ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目米雇用統計ショックで大幅続落となった日経平均株価の今後を展望する

2026年6月8日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】米雇用統計ショックで大幅続落となった日経平均株価の今後を展望する

●米国で5月雇用統計を受けた利上げ観測の強まりからAI・半導体関連株が急落、日本にも波及。
●AI・半導体関連株の下落は米利上げが本格化なら長引く恐れも、ただ思惑なら一時的な調整に。
●年内米利上げは2回のみ予想、米ハイテクセクターの利益見通しも良好、株安長期化の公算小。

米国で5月雇用統計を受けた利上げ観測の強まりからAI・半導体関連株が急落、日本にも波及

6月5日の米金融市場では、雇用者数の伸びが予想を大幅に上回った5月の米雇用統計を受け、利上げ観測が強まり、主要株価指数は下落、米国債は幅広い年限で利回りが上昇(価格は下落)、米ドルは対主要通貨で上昇する動きがみられました。特に株式市場では、人工知能(AI)・半導体関連株の急落が目立ち、エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなどは大きく下落しました。


週明け6月8日の国内金融市場も、総じてこの流れを引き継ぎ、朝方の株式市場では、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、アドバンテストなど、値がさのAI・半導体関連株が大きく下落し、日経平均株価の下げを主導しました。また、日本時間の同日早朝に、イランがイスラエルにミサイルを発射したと報じられ、WTI原油先物価格が時間外取引で上昇したことも日本株の重しとなった模様です。

AI・半導体関連株の下落は米利上げが本格化なら長引く恐れも、ただ思惑なら一時的な調整に

以下、今回の米雇用統計ショックに起因する日米AI・半導体関連株の下落の持続性について考えます。一般に、半導体関連銘柄などのグロース(成長)株は、将来の成長期待が高く、その株価は将来の成長によって生み出される利益を現在の価値に引き直して計算されます。現在の価値に引き直す際に用いられるのが割引率であり、金利の上昇は割引率の上昇を通じて株価を押し下げる方向に作用しやすくなります。


そのため、仮に米国が本格的な利上げ局面を迎えた場合、米国のAI・半導体関連株の下落が長引き、日本のAI・半導体関連株にも影響が及ぶ恐れがあります。一方、米国の利上げが市場の一過性の思惑であった場合、日米AI・半導体関連株の下落は一時的な調整にとどまることが予想されます。この判断にあたっては、今後の米雇用・物価に関連する経済指標や、原油価格の動向を見極める必要があります。

年内米利上げは2回のみ予想、米ハイテクセクターの利益見通しも良好、株安長期化の公算小

目先の主な注目イベントは図表1の通りです。例えば、①5月の米消費者物価指数で物価の安定が確認されること、②スペースXの新規株式公開(IPO)前後で大きな波乱がないこと、③米連邦公開市場委員会(FOMC)で、過度にタカ派的な姿勢が示されないこと、④マイクロン・テクノロジーの決算で良好な業績見通しが示されること、これらが確認されれば、足元の日米AI・半導体関連株の下げは、一時的なものになる可能性が高いとみています。


弊社は雇用統計を受け、米金融政策について、2026年は9月と12月に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ利上げを行うとの見方に変更しました(従来は年内据え置き)。ただ、利上げは調整的に2回行うのみで、本格的な連続利上げは想定していません。また、6月5日時点でも、米AI・半導体関連企業を含む通信サービスや情報技術などは、市場で堅調な利益の伸びが予想されており(図表2)、調整長期化の公算は小さいと思われます。



※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。