ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目2026年6月FOMCプレビュー~今回の注目点を整理する

2026年6月12日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】2026年6月FOMCプレビュー~今回の注目点を整理する

●政策金利は据え置きを予想、声明の緩和バイアスの文言は中立方向への修正か削除の可能性。
●ドットチャートでは2026年の政策金利は据え置き、2027年は2回の利下げが示されるとみている。
●今回のFOMCは中立化がメッセージと考えており、タカ派化はリスクだが、その恐れは小さいであろう。

政策金利は据え置きを予想、声明の緩和バイアスの文言は中立方向への修正か削除の可能性

米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月16日、17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。今回はウォーシュ新議長のもとで開催される初めてのFOMCであり、声明や記者会見、FOMCメンバーの最新の経済見通し(SEP、Summary of Economic Projections)、メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」を通じて、どのようなメッセージが発信されるか、いつも以上に市場の注目が集まっています。


フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標(現行3.50%~3.75%)は、市場の大方の見方と同じく、弊社も据え置きを予想します。FOMC声明では、「FF金利の誘導目標のさらなる調整の程度とタイミングを検討する際」という緩和バイアスの文言について、前会合ですでに3名のメンバーが反対しており、ウォーシュ議長も金融政策の先行き指針を示す「フォワードガイダンス」に否定的であることから、中立方向への修正か、削除が予想されます。

ドットチャートでは2026年の政策金利は据え置き、2027年は2回の利下げが示されるとみている

なお、ウォーシュ議長は議長就任前の4月21日、米上院の公聴会において、「FRBはドットチャートで自分たちの金利見通しを全世界に伝えている」、「本来あるべき姿よりも長くその予測に固執している」と述べており、FOMCメンバーによる見通しの提示に否定的な見解を示しています。そのため、将来的にSEPやドットチャートの見直しが行われる可能性が高いと思われますが、今会合では従来通り、公表されるとみています。


SEPについては、2026年のインフレ見通しが大幅に引き上げられる可能性が高く、ドットチャートでは、メンバーが適切と考える25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げ回数について、2026年は0回、2027年は2回となり、次の一手は利下げになるとの基本的な見方は維持されると考えます(図表1)。また、「Longer run」(景気を熱しも冷やしもしない「中立金利」を意味する長期のFF金利水準)は3.125%で変わらずと予想します。

今回のFOMCは中立化がメッセージと考えており、タカ派化はリスクだが、その恐れは小さいであろう

今回は、ウォーシュ議長の記者会見に対する市場の関心が非常に高いと思われます。前述の通り、ウォーシュ議長はこれまでフォワードガイダンスやSEPなどには懐疑的な見方を示しており、FRBのバランスシート縮小や、人工知能(AI)による生産性の向上が利下げを可能にするとも主張しています。そのため記者会見では、金融政策の運営やコミュニケーション改革などに関する多くの質問が見込まれます。


FF金利先物市場に目を向けると、6月11日時点で2026年は約0.7回、2027年は約0.3回、25bpの利上げが織り込まれています(図表2)。弊社は今回のFOMCについて、タカ派化ではなく中立化が主なメッセージになると考えており、その場合、市場の利上げの織り込みは、若干後退することも想定されます。リスクは予想外のタカ派化で、長期金利上昇、ドル高、株安の反応が予想されますが、その恐れは小さいと考えています。