日米株下落 -イタリア政情不安受けリスクオフ-
2018/5/30
<混迷を深める南欧政治>
イタリアでは今年3月4日に総選挙が実施されましたが、過半数に達した政党がいなかったことから連立政権樹立が難航していました。5月18日には、第1党のポピュリズム政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」が政策で合意し、フィレンツェ大学教授のコンテ氏を次期首相に推薦しました。しかし、マッタレッラ大統領が、ユーロ離脱を強く推すサボナ氏の経済財務相としての入閣を受け入れなかったため、コンテ氏の組閣は失敗に終わりました。大統領は28日、IMF元高官であるコッタレッリ氏を次期首相候補に指名し組閣を命じましたが、この政権を議会が承認する可能性は低く、大統領によって早期に議会が解散され総選挙が行われる可能性が高まっています。総選挙を実施しても、連立政権樹立には時間がかかると見られており、イタリアの政治空白が長期化する恐れがあります。
一方、スペインでもラホイ首相への退陣要求が強まり、31日に不信任決議案が審議に入る予定で、南欧の政局混乱への懸念が強まっています。
<リスクオフの投資姿勢が強まる>
イタリアやスペインでの政局混乱への懸念から、両国の国債利回りが急上昇しました。この流れを受け、世界的にリスクオフの投資姿勢が強まり、為替市場では逃避先通貨である円やスイスフランが買われました。円は1米ドル=108円台となっています。
29日の米国市場では、米国債が買われる一方、米国株は大きく下落しました。米10年債利回りは2.78%まで低下し、NYダウ平均株価は前日比▲391.64米ドル(▲1.6%)下落しました。30日の日本株もこの流れを受けて、日経平均株価は前日比▲339.91円(▲1.52%)と大きく下落しました。
<今後の見通し 不透明感の強い状況がしばらく続くと予想>
今後の南欧の政局については先行きが読みづらいため、すぐに不透明感が払拭される可能性は低いと見込まれます。欧州経済への影響も懸念されることから、市場ではリスクオフの投資姿勢がしばらく続くと予想されます。
ただ、米朝首脳会談の実施や米中貿易摩擦の緩和など、米国関連の明るいニュースが出れば、リスクオフの投資姿勢は徐々に緩んでいくものと思われます。

出所:Bloomberg
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