ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目2026年7月FOMCレビュー~米国市場の反応について

2026年7月30日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】2026年7月FOMCレビュー~米国市場の反応について

●政策金利は予想通り据え置きに、ただ投票権を持つ12名のうち、タカ派の3名が据え置きに反対。
●ウォーシュ議長はタカ派姿勢だが、市場の利上げ織り込みを歓迎、利上げを唯一の手段と考えず。
●米国市場のビハインド・ザ・カーブ懸念の反応は行き過ぎか、弊社は9月利上げの見方を維持する。

政策金利は予想通り据え置きに、ただ投票権を持つ12名のうち、タカ派の3名が据え置きに反対

米連邦準備制度理事会(FRB)は、7月28日、29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、大方の予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.50%~3.75%に据え置くことを決定しました。FOMC声明は、前回6月会合の内容と変わらず、経済活動が堅調なペースで拡大し、雇用の増加は労働力の伸びに歩調を合わせているなか、インフレ率は2%の目標に対し、依然として高い水準にあるとの見方を維持しました。


弊社は、今年のFOMCで投票権を持つ12名のメンバーのうち、クリーブランド連銀のハマック総裁、ダラス連銀のローガン総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の3名について、インフレ抑制を重視する「タカ派」とみているため、今回のFOMCでは、利上げの意見が出ることも想定していました。実際、この3名は、そろって利上げを主張し、政策金利の据え置きに反対票を投じました。

ウォーシュ議長はタカ派姿勢だが、市場の利上げ織り込みを歓迎、利上げを唯一の手段と考えず

ウォーシュ議長は会合後の記者会見で、今回のFOMCでFF金利の据え置きを決定したことについて、経済状況の綿密な検証であり、今後どのような準備をすべきか見極めるための作業であるとの見解を示しました。そして、FRBはインフレ率を2%の目標へ戻す取り組みを緩めることはないと強調し、必要かつ適切と判断されれば、行動をためらうことはないと述べました(図表1)。


また、ウォーシュ議長は、米国債の名目利回りと実質利回りが大幅に上昇したことについて、市場で利上げの可能性が織り込まれたことを示すものと指摘し、これを歓迎する姿勢を示しました。ただ、このような市場の動きに対し、FRBは必ずしも政策変更で追認する必要はなく、インフレの高止まりが続けば、利上げは解決策の一部となるが、唯一の手段だとはいえない、という考え方も明らかにしました。

米国市場のビハインド・ザ・カーブ懸念の反応は行き過ぎか、弊社は9月利上げの見方を維持する

今回のウォーシュ議長の発言からは、タカ派姿勢を維持しつつも、現在は注意深く考え続ける時間帯であること、また、市場の動きも重視し、市場が自ら利上げを織り込めば、必ずしも利上げで追認する必要はないこと、などが読み取れます。そして、これまでのようなフォワードガイダンス(金融政策の先行きに関する指針)がなくなったこともあり、市場にとって今回のFOMCの解釈は難しかったように見受けられます。


7月29日の米金融市場では、年内の利上げ織り込みが後退し(図表2)、国債利回りが短期ゾーンで低下、長期・超長期ゾーンが上昇、さらに米ドル安、株安など、金融引き締めが後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」を懸念する様子もうかがえました。ただ、これらはやや行き過ぎた反応と思われ、FRBが物価安定重視である以上、利上げはデータ次第であり、弊社は物価の伸びの鈍化にまだ時間を要すると考え、9月利上げの見方を維持しています。