2025年10月20日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】自民党と日本維新の会の連立合意で高市首相誕生か
●自民党と日本維新の会は10月20日の党首会談にて、連立政権樹立に向け正式合意の見通し。
●自民党と維新が正式合意なら高市首相誕生は確実な情勢も維新は閣外協力にとどまる可能性。
●今後は経済対策や今年度補正予算の中身や規模が焦点、スムーズに進展するかも注目される。
自民党と日本維新の会は10月20日の党首会談にて、連立政権樹立に向け正式合意の見通し
自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表は10月20日に党首会談を行い、連立政権の樹立に向けて正式に合意する見通しとなりました。ここまでの流れを振り返ると、自民党と維新は10月16日に1回目の政策協議を行い、維新は12項目をテーマに挙げ、国会議員の定数削減や消費税率の引き下げなど個別政策の実現を自民党に求めました(図表1)。
維新の藤田文武共同代表は、1回目協議の後、(1)企業・団体献金の禁止、(2)食料品の消費税率を2年間0%に下げる、この2点について自民党と考え方に隔たりがあると説明しましたが、10月17日に行われた2回目の政策協議の後、協議は大きく前進したと述べました。報道によると、自民党は(1)と(2)について協議を続け、維新が絶対条件とする国会議員の定数削減も、受け入れることとした模様です。
自民党と維新が正式合意なら高市首相誕生は確実な情勢も維新は閣外協力にとどまる可能性
なお、維新は10月17日、立憲民主党と国民民主党に協議を一区切りさせたいと連絡したことを明らかにしており、首相指名選挙での協力に向けた野党協議は破談となりました。そのため、高市氏と吉村氏が、政策の要求項目や協力のあり方などを記した合意文書に署名すれば、10月21日にも実施される首相指名選挙において、高市首相が誕生するのは確実な情勢となります。
一般に、複数政党による政権の枠組みは、各党が閣僚を出すか否かなど、連携の度合いに応じて「閣内協力」、「閣外協力」、「部分連合」という3つのパターンがあり、政権運営の安定性は、閣内協力が最も高く、部分連合が最も低くなります(図表2)。高市氏はこれまで維新の議員が閣僚に就く「閣内協力」を求めてきましたが、維新内では当面閣僚を出さない「閣外協力」にとどめるべきとの声も聞かれます。
今後は経済対策や今年度補正予算の中身や規模が焦点、スムーズに進展するかも注目される
高市氏の首相選出の可能性が高まったことで、国内金融市場では、株高、円安、長期・超長期金利の上昇といった、いわゆる「高市トレード」の再開も予想されます。ただ、自民党と維新の議席数を合わせても、衆議院、参議院ともに過半数には届かず、また、維新との連携が閣外協力という形になった場合、政権運営の安定性は閣内協力に劣るため、これらの点には注意が必要です。
なお、自民・立憲民主両党の幹部は10月17日の会談で、臨時国会を10月21日に召集し、同日に首相指名選挙を行うことで大筋合意しました。また、新しい首相による国会での所信表明演説は10月24日で調整し、臨時国会の会期は12月17日までの58日間となる見通しです。今後は経済対策や2025年度補正予算の中身や規模が焦点となりますが、経済対策の閣議決定や補正予算の成立がスムーズに進むかにも注目が集まります。