ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目2026年8月ジャクソンホール会議プレビュー

2026年8月26日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】2026年8月ジャクソンホール会議プレビュー

●ジャクソンホール会議は8月27日から29日まで開催され、28日にはウォーシュ議長が講演の予定。
●ウォーシュ議長は講演にて、目先の金融政策の道筋ではなく、より大きな問いを提示する可能性も。
●今回は政策運営についての明確なメッセージの発信は見込みにくく、金融市場の反応は限定的か。

ジャクソンホール会議は8月27日から29日まで開催され、28日にはウォーシュ議長が講演の予定

米カンザスシティー連邦準備銀行は1978年以来、米国および世界経済が直面する重要な問題をテーマに、シンポジウムを開催してきました。1982年からは、同行が管轄するワイオミング州ジャクソンホールにあるグランドティトン国立公園のジャクソン・レイク・ロッジで開催されています。通称「ジャクソンホール会議」と呼ばれるこのシンポジウムでは、主要国の中央銀行総裁や幹部、経済学者らが集い、学術的な議論が交わされます。


今年で49回目を迎えるこのシンポジウムは、「金融イノベーション:決済と政策への含意」をテーマに、8月27日から29日まで開催されます。なお、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は、日本時間8月28日午後11時に登壇し、講演する予定となっています。現時点で講演のテーマは明らかになっていませんが、今回が初参加となるウォーシュ議長が、どのような発言をするのか、市場の注目が集まっています。

ウォーシュ議長は講演にて、目先の金融政策の道筋ではなく、より大きな問いを提示する可能性も

近年、ジャクソンホール会議でのFRB議長講演は、秋以降の金融政策の重要なシグナルを発する場となっており、パウエル前議長も在職中、ジャクソンホール会議で先行きの政策運営に関する手掛かりを示してきました(図表1)。ただ、ウォーシュ議長はフォワードガイダンス(金融政策の先行きに関する指針)に否定的な立場であることから、市場では今回の講演で政策運営の方向性が示唆される可能性は低いとの声も聞かれます。


ウォーシュ議長は、7月29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見において、ジャクソンホール会議での講演について言及しており、目先の金融政策の道筋ではなく、より大きな問い(the big questions)を提示したい旨を語っていました(図表2)。そして、大きな問いの具体例として、生産性や人口動態、さまざまなショックのなかにある世界経済に本当に起こっていることは何かということが挙げられました。

今回は政策運営についての明確なメッセージの発信は見込みにくく、金融市場の反応は限定的か

ただ、ウォーシュ議長は、今回の講演について、大きな問いについての見方を示す内容にするのか、秋以降の金融政策の重要なシグナルを発する伝統的な内容にするのかについては、まだ決めていないと述べました。また、FRB改革を支える5つ(コミュニケーション、バランスシート、データ、生産性と雇用、インフレの枠組み)のタスクフォース(作業部会)における議論の進展に言及する可能性にも触れました。


以上を踏まえると、ウォーシュ議長の28日の講演は、生産性や人口動態などの構造変化に関する大局的なテーマが中心となり、それにかかわる形でタスクフォースの意義や進展の話が盛り込まれる公算が大きいと推測されます。ウォーシュ議長がフォワードガイダンスに否定的な立場である以上、年内の政策運営について明確なメッセージを発信することは見込みにくく、この場合、金融市場の反応は限定的になることも予想されます。