ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目自民党の両院議員総会と総裁選挙について

2025年7月30日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】自民党の両院議員総会と総裁選挙について

●石破首相退陣を求める勢力からの両院議員総会開催要求を受け自民党役員会は開催を決定。
●総会では総裁の立場を失わせることはできないが要件を満たせば臨時の総裁選の実施が可能に。
●市場でポスト石破の織り込みはある程度進展も総会開催時期や臨時総裁選の動向などに注目。

石破首相退陣を求める勢力からの両院議員総会開催要求を受け自民党役員会は開催を決定

自民党は7月28日、党所属の国会議員から参議院選挙の結果に関する意見を聞く「両院議員懇談会」を開きました。石破茂首相は懇談会の終了後、記者団の取材に応じ、続投する考えに変わりはないと述べましたが、自民党の役員会は翌29日、石破首相の退陣を求める勢力から参院選大敗の責任を問うため「両院議員総会」の開催を求める意見が提出されたことを受け、総会の開催を決定しました。

 

懇談会は意見交換の場にとどまりますが、総会は自民党の党則上、党大会に次ぐ正式な意思決定機関です(図表1)。党の運営や国会活動における重要事項を審議、決定し、緊急時は総会の決定をもって党大会の議決に代えることができるとされています。総会は1月の通常国会の召集日などに開かれますが、党所属議員の3分の1以上から要求があれば7日以内に招集され、今回の開催はこのケースに該当します。

総会では総裁の立場を失わせることはできないが要件を満たせば臨時の総裁選の実施が可能に

なお、総会において自民党総裁の立場を失わせることはできませんが、2002年に任期途中の総裁選挙の実施を要求できる規定が自民党の党則に設けられました。この規定に基づくと、党所属議員および都道府県支部連合会代表各1名の総数の過半数が文書で要求した場合、石破首相の任期満了(2027年9月)を待たずに、臨時の総裁選が行われることになります。

 

総裁選について、総裁の任期満了に伴う場合は、党所属議員が1人1票をもつ「国会議員票」と全国の党員・党友の投票で配分を決める「党員・党友票」の合計で争う、いわゆる「フルスペック」の総裁選となります(図表2)。これに対し、総裁の任期満了前の場合は、「国会議員票」と都道府県支部連合会代表各3名の「都道府県連票」の合計で争うことになります。

市場でポスト石破の織り込みはある程度進展も総会開催時期や臨時総裁選の動向などに注目

今後の主な政治日程を確認すると、8月1日に臨時国会が召集され(参議院正副議長の選出)、6日に広島市で平和記念式典、9日に長崎市で平和記念式典が行われます。また、15日が終戦の日で、20日から22日まで横浜市でアフリカ開発会議が開催されます。報道によると、総会は8月上旬にも開催される模様で、参院選の総括は8月中にまとめられる見通しです。

 

自民党の森山裕幹事長は7月29日、参院選の総括を踏まえた上で進退を含めた責任を明らかにすると述べており、法案などで野党との協議を仕切ってきた森山幹事長が仮に辞任すれば、石破首相続投は難しくなるとの声も聞かれます。国内の株式市場などでは、ポスト石破を巡る動きについて、ある程度の織り込みは進んでいると思われますが、目先は総会の開催時期や臨時総裁選の動き、参院選の総括が特に注目されます。