ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目中東情勢の緊迫化でドル円は163円台へ~為替介入の有無を探る

2026年7月22日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】中東情勢の緊迫化でドル円は163円台へ~為替介入の有無を探る

●足元で中東情勢が急速に緊迫化したことを受けて、ドル円は約39年7カ月ぶりとなる163円台へ。
●この先は為替介入の有無が焦点、ただボラティリティ水準が低く為替介入を急ぐ段階にはなかろう。
●ボラティリティと財務省・日銀の動向に注意、ドル円年末予想165円は円安方向へ修正を検討中。

足元で中東情勢が急速に緊迫化したことを受けて、ドル円は約39年7カ月ぶりとなる163円台へ

7月21日のニューヨーク外国為替市場ではドル高・円安が進行し、ドル円は一時1ドル=163円24銭水準をつけ、約39年7カ月ぶりとなる163円台に到達しました。背景には、足元で中東情勢が急速に緊迫化したことを受け、基軸通貨で流動性の高いドルに一時避難的に資金が流入する、いわゆる「有事のドル買い」が優勢になったと推測され、同日のドルは、円を含む先進国の主要通貨に対し、上昇する動きがみられました。


中東情勢については、米国が7月20日まで10日連続でイランを攻撃しており、イランも湾岸諸国の米軍施設を攻撃するなど、両国の応酬が続いています。また、親イラン武装組織フーシは20日、サウジアラビアに対し、紅海を念頭に「海上封鎖」を即時実施すると宣言、さらにトランプ米大統領は21日、イランの核関連施設があるとされる地域を近く非常に激しく攻撃すると警告しており、米国とイランが再び全面衝突する懸念が強まっています。

この先は為替介入の有無が焦点、ただボラティリティ水準が低く為替介入を急ぐ段階にはなかろう

ドル円が163円台に乗せたことで、ここからしばらくは、政府・日銀によるドル売り・円買いの為替介入が行われるか否かが焦点になるとみています。なお、直近で為替介入が行われた際のドル円の水準や、通貨オプション市場での予想変動率(ボラティリティ)は図表の通りです。これをみると、ドル円の163円は、ドル売り・円買いの為替介入が実施されても違和感のない水準と考えられます。


一方、ボラティリティに目を向けると、最も低い水準で、期間1週間は7%台前半、期間1カ月は7%台後半で、為替介入が行われています。そこで、直近のボラティリティを確認してみると、期間1週間が5%台半ば、期間1カ月が6%台前半となっており、過去に為替介入が行われた際に比べて低い水準にあることから、政府・日銀が急いで為替介入を行う段階には、まだないように思われます。

ボラティリティと財務省・日銀の動向に注意、ドル円年末予想165円は円安方向へ修正を検討中

今後、注目すべきは財務大臣や財務官の発言で、特に「常に準備はできている」、「急激な変化は容認できない」などは、為替介入を意識した発言と考えられ、また、日銀が金融機関に相場水準を聞く「レートチェック」も、為替介入が近いシグナルと判断されます。ドル円のボラティリティがもう一段上昇し、これらの発言やレートチェックが確認された場合は、為替介入への警戒を強める必要があると考えます。


弊社は日銀の金融政策の見通しについて、政府の姿勢を鑑み、7月17日時点で25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の次の利上げ時期を10月から12月に変更した一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は年内9月と12月に25bpずつ利上げを行うとの見方を維持しました。弊社はドル円の年末着地水準を165円と予想していますが、日銀の利上げが遅れる点を勘案し、ドル高・円安方向への修正を検討しています。