ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目参院選の結果を受けた市場の反応と今後の焦点

2025年7月22日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】参院選の結果を受けた市場の反応と今後の焦点

●与党は参院過半数割れで、国民民主と参政が躍進、石破首相は記者会見で続投を正式表明。
●想定内の選挙結果と石破首相続投の確認で、21日のドル円は持ち高調整のドル売り・円買いに。
●焦点は与党の政権運営や政策方針、財政悪化懸念が和らぐ内容か否かで市場は異なる動きに。

与党は参院過半数割れで、国民民主と参政が躍進、石破首相は記者会見で続投を正式表明

参議院選挙は7月20日に投開票が行われ、翌21日に125議席(改選124+非改選の欠員補充1)の各党獲得議席数が確定しました。与党は47(自民党39、公明党8)となり、非改選の75を合わせても過半数の125に3届かず、石破茂首相が勝敗ラインとした「非改選と合わせて参議院過半数」を確保できませんでした。一方、野党は立憲民主党が22と横ばいでしたが、国民民主党17、参政党14と両党は躍進しました。


国民民主の獲得議席数は非改選と合わせて22となり、予算を伴う法案の提出権(20以上)を確保しました。また、参政は非改選と合わせて15となり、予算を伴わない法案の提出権(10以上)を確保しました。なお、石破首相は7月20日夜、比較第1党としての責任は重く、賃上げや地方創生などの政策を実行していく責任があるとして、首相を続投する意向を示していましたが、21日の記者会見で正式に続投を表明しました。

想定内の選挙結果と石破首相続投の確認で、21日のドル円は持ち高調整のドル売り・円買いに

参院選が公示された7月3日以降、与党苦戦の情勢が報じられるなか、与党が政権を維持するため、財政拡張的な政策を掲げる野党への譲歩が進むとの見方が浮上しました。このような思惑が一因となり、国内金融市場では、超長期を中心に国債の利回りが上昇(価格は低下)、円は対ドルで減価、日経平均株価は節目の40,000円を前に足踏みといった動きもみられました。


週明け7月21日の外国為替市場において、ドル円はドル安・円高で反応しました(図表1)。参院選前にドル高・円安が進んでいたこともあり、選挙結果がおおむね想定内となったことや、石破首相の続投が確認されたことで、いったん投機筋などの持ち高調整が進んだとも考えられます。また、大阪取引所の日経225先物は、39,000円台後半で方向感なく揉み合う展開となりました。

焦点は与党の政権運営や政策方針、財政悪化懸念が和らぐ内容か否かで市場は異なる動きに

石破首相は21日の記者会見で、公明党との連立政権を維持する方針を示しましたが、衆議院に続き参議院でも少数与党となったため、国会運営の停滞が懸念されます。与党は公約に掲げた給付金などの財源を裏付けるため、秋に召集予定の臨時国会で、2025年度補正予算案を提出する見込みです。ただ、野党の主張を取り込むなどして賛同を取り付けなければ、補正予算の成立は難しくなります。


今後、与党が連立拡大を模索することも想定されますが、立憲民主、日本維新の会、そして国民民主、参政とも、現時点では与党との連立に否定的な考えを示しています(図表2)。市場はこの先、与党の政権運営や政策方針(野党公約の消費税減税などの扱い)を見極めることになると思われ、それらが財政悪化懸念を和らげるか、さらに強めるかによって、金利、為替、株価の方向性は大きく異なると推測されます。