大期待)、②7月の雇用統計の悪化、③財務省の余剰資金を活用し、長期債を買戻すアイデアなどが報道された時には、長期金利は一時的に低下しました。しかし、イランが損害賠償を求めるなど米国との対決姿勢を鮮明化したり、トランプ大統領がイランの制裁強化を発表すると、原油価格が上昇し、長期債利回りも上昇しました。

●ドイツでも長期金利は上昇しました。欧州では、米国ほどテックインフレの影響は大きくありません。原油価格は上昇したとはいえ4月、5月よりも低水準にある一方で、欧州の主力エネルギー源の天然ガス価格は上昇しています。①中東紛争の影響、②猛暑での発電需要の増加などにより、冬場の需要期を前に貯蔵施設の補充率は低水準で、今後はCPIにも影響しそうです。

●日本の10年国債利回りは上昇が続きました。日銀の量的縮小政策により、国債需給が緩いことが主要因です。加えて、高市政権の積極財政により国債発行額が増加するとの報道から、投資需要は盛り上がりに欠けます。一部政治家が国債投資に優遇策を講じようとしていますが、家計の国債投資は預金の流出につながるため、金融機関の国債投資を縮小させそうです。

●米国の投資適格社債については、前月比で社債利回りは上昇しました。しかし、スプレッド(国債と社債の利回り差)は、先月より若干縮小しました。大規模データセンター建設のための資金調達は、米国外や転換社債での調達が増えています。

<見通し>

●米国の長期金利は当面上昇する見通しですが、上昇余地は限定的と見ます。米国では雇用が底堅く推移する一方で、インフレ率が再び上振れるリスクがあるため、FRBは12月に予防的な利上げを行うと予想します。小幅な利上げにとどまれば、米国景気の回復基調は維持され、長期金利は現行水準をやや上回って推移する見通しです。

●欧州では、長期金利は緩やかに上昇するものの上昇余地は限定的と予想します。米国の長期金利上昇が、欧州の長期金利を緩やかに押し上げると予想します。ECBは9月に追加利上げを行う見込みですが、市場では既に織り込まれている模様です。

●日本の長期金利は上昇傾向が続くと予想します。日銀の量的引き締め継続により、需給面から長期金利に上昇圧力がかかっているうえに、市場に利上げ前倒し観測が出ていることも長期金利の上昇要因となりそうです。

5.企業業績と株式

<現状>

●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。8月末の米S&P500種株価指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+35.9%、TOPIXの予想EPSは同+27.5%となりました。

●米国株式市場では、NYダウは好業績を発表したソフトウェア株の復活と医薬品株の上昇が目立ちました。S&P500種株価指数では、素材セクターの上昇が目立ちました。データセンターの部品の製造に使用される非鉄金属、工業用ガス銘柄だけでなく、中東からの供給が懸念される肥料など農業関連銘柄も上昇しました。一方では、燃料高から空運、クルーズ関連株が下落しました。また、衣料、レストラン、スーパーなど消費関連株が採算悪化に伴う業績不振から下落したほか、防衛・宇宙、電力関連株も利益確定売りに押されました。NYダウは前月比+1.34%上昇、S&P500種株価指数は+2.62 %上昇しました。

●日本株式市場でも米国同様、電線、非鉄精錬株など鉄鋼・非鉄セクターとソフトウェア株やサービス企業などを中心に情報・通信セクターが好調でした。一方、衣料品、スーパーなど小売りセクターが不振でした。日経平均は月間で+3.03%上昇し、TOPIXは+3.82%上昇しました。

<見通し>

●米国株式市場は、FRBの利上げ観測が株価の重石となるものの、企業の強い設備投資意欲や堅調な雇用を背景に景気は底堅く推移するとみます。景気の回復とデータセンターやインフラ投資向けサプライチェーン企業の収益拡大により、米国企業の業績は向上し、株価を支える見込みです。ただし、①4-6月期の企業業績にはスペースXなど新興企業への投資の評価益が含まれており、反動減が懸念される、②電力不足や長期金利上昇を背景にデータセンターの投資計画が延期される、などがリスクとなりそうです。

●日本株式市場は、上昇基調が続くと予想します。電子部品、半導体関連などハイテク関連株を中心に企業業績は堅調で、日本企業も増益基調を維持できそうです。高市政権の後押しにより、賃金と物価の好循環や企業統治改革といった前向きな動きが続きそうです。リスクは停戦合意の破綻により、ホルムズ海峡が長期間封鎖されることが挙げられます。

                                                                                                                                                                                               

6.為替

<現状>

●円の対米ドルレートは、円安となりました。25年12月以降、日本政府・日銀は政策金利引上げ、為替介入を繰り返しています。しかし、円ドルレートが修正されるのは介入直後だけで、政策金利を引き上げても、円安基調に変化はありませんでした。外国人投資家の中長期債売りも、円安につながっているようです。①6月の日銀政策金利引上げ、7月末の協調介入後も、円安となった際のベッセント長官の日銀に対するコメントは、「必要なことを実行すると信じている」で一貫しており、利上げを歓迎するとは発言していない、②協調介入ではFRBのバランスシートを拡大する方策をとっている、③介入後に米長期債の金利抑制を試みている、などから判断すると、日本の長期金利上昇に伴う円建て資産売り、外貨建て資産買いを止めてほしいというのが、米国の希望のようです。

●ユーロ・米ドルレートは、ユーロ高となりました。ユーロ圏の景気が底堅く、依然インフレ懸念があるとして、次回会合での政策金利引上げを示唆するECBメンバーが多いことがユーロ高の要因と見られます。日本との円買い協調介入の際に、ベッセント長官がセットでユーロ売り円買い介入を行ったにもかかわらず、円安ユーロ高となりました。

●豪ドル・円レートは、豪ドル高となりました。豪ドルと米ドルの金利差が大きく、米ドルに対し豪ドル高となりました。豪州サイドの投資家にも、日銀の利上げ期待からの円高予想と、長期金利上昇が日本売りにつながるとの懸念があるようです。

<見通し>

●円の対米ドルレートは、円安ドル高を予想します。今後、日米ともに利上げが想定されますが、金利水準が相対的に高い米ドルの優位性が維持されると考えます。また、企業の対外直接投資や外貨建て投信の購入拡大などが根強い円安要因となりそうです。

●円の対ユーロレートは、レンジ内でもみ合う展開を予想します。ECBとFRBは、インフレリスクへの対応から26年内に1回利上げを行うと想定していますが、米国の金利水準が欧州を上回るため、米ドル高圧力がかかりやすい展開を予想します。中東情勢の不透明感の高まりは、エネルギーの輸入依存度の高い欧州通貨の重石になると見ています。特に、需要期ではないにもかかわらず、ロンドン市場での天然ガス価格が上昇していることが気がかりです。

●円の対豪ドルレートは、やや円安を予想します。RBAもインフレ動向次第で追加利上げを行う姿勢を見せていることから、豪米の大きな金利差は維持される見込みで、豪ドル米ドルレートへの影響は限定的と見られます。

7.リート

<現状>

●グローバルリート市場(米ドルベース)は、米国では長期金利が高止まりする中で、個人消費が減速した影響から、高級ホテルやショッピングセンターなど小売り関連のリートが下落しました。米国ではデータセンターを運営するリートや無線通信インフラを運営するリートは稼働率の上昇を受け好調でしたが、相場全体を引き上げるには至りませんでした。その他の国では長期金利の上昇がリート市場の重荷となり下落しました。豪州では、予想以上の物価上昇を受け利上げ観測が再燃し、リート市場の調整が大きくなりました。日本でも、長期金利の上昇が続き、政策金利引き上げ懸念が出ていますが、低い空室率を背景にオフィス賃料が上昇しているため、リート指数の調整は小幅でした。香港、韓国のリート市場は、他地域に比べ、堅調でした。

●東証では、7月、事業法人、銀行、生・損保、その他金融法人(銀行、生・損保を除く)の金融機関すべてが買い越し、証券会社の自己、個人、投資信託、外国人が売り越し、という稀な展開になりました。

●S&Pグローバルリートインデックスの8月のリターンは前月末比▲2.64%の下落となりました。月間の換算用の円ドルレートが円安となり、円ベースのリターンは同▲2.24%となりました。

<見通し>

●グローバルリート市場は、長期金利の動向に左右される状態が続きそうです。ウェイトの大きい米国で、AI投資の拡大や活用が活発化していることは、データセンターなどインフラ関連のセグメントのパフォーマンス向上に貢献しそうです。欧州および豪州など、日本以外の市場ではデータセンターは重要なセグメントとなっています。不動産のインフレヘッジ性に注目が集まっていることは、リート市場のプラス要因となりそうです。

●日本では、利上げペース前倒し観測に伴う金利先高観が、リート市場の重石となりそうです。東京都心部のオフィスビルの空室率は低下し、賃料の上昇が続いています。都心5区の平均募集賃料は足元で増勢を強めているようです。賃料収入の増加が、リート市場を下支えしそうです。新規着工が低水準で推移していることは、将来的には需給面でのプラス要因となりそうです。また、分配金成長目標を掲げるリートが増えていることも、リート市場の活性化につながるでしょう。

8.まとめ


債券

●米国の長期金利は当面上昇する見通しですが、上昇余地は限定的と見ます。米国では雇用が底堅く推移する一方で、インフレ率が再び上振れるリスクがあるため、FRBは12月に予防的な利上げを行うと予想します。小幅な利上げにとどまれば、米国景気の回復基調は維持され、長期金利は現行水準をやや上回って推移する見通しです。

●欧州では、長期金利は緩やかに上昇するものの上昇余地は限定的と予想します。米国の長期金利上昇が、欧州の長期金利を緩やかに押し上げると予想します。ECBは9月に追加利上げを行う見込みですが、市場では既に織り込まれている模様です。

●日本の長期金利は上昇傾向が続くと予想します。日銀の量的引き締め継続により、需給面から長期金利に上昇圧力がかかっているうえに、市場に利上げ前倒し観測が出ていることも長期金利の上昇要因となりそうです。

株式

●米国株式市場は、FRBの利上げ観測が株価の重石となるものの、企業の強い設備投資意欲や堅調な雇用を背景に景気は底堅く推移するとみます。景気の回復とデータセンターやインフラ投資向けサプライチェーン企業の収益拡大により、米国企業の業績は向上し、株価を支える見込みです。ただし、①4-6月期の企業業績にはスペースXなど新興企業への投資の評価益が含まれており、反動減が懸念される、②電力不足や長期金利上昇を背景にデータセンターの投資計画が延期される、などがリスクとなりそうです。

●日本株式市場は、上昇基調が続くと予想します。電子部品、半導体関連などハイテク関連株を中心に企業業績は堅調で、日本企業も増益基調を維持できそうです。高市政権の後押しにより、賃金と物価の好循環や企業統治改革といった前向きな動きが続きそうです。リスクは停戦合意の破綻により、ホルムズ海峡が長期間封鎖されることが挙げられます。

為替

●円の対米ドルレートは、円安ドル高を予想します。今後、日米ともに利上げが想定されますが、金利水準が相対的に高い米ドルの優位性が維持されると考えます。また、企業の対外直接投資や外貨建て投信の購入拡大などが根強い円安要因となりそうです。

●円の対ユーロレートは、レンジ内でもみ合う展開を予想します。ECBとFRBは、インフレリスクへの対応から26年内に1回利上げを行うと想定していますが、米国の金利水準が欧州を上回るため、米ドル高圧力がかかりやすい展開を予想します。中東情勢の不透明感の高まりは、エネルギーの輸入依存度の高い欧州通貨の重石になると見ています。特に、需要期ではないにもかかわらず、ロンドン市場での天然ガス価格が上昇していることが気がかりです。

●円の対豪ドルレートは、やや円安を予想します。RBAもインフレ動向次第で追加利上げを行う姿勢を見せていることから、豪米の大きな金利差は維持される見込みで、豪ドル米ドルレートへの影響は限定的と見られます。

リート

●グローバルリート市場は、長期金利の動向に左右される状態が続きそうです。ウェイトの大きい米国で、AI投資の拡大や活用が活発化していることは、データセンターなどインフラ関連のセグメントのパフォーマンス向上に貢献しそうです。欧州および豪州など、日本以外の市場ではデータセンターは重要なセグメントとなっています。不動産のインフレヘッジ性に注目が集まっていることは、リート市場のプラス要因となりそうです。

●日本では、利上げペース前倒し観測に伴う金利先高観が、リート市場の重石となりそうです。東京都心部のオフィスビルの空室率は低下し、賃料の上昇が続いています。都心5区の平均募集賃料は足元で増勢を強めているようです。賃料収入の増加が、リート市場を下支えしそうです。新規着工が低水準で推移していることは、将来的には需給面でのプラス要因となりそうです。また、分配金成長目標を掲げるリートが増えていることも、リート市場の活性化につながるでしょう。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。