2026年3月5日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】イラン攻撃で大幅安の日経平均はいったん反発~今後の展開を考える
●日経平均は3月4日に史上5番目の下げ幅を記録したものの、米株高などを受け5日には急反発。
●紛争が短期収束なら日経平均は上昇基調回復、膠着でも原油急騰回避なら下値不安は後退。
●衝突拡大・長期化なら大幅安も米方針変更で急騰か、日経平均年末予想61,500円は維持。
日経平均は3月4日に史上5番目の下げ幅を記録したものの、米株高などを受け5日には急反発
3月4日の日経平均株価は前日比2,033円51銭(3.6%)安の54,245円54銭で取引を終えました。米国とイスラエルによるイランへの攻撃が長期化し、原油価格が高騰するとの懸念を背景に、日経平均は3営業日続落となり、2月8日に投開票が行われた衆議院議員選挙後の上昇分は全て帳消しとなりました。この日の下げ幅は史上5番目の大きさとなり、取引時間中には一時2,600円以上値を下げる場面もありました。
しかし、翌5日の日経平均は大きく反発し、前日比958円62銭(1.8%)高の55,204円16銭で取引を開始しました。前日の米国で発表された、雇用関連の指標やサービス業の景況感指数が米国経済の底堅さを示す内容となり、ダウ工業株30種平均など主要3指数がそろって上昇した流れを引き継いだ格好になりました。また、WTI原油先物などの価格が比較的落ち着いた動きとなったことも、安心材料になったと思われます。
紛争が短期収束なら日経平均は上昇基調回復、膠着でも原油急騰回避なら下値不安は後退
以下、日経平均の今後の展開について、イラン情勢に関する3つのシナリオで考えてみます(図表)。1つ目は、紛争が短期間で収束するシナリオです。年内に米国は中間選挙、イスラエルは総選挙を控え、イランも国内経済の疲弊を踏まえると、3カ国とも衝突の拡大・長期化は避けたい意向があると推測されます。実際に停戦合意の動きがみえてくれば、原油価格が大きく低下し、日経平均は上昇基調を回復する展開が予想されます。
2つ目は、イラン情勢が収束も悪化もせず、膠着状態が続くシナリオです。この場合は原油価格の動きが重要になります。例えば、ホルムズ海峡の通航量が徐々に回復し(長期封鎖はイラン自身の原油収入に打撃)、原油価格がそれほど急騰しなければ、株式市場は徐々にイラン情勢の膠着化という材料を消化し、日経平均の下値不安は時間の経過とともに後退していくと思われます。
衝突拡大・長期化なら大幅安も米方針変更で急騰か、日経平均年末予想61,500円は維持
3つ目は、衝突が拡大・長期化し、原油価格が急騰するシナリオです。この場合、日経平均株価は再び大きく下落し、直近高値から20%超下げた「弱気相場入り」とされる水準(47,080円22銭割れ)などが意識されやすくなると考えます。ただ、このような場合、トランプ米大統領が米国経済にマイナスと判断し、イラン攻撃の方針を急遽変更することも予想され、原油価格が急低下し、日経平均が急騰することも想定されます。
以上、3つのシナリオをみてきましたが、日経平均はそれぞれのシナリオにおいて目先の動きは異なるものの、いずれも最終的には上昇方向の推移が見込まれます。引き続き、原油相場の動向と、トランプ氏のイランに対する政策方針には注意が必要なものの、弊社は現時点で、2026年12月末の東証株価指数(TOPIX)は4,100ポイント、日経平均株価は61,500円で、それぞれ着地するとの見方を維持しています。



