2026年2月9日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】自民党の歴史的大勝を受けた国内金融市場の反応と今後の焦点
●衆院選の結果に日経平均は大幅高で反応、60,000円水準の早期到達も視野に入りつつある。
●ドル円は介入警戒、長期金利は財政運営見極めで、この先それぞれ神経質な相場展開を予想。
●信認ある財政政策と適切な金融政策が市場安定に必要、目先は消費税減税への対応に注目。
衆院選の結果に日経平均は大幅高で反応、60,000円水準の早期到達も視野に入りつつある
2月8日に投開票が行われた衆議院議員選挙では、自民党が単独で定数465議席の3分の2にあたる310議席を超え316議席を確保し、歴史的大勝を収めました(図表1)。日本維新の会と合わせた与党では352議席を獲得して圧勝となり、与党は憲法改正の国会発議や、参議院が否決した法案の衆議院での再可決が可能となります。高市早苗首相は、国民の信任が得られたとして「責任ある積極財政」などの政策を推進していく見通しです。
自民党の歴史的大勝を受け、週明け2月9日の日経平均株価は、前週末比876円95銭(1.6%)高の55,130円63銭で寄り付き、その後も上げ幅を拡大する反応を示しています。この背景には、高市首相の政権基盤が安定し、危機管理投資や成長投資が一層推進されるとの強い期待があると推測されます。日経平均については、60,000円水準への早期到達も視野に入りつつあるように思われます。
ドル円は介入警戒、長期金利は財政運営見極めで、この先それぞれ神経質な相場展開を予想
為替市場に目を向けると、ドル円は前週末のニューヨーク市場で1ドル=157円22銭水準で取引を終了しましたが、日本時間2月9日の早朝には、一時157円76銭水準をつける場面もみられました。ドル円はこの先、いわゆる「高市トレード」の再開により、円安が進みやすい地合いも想定されますが、政府・日銀による為替介入への警戒感がくすぶるなか、大幅な円安は見込みがたく、為替介入の動きをにらみ、神経質な相場展開が予想されます。
債券市場では、債券先物の中心限月である3月物は2月9日、前週末比49銭安の131円10銭を一時つけました。債券市場では、衆院選の結果を受け、高市首相が財政拡張をさらに加速させるとの見方がある一方、財政面で野党に配慮する必要が少なくなり、より現実的な財政路線に舵を切るとの見方がある模様です。この先の長期金利は、上昇圧力が残るものの、高市首相の財政運営を見極めながらの動きになると考えます。
信認ある財政政策と適切な金融政策が市場安定に必要、目先は消費税減税への対応に注目
なお、日経平均は衆院解散の前営業日(1月22日)から衆院選の前営業日(2月6日)までの期間、1.1%上昇し、1月15日付レポートで解説した「選挙は買い」のアノマリー通りとなりました。ただ、同レポートでも触れていますが、選挙から半年経過後の日経平均をみると、上昇、下落まちまちの動きとなっており、与党が大きく勝利し、安定政権となった場合でも、日経平均の下落ケースが散見されます(図表2)。
この先、中長期的に株高基調が継続し、長期金利上昇と円安進行が一服するには、①高市政権が危機管理投資や成長投資を推進しつつ、財政規律に配慮し、市場の信認を得られるような財政運営に努めること、②日銀が適切な金融政策を遂行すること、この2つの実現が必要と考えます。なお、高市首相は2026年度当初予算において、財政規律に一定の配慮を示していますが、目先は食料品の消費税減税への対応が注目されます。



